浸かって、眺めて、味わって、五感を満たす“水の都”新潟【PR】

文/中津海麻子 撮影/ミヤジシンゴ

長さ日本一を誇る信濃川が流れ、やがて日本海へと注ぎ入る。大河と海を擁する新潟は、水に恵まれた「水の都」だ。

 

川があり港がある――。水で栄えた街

▲信濃川に架かる萬代橋は新潟の発展を川の上から見守ってきた。川辺は市民の憩いの場に。

 
新潟は、水で開かれ、水で繁栄してきた。
江戸時代は北前船が頻繁に寄港し、幕末には日米修好通商条約で横浜や神戸などと並び開港五港に選ばれた。新潟港は信濃川の河口にある河川港だったことから、川岸を埋め立て、外国との貿易に関する税金徴収などを担う「運上所」の建物が設けられた。のちに「新潟税関」と改称され、1960年代半ばまでの約100年間、税関業務を執り行った。

 
その建物は、開港五港で唯一現存する運上所の遺構として国の重要文化財に指定されている。1970年代始めには解体修復が行われ、塔屋とナマコ壁という建設当時の姿が復活した。今も信濃川に臨む川岸に静かに佇み、往時の活気溢れる新潟の姿を想起させる。

 

 
川と港があれば人とモノが集まる。水と気候に恵まれた国内屈指の米どころという強みもあって、新潟は幕末から明治初期にかけて、江戸を超える人口を誇る一大都市となった。当時新潟には江戸、京都と並ぶ三大花街があったという。一流の料亭が軒を連ね、美食に合う酒が求められた。酒蔵はそのニーズに応えるべく味を追求したため、洗練された日本酒が多く生まれた。

 

日本屈指の花街に磨かれた酒どころ

▲(左から)新潟県が誇る鯉を模した「錦鯉」、「木桶仕込み 純米大吟醸 今代司」、定番酒の「純米吟醸 今代司」

 
「今代司(いまよつかさ)酒造」もそうした酒蔵の一つ。蔵がある沼垂(ぬったり)地区には酒造りに適した清らかな伏流水があった。鉄道が敷かれる前は運輸の中心が水運だった。目の前には川が流れ、さらに港が近いという地の利もあって、「以前はこの辺りに何軒もの酒蔵があり、さらに味噌蔵や醤油蔵も立ち並んでいたそうです」と話すのは、今代司酒造の中島恵美子さん。

 

 
この蔵では、15年ほど前から「温故知新」をコンセプトにした酒造りに取り組んできた。一つは「全量純米仕込み」。戦時中の物資不足などから甘味料や酸味料などを加えた粗悪な酒、いわゆる「三増酒」が出回り、日本酒の歴史に暗い影を落とした。その後、新潟では淡麗辛口の酒が多く造られ、日本酒ブームが起き、吟醸酒がもてはやされたことも。そんななか、「日本酒のあるべき姿を取り戻そう」と、同蔵ではアルコール添加やその他の原材料を使わず、すべての酒を米と米麹のみから造る「全量純米の蔵」へと舵を切ったのだ。

 

▲見学コースでは酒米の磨きの違いなどを学ぶことができる。

 
もう一つの挑戦が「木桶仕込み」。かつてはどこの酒蔵も醸しに使っていた木桶だが、時代とともに手入れや温度管理がしやすいホーローやステンレスのタンクへと移り変わっていった。今代司酒造もその例にもれなかったが、「かつてのお酒の姿に近づきたい。その思いから木桶作りを復活させることにしたのです」と中島さん。

 
とはいえ、今は木桶を作る職人も修理できる職人もほとんどいなくなってしまった。大阪に唯一残る大きな桶を作る製桶所に発注し、酒蔵の蔵人がそこへ足を運び手入れの仕方などを学んできたという。こうして復活した木桶仕込みの酒は、木の香りが心地よく、芳醇でありながら後味はサラリと切れていく。しみじみと飲み続けたい味わいだ。

 

▲創業当時の面影を残しながら蔵をリノベーション。旅の途中にぶらりと訪れたい。

 
創業当時の蔵をリニューアルし、ガイド付きの見学コースが整えられている。酒造りの工程を見ながら、蔵や街の歴史を知ることができる。試飲コーナーには10種以上の純米酒があり、充実の品揃えだ。JR新潟駅から徒歩約15分とアクセスが良好なのもうれしい。

 

今代司酒造
住所:新潟県新潟市中央区鏡が岡1−1
定休日:年中無休(ただし12月31日~1月3日のみ休業).
営業時間:平日 13:00~17:00 土日祝 9:00~17:00
URL:http://imayotsukasa.co.jp/

 

ワンコインで出合う越後の酒の魅力

▲さぁ、何から飲もう!?110種のサーバーを前に迷うのもまた楽しい。

 
新潟の酒をもっと知りたくなり、JR新潟駅へ。駅直結という便利なロケーションにある「越後お酒ミュージアム ぽんしゅ館」は、酒蔵数国内最多を誇る新潟県にある全87の蔵の酒がテイスティングできる、まさに「越後の酒の聖地」だ。

 

 
新潟の名産品などが数多く揃う店内の奥にある、その名も「唎酒番所93」へ。110種の酒のサーバーがずらりと並ぶ様は圧巻! はやる気持ちを抑えながら、500円で専用のメダル5枚を購入する。サーバーにメダルを投入するとおちょこ1杯分の酒が注がれるシステム。カウンターでは希少なプレミアム酒(別料金)なども楽しめる。
スルスルと喉越しのいい辛口の酒、濃醇な旨味のコシのある酒、ワインを思わせる爽やかな酒……。新潟の酒の幅広さと奥行きに思わず目を見張る。

 

 
店内で販売されている酒も多い。気に入った酒があればお土産にしよう。飲んだ蔵をチェックできる全蔵制覇記録帳もあり、全酒制覇をねらうのも楽しみ方の一つ。「わずか2日で制覇した猛者もいらっしゃいますよ」と、ぽんしゅ館 新潟驛店店長の原憲二さんは笑顔を見せ、こう続ける。
「酒どころ新潟の魅力と実力を体験していただければ、日本酒の世界が広がる新しい出合いがきっとあるはずです」
新幹線の改札まで歩いてすぐ。出張帰りや旅の締めにふらりと立ち寄ってみては?

 

ぽんしゅ館 新潟驛店
住所:新潟県新潟市中央区花園1丁目96−47 CoCoLo新潟 西館
定休日:年中無休
営業時間:店内 10:00~20:00、唎酒番所93 10:00~19:30(ラストオーダー19:15)※営業時間は変更の可能性あり。
お問い合わせ:025-240-7090
URL:https://www.ponshukan.com/

 

静かな緑に囲まれ、のんびりと湯浴み

▲一部屋のみの「はなれ舎」の露天風呂。自然に囲まれ、静かなときを過ごして。

 
水の恵みは自然豊かな山あいにも。約300年前に開湯した岩室温泉は、北陸街道と中山道を結ぶ北国街道に位置し、江戸時代には「越後一宮」である彌彦神社に参拝に訪れる人々の精進落としの地として栄えたという。昔も今も、新潟の奥座敷として愛され続けている。

 

 
「著莪の里 ゆめや」は、緑の木立が広がる2,000坪もの広大な敷地に、客室わずか11室というぜいたくな造りのお宿。同じ岩室温泉で明治のはじめから150年以上続く老舗旅館「富士屋」の大女将が、「女性一人でも気兼ねなく泊まれる小さな宿を」と、1988年に開業。「時代の流れで旅館が大型化するなか、大女将はもう一度、心と体を静かに休める宿という原点に戻りたかったようです。自分が泊まりたくなる宿を――。その思いでこの『ゆめや』を作りました」と、代表取締役副社長の武藤真由さんは話す。

 

 
2012年には敷地内に源泉「上の郷おんせん」を掘り当て、自家源泉が楽しめる宿に。疲労回復効果が期待でき、弱アルカリ泉で肌がスベスベになる「美人の湯」でもある。大浴場や庭の露天風呂で風や季節を感じながら湯浴みするもよし、客室の露天風呂でのんびりするもよし。地元でとれた旬の食材を使った料理と、地元の水と米で醸す日本酒の数々もまた、この宿の楽しみだ。

 

▲どの客室からも季節ごとに表情を変える木々が望める。

 
「車で10分ほどの角田(かくだ)山の麓には『弘法清水』が湧くなど、この辺りは水の美味しさも自慢です」と武藤さん。「弘法清水」とは、1200年ほど前に弘法大師がこの地に立ち寄った折、大干ばつのなかでも手厚くもてなしてくれた民へのお礼にと、杖を地に突き立てたところ水源を掘り当てたという名水。今もこんこんと湧き続けているという。

 

著莪の里 ゆめや
住所:新潟県新潟市西蒲区岩室温泉905−1
URL:http://www.i-yumeya.com/

 

新潟市へのアクセス

 
大阪(伊丹)、新千歳(札幌)、名古屋(小牧)、福岡空港から新潟空港へJALグループ便およびコードシェア便が運航。

 
目で、舌で、肌で――。新潟で、水に癒やされ、水で潤う旅をお楽しみください。

 
 

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