伊勢神宮、世界遺産「熊野古道伊勢路」、国内最多の海女さん、伊賀流忍者、松阪牛、養殖真珠発祥の地……。これらがすべて三重県に関するものだということ、ご存じでしたか? ところで、そもそも三重県ってどこにあるの? 正確な場所を示せる人は案外少ないかもしれません。
三重県は東海地方と近畿地方に属し、日本列島のほぼ真ん中に位置しています。南北の長さは約180kmに及び、伊勢平野などの平野部、鈴鹿山脈をはじめとする山々、多くの一級河川や海岸、高地、盆地、低地など、多様な地形を有しています。
江戸時代に一大ブームとなったお伊勢参りの伊勢神宮や、平安時代より日本最大の霊場として歴代の権力者達の信仰を集めた熊野古道があります。古くは伊勢国・志摩国・伊賀国・紀伊国という4つの令制国からなり、現在は5つの行政区分に分けられています。その歴史、文化的な背景からなる豊かな環境は、今も昔と変わることなく育まれています。今回は、そんな魅力溢れる三重県のオススメ観光スポットについて紹介します。
目次
花とイルミネーションが織りなす美しい空間
県北部の北勢地域は、鈴鹿サーキット、ナガシマリゾートといった非日常体験ができる施設が多く集まる魅惑のエリア。ナガシマリゾートの施設の一つ「なばなの里」は、長良川の水辺に寄り添う、季節ごとに美しい花々が咲き誇る花と緑のテーマパークです。あぶら菜の一種である「なばな」は三重県桑名市の特産品でもあり、そのことが園の名前の由来とか。
日本最大級の花ひろばとベゴニアを栽培する大温室を有しており、花ひろばの敷地面積はなんと13,000坪。春はチューリップ、秋はコスモス、大輪のダリヤなど、四季折々に花が咲き乱れる様は、まさに百花繚乱という言葉がぴったりの人気の観光スポットです。
毎年恒例のイルミネーションは、「死ぬまでに一度は行きたい世界の絶景」にも選ばれた200m続く光のトンネルが有名です。テーマ毎に7つのエリアに分かれていて、毎年工夫を凝らした華やかなイルミネーションが見もの。国内最大級、圧倒的なスケールは、私たちの想像を超える美しさです。ぜひ、現地に足を運びその空間と感動を体験してみて。また、併設する施設も充実しています。露天風呂のある日帰り温泉「里の湯」やレストラン、旬の花々や地場産の野菜が揃う花市場、パノラマ展望台など1日中楽しむことができます。秋の観光シーズンにぴったりの場所です。
なばなの里
住所:三重県桑名市長島町駒江漆畑270
定休日:不定休
営業時間:10:00~21:00(日によって異なる)
URL:https://www.nagashima-onsen.co.jp/
現存する最大規模の武家屋敷
三重県の真ん中に位置する中南勢地域は、松阪牛、津の鰻などご当地グルメのほか、清少納言も讃えたという榊原温泉などが有名ですが、風情ある街並みも魅力の一つです。
中南勢地域に含まれる松阪市は、戦国武将・蒲生氏郷(がもううじさと)が城を築いた地として知られています。江戸時代には美しい縞模様が特徴の「松阪もめん」を流通させ、三井高利をはじめ多くの豪商を輩出した商業の町でもあります。
豪壮な石垣が残る松坂城からは御城番屋敷を望むことができます。かつては松坂城三の丸の中にあり、裏門跡と搦手門(竹御門)跡を結ぶ、石畳の両側にある、美しく整えられた槇垣を巡らした一際目を引く武家屋敷がそれです。ここには松坂城を警護する、松坂御城番という役職の武士20人とその家族が住んでいました。御城番屋敷は東棟・西棟合わせて19戸からなり、そのうち西棟北端の1戸を見学することができ、一般に無料公開されています。
建物内は当時のままで、天井のない広々とした土間に4つの畳の間があり、きちんと手入れされた中庭や縁側など、当時の暮らしぶりに思いを寄せることができるはずです。映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の撮影ロケ地になっており、ファンが訪れる聖地としても、有名なスポットにもなっているそうです。屋敷には今も子孫の方が住まわれ、維持管理を行っています。現存する江戸時代の武家屋敷でも最大規模を誇る貴重な建造物で、2004(平成16)年、国の重要文化財に指定されました。
御城番屋敷
住所:三重県松阪市殿町1385
定休日:月曜日(祝日の場合翌日)・年末年始
営業時間:10:00~16:00
URL:https://www.kankomie.or.jp/spot/detail_3145.html
リアスの美しい海岸線が心をゆさぶる
南東部の伊勢志摩地域は、伊勢神宮を中心に、海の文化に触れる海女小屋体験、海岸線が複雑に入り組んだリアス海岸の絶景が広がる英虞湾などが人気のエリア。なかでも、様々な形の半島や島が、ユニークな海岸線をつくる英虞湾は、伊勢志摩国立公園の一部として、さらに真珠の一大養殖地として国内外に知られた存在です。
真珠養殖の歴史は古く、1893(明治26)年に御木本幸吉が、アコヤ貝で半円真珠をつくったのが始まり。世界初の偉業で、それ以降、英虞湾では真珠の養殖が盛んに行われるようになりました。界隈には真珠を取り扱うショップなどがたくさんあるので、観光がてらにそれらのお店巡りも楽しめます。アオサ、牡蠣、伊勢えび、アワビなど、豊かなミネラルに育まれたシーフードも外せません。特に志摩地域は海の幸に恵まれていることから、古代より、朝廷に海産物などを献上する「御食つ国(みけつくに)」として、大きな存在感を放っていました。
伊勢志摩では、海女漁も古くから行われており、その様子は平安時代の万葉集に記述が残っています。ちなみに志摩の海女漁の技術は、国の重要無形民俗文化財に指定され、現在も変わらず続けられている海女漁を見学することもできます。また、雄大な英虞湾をつつむ夕景は、言葉では言い表せない美しさです。横山展望台や、桐垣展望台から一望できるというので、そちらもお忘れなく。
英虞(あご)湾
住所:三重県志摩市阿児町鵜方875-20(横山展望台)
URL:https://www.kankomie.or.jp/spot/detail_6701.html
日本有数の高さの石垣と木造天守閣の名城
山に囲まれた木津川の上流にある上野盆地一帯を占める伊賀は、古くから交通の要所、文化の拠点として栄えてきたエリアです。ここでは、そんな足跡を辿りつつ、忍者の里での修行体験や深い渓谷にある数々の名瀑を巡ったり、レトロな城下町を散策するなどして楽しめます。
この地域は、昔、伊賀国と呼ばれていました。忍者の里として知られ、伊賀上野の城下町として発展を遂げてきました。伊賀流忍者は伊賀国に伝わる忍術流派で、普段は農業や行商をしながら各地の情報収集を行い、一度指令があると、戦地に赴き工作活動を行っていたのだとか。
天下の名城と誉れ高い伊賀上野城は、築城の名手とうたわれた藤堂高虎が築いたものです。高虎は徳川家康の信頼を得ていた一方で、徳川幕府三代に渡って、諜報活動を行っていました。つまり伊賀流忍者の元締めが、高虎だったと言われています。伊賀上野城の高石垣は約30mもあり、日本1、2を争う高さというのも頷けます。そんな歴史に思いを馳せながら、伊賀上野城を訪れると新しい魅力を発見できるかも。1935(昭和10)年に復興された木造天守閣の内部は資料館となっていて、武具や甲冑などの藤堂家ゆかりの品々が展示されています。見晴らしのいい天守閣からは、城下町を一望することができます。
伊賀上野城
住所:三重県伊賀市上野丸之内106
定休日:12月29日~31日
営業時間:9:00~17:00(入館は16:45まで)
URL:http://igaueno-castle.jp/
庶民に愛された祈りの道
巡礼の道として有名な熊野古道伊勢路が含まれるのは県南部の東紀州地域。このエリアは、それ以外にも自然の芸術「鬼ヶ城」をはじめ、七里御浜、丸山千枚田など、野趣溢れる数多くの美景スポットが点在しています。
熊野三山に詣でるためには代表的な5つの参詣道がありますが、そのなかの一つ、伊勢神宮から紀伊半島の東側を辿り熊野三山を結ぶルートを伊勢路と言います。全長約170km、いくつもの小さな峠を越えながら、熊野三山へ向かう祈りの道。中辺路が上皇などの御幸ルートだったのに対し、伊勢路は庶民に愛されたルートです。
お伊勢参り、西国三十三所巡りの人たちがこの道を通って熊野詣を行ったそうです。江戸時代の庶民に親しまれた読み物「東海道中膝栗毛」には、「伊勢に七度、熊野へ三度、愛宕様へは月参り」と表現されているほど、伊勢路を歩き、この2カ所を参拝することが庶民の憧れだったとか。海と山の風光明媚な景観とツヅラト峠、始神峠、また西国一の難所と言われる八鬼山越えなど、10以上の小さい峠越えがあるのも特徴。アップダウンも比較的少なく、江戸時代に整備された石畳や桧や杉の林などが美しい状態のまま残されており、往年の面影を肌で感じながら歩くことができます。初めての方には日帰りできる馬越峠、松本峠などがオススメです。ぜひチャレンジしてみて下さい。
熊野古道伊勢路 馬越(まごせ)峠
住所:三重県北牟婁郡紀北町・尾鷲市
URL:https://www.kodo.pref.mie.lg.jp/course/08.html
まとめ
さて、いかがでしたか。三重県には国内でも特に神聖な場所、伊勢神宮や熊野三山への道が通じていることもあって、県内のそこかしこに、どこか神々しい気配が漂います。海や山のダイナミックな自然に抱かれて私たちが癒される時、その清々しさを感じるかもしれません。癒やし、祈り、絶景、歴史探訪、そしてグルメやアミューズメントまで、その全部が三重県で堪能できるのです。一度は訪れてみたい、たくさんの魅力に溢れた場所です。
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