半島彩発見

【房総半島(南房総地域)】都心から日帰り可能! 自然が織りなす癒やしと絶品グルメ

文・撮影/アントレース

(写真:PIXTA)

房総半島で心身ともにリフレッシュ

温暖な気候と、豊かな海に恵まれ、サーフィンやダイビングなどのマリンスポーツを楽しめる房総半島。内房、中房、外房、南房の4つのエリアからなるこの半島は、都心からわずか90分でアクセスできる自然や味覚の宝庫だ。太平洋に面した絶景の海岸線は、サーフィン愛好家の聖地として名を馳せ、内陸に目を向ければ、鮮やかな緑に包まれた山々や神秘的な渓谷が訪れる者を魅了する。都会の喧騒を忘れ、心身ともにリフレッシュできる、まさに現代人の隠れ家と呼ぶにふさわしい地なのだ。

 
房総半島で味わう眼福と口福――その魅力に迫り、旅の締めくくりを彩る逸品も紹介しよう。

 

勝浦の海でマリンスポーツ体験

▲エメラルドグリーンに輝く海でSUP体験。しばし非日常の世界に浸る。(写真:MALIB POINT提供)

 
まずは思いっきり海を満喫しよう。エメラルドグリーンに美しく輝く勝浦の海は、年間を通じて14~22℃と水温が安定し、18mほどの浅い水深と相まってウミガメの産卵地としても知られている。この恵まれた環境を活かし、サーフィンやSUP(スタンドアップパドルボード)、シュノーケリングなど、多彩なマリンスポーツを体験できるのが「MALIBU POINT」だ。

 

▲ガイドが基礎から丁寧に指導してくれるので、SUP初心者でも楽しめる。(写真:MALIB POINT提供)

 
「MALIBU POINT」は、勝浦出身のオーナー高梨三千尋さんが「勝浦の海で遊ぶ魅力を広く知ってもらいたい」という思いで、2014年に立ち上げたマリンレジャーショップ。店内にはアクティビティ用品からヨガグッズ、釣り道具、オリジナルアイテムまで、海を楽しむためのグッズが所狭しと並ぶ。

 

▲左/オーナーの高梨さん。▲上/オーナーの高梨さん。右/海を楽しむグッズが並ぶ店内。下/海を楽しむグッズが並ぶ店内。

 
店舗は宿泊施設やカフェも併設。オーナー自身が設計し、友人たちと共につくり上げた空間だ。海までたった150歩程度ということもあり、首都圏や海外からの観光客、家族連れにも人気が高い。最近では、SUPをしながら魚釣りをする「SUPフィッシング」という新しいアクティビティも注目を集めているそうだ。

 

▲海の目の前に立つ「MALIBU POINT」。(写真右:MALIB POINT提供)▲海の目の前に立つ「MALIBU POINT」。(写真下:MALIB POINT提供)

 

MALIBU POINT
住所:千葉県勝浦市串浜1227-2​
電話:0470-64-6480
URL:https://www.malibupoint.net/

 

南房総の海の幸を存分に味わう

▲季節の地魚ネタを盛り込んだ「おまかせ握り寿司」。特製味噌汁付き。

 
房総半島に来たからには、やはり海の幸を堪能したい。1869年の創業以来、5代にわたって南房総の味を守り続けてきた寿司の名店「寿司と地魚料理 大徳家」。黒潮がもたらす豊かな海の恵みを存分に活かした、千倉で水揚げされる新鮮な地魚を使った寿司と地魚料理を楽しめる。

 

▲南房総の漁師料理「元祖・なめろう」(左)と「さんが焼き」。

 
150年以上この地で受け継がれてきた、細切りにしたアジの身に味噌やネギなどの調味料を混ぜて粘りが出るまで包丁で叩く「なめろう」や、そのなめろうを貝殻に詰めて焼く「さんが焼き」は、まさに元祖の味。郷土料理に加え、カジキの生わた塩辛といった漁師直伝の珍味や、時にはマンボウや鯨といった珍しい食材も提供される。

 

▲5代目店主の栗原さん(左)と6代目の誠也さん。

 
南房総なめろう研究会の初代会長の肩書も持つ5代目店主の栗原和之さんは、「千倉でしか味わえない魚を、思う存分食べてもらいたい」と、地元でとれる食材を毎日厳選。職人の技と地元の食材が織りなす料理は、地元客はもちろん、遠方からの客や著名人をも魅了している。

 

▲木の設えに温かみを感じる店内。

 
店内は温かな雰囲気に包まれ、女性同士やファミリー客も気軽に楽しめる。全品に価格が明示されたメニューで、好きなものを心ゆくまで堪能できる安心感も魅力だ。南房総の海の幸を存分に味わいたいなら、この寿司店は外せない一軒といえるだろう。2024年12月には、東京で10年間修業した6代目の息子さんと一緒に板場に立てる広々とした新店舗を千倉町瀬戸にオープンする予定だ。

 

寿司と地魚料理 大徳家
住所:千葉県南房総市千倉町南朝夷1079
電話:0470-44-1229
URL:https://www.daitokuya.co.jp

 

もうひとつの南房総グルメ

▲左奥から時計回りに「くじらベーコン」「くじらの竜田揚げ」「くじらのカツ」。

 
海の幸と並び、房総半島の味覚といえば鯨。南房総の鯨漁の歴史は江戸時代から続いており、今でも地元小学校の給食では鯨料理が登場する。「市場食堂 せん政水産」は、1928年に創業した鯨肉と鯨のたれ(干し肉)で知られる老舗「ハクダイ食品」が、2018年に開いた直営食堂だ。市場の食堂さながらの雰囲気で、鯨料理や新鮮な魚料理をリーズナブルに提供している。

 

▲看板メニューの「『てっぱつ・ふわふわ』あじフライ定食」。

 
鯨肉専門店ならではの「くじらの竜田揚げ定食」や鯨カツをはじめ、アジフライ、トッピングが豊富で鯨の形のご飯がユニークな「カレーライス」が人気を集めている。また、250g前後の大ぶりなアジを使った「『てっぱつ・ふわふわ』あじフライ定食」も看板メニューのひとつ。ジューシーで肉厚ながらも、ふわふわの食感と食べ応えが自慢だ。

 

▲テイクアウトコーナーのメニューも充実。

 
店頭のテイクアウトコーナーでは、鯨のコロッケや串カツ、カレーパンなどの持ち帰りメニューも提供。鯨は今でこそ珍味として扱われることも多いが、独特の風味と食感は、この地域の海の恵みと先人の知恵が生み出した、まさに伝統の味といえるだろう。

 

市場食堂 せん政水産
住所:千葉県南房総市千倉町千田1051 「道の駅ちくら 潮風王国」内
電話:0470-43-1255
URL:https://hakudai.com/senmasa/

 

まるで天空への階段!「日本の棚田百選」の絶景

▲「日本の棚田百選」にも選ばれた美しい景観が広がっている。(写真:PIXTA)

 
お腹も満足したところで、房総半島が誇る絶景ポイントへ。房総半島の中央部、鴨川市にある棚田景観だ。「大山千枚田」は、東京から最も近い棚田で、約32,000㎡の斜面に広がる大小375枚もの水田が、まるで天空への階段のように連なっている。その姿は息をのむほどの美しさだ。

 

▲時間や季節によって表情を変える「大山千枚田」の棚田。(写真:鴨川市商工観光課提供)

 
江戸時代から続く農業の遺産であり、「日本の棚田百選」にも選ばれた名所である。四季折々に表情を変える景色は、春の新緑、夏の青々とした稲、秋の黄金色に実った稲穂、冬の雪景色と、訪れる度に新たな感動を与えてくれる。

 

▲秋から冬にかけてライトアップイベント「棚田のあかり」が開催される。(写真:PIXTA)

 
毎年10月下旬〜1月初旬の夜には約10,000本のLEDライトで田んぼをライトアップする幻想的なイベントも開催され、昼夜問わず多くの観光客や写真愛好家を魅了している。田植えや農作業、藍染など、体験プログラムも人気。伝統的な農村の風景と現代的な演出が融合した、房総の隠れた宝石ともいえるスポットだ。

 

大山千枚田
住所:千葉県鴨川市平塚540
電話:0470-99-9050
URL:https://senmaida.com

 

自社牧場の新鮮な牛乳で作られるクレマカタラーナ

▲田園風景の広がる川上にある「近藤牧場」。(写真:近藤牧場提供)

 
千葉県南房総市の川上に広がる「近藤牧場」は、都会から車で1時間とは思えないほどのどかな田園風景に囲まれた酪農地だ。ここで搾られた新鮮な牛乳は、自社で低温殺菌され、ソフトクリームやチーズへと手作りで生まれ変わる。

 

▲自社牧場の新鮮な牛乳と地元産の卵で作られる「クレマ カタラーナ」。

 
2016年度の農林水産大臣賞を受賞した「クレマ カタラーナ」は、ブラウンスイス牛やガンジー牛などの搾りたての生乳と、地元館山の新鮮な卵をたっぷり混ぜ合わせ、150℃のオーブンで50分焼き上げて冷凍。グラスフェッドに近い餌で育てた牛の乳を使用し、素材本来の味わいを大切にしているため、濃厚ながらも後味すっきりとした上質なカスタード風味が楽しめる。日産70個ほどのこのフローズンデザートは、半解凍で食べるのが通の楽しみ方だ。

 

▲「道の駅 富楽里とみやま」内のショップで販売。

 
「クレマ カタラーナ」の味づくりには並々ならぬこだわりがあり、牧場の社員みんなで北海道を巡り、各地のクレマカタラーナを食べ比べて味の研究をしたという。現在では「道の駅 富楽里とみやま」内のショップやWebショップで購入できる。海の幸を楽しんだ後のデザートや、房総のお土産にぜひ。

 

近藤牧場ショップ
住所:千葉県南房総市二部1900 「道の駅 富楽里とみやま」内
電話:0470-57-3909
URL:http://www.kondo-farm.com

 
※JAL Mallでも販売
https://ec.jal.co.jp/shop/g/g0002-9107A/

 

地域愛溢れる南房総の新名物バウムクーヘン

▲「のこぎり山バウムクーヘン」3山。ほかに1山、6山がある。

 
地元の素材を活かし、手間暇かけて作り上げる。そんな職人魂と地域愛が詰まった「見波亭」の「のこぎり山バウムクーヘン」は、南房総の新たな名物として、今や全国的な評価を得ている。

 

▲生地には地元のこだわりの素材を使っている。

 
2000年の創業以来、一番人気のスイーツが「のこぎり山バウムクーヘン」。農林水産大臣賞受賞の君津産卵「菜の花たまご」と、南房総市三芳産の低温殺菌牛乳を混ぜ合わせた生地を、熟練の職人が一層一層じっくり焼き上げるバウムクーヘンで、その形は千葉の名峰・鋸山(のこぎりやま)の石切り場をモチーフにしている。

 

▲熟練の職人が一層一層じっくり焼き上げる。

 
職人が付きっきりで17層もの生地を重ねていく様は、まさに職人技。食べた人がほっこりする素朴な味わいを目指し、日々研鑽を重ねている。多い日には1日50本もの生産量を誇るこのバウムクーヘン。週末限定で提供される焼きたての「あつあつバウム」は、ファンの間で特に人気が高い。

 

見波亭 金谷本店
住所:千葉県富津市金谷2288 ザ・フィッシュ内
電話:0439-69-8373
URL:https://www.minamitei.jp/product/nokogiri/

 
※JAL Mallでも販売
https://ec.jal.co.jp/shop/g/g0002-9533A/

 

多彩な魅力に満ちた房総半島へ

都心から日帰り圏内にありながら、豊かな自然と多彩な魅力に溢れた観光地が集まる房総半島。歴史ある絶景をはじめ、海の幸・山の幸、創意工夫を凝らした新しい名物まで、房総半島は訪れる人々を飽きさせない多彩な魅力に溢れている。ぜひ今度の週末に訪れてみてはいかがだろう。

 
※掲載施設の情報は変更されていることがあります。お訪ねの際はあらかじめご確認ください。

 

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