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文/沼田実季 イラスト/いのうえ彩

クリスマスに食べたい!EU郷土菓子

クリスマスが近づくと、ヨーロッパでは各地でクリスマスマーケットが開かれ、店頭にはこの時期ならではのお菓子が並びます。あちこちから漂う甘い香りにクリスマス気分が盛り上がり、街中が楽しい空気でいっぱいに。

 
ここでは9つの伝統的なクリスマススイーツを紹介し、お菓子を訪ねて世界を旅した「郷土菓子研究社」の林周作さんに、それぞれにあわせてみたい日本らしい飲み物を提案していただきます。現地のクリスマスに思いを馳せて、甘い聖夜を過ごしてみませんか?

 

パネットーネ(イタリア)

 
ミラノ生まれの発酵菓子で、修道院発祥とか、「トーネ」という名のパン屋さんが作ったなど諸説あります。バターと卵がたっぷり入った生地に柑橘のピールやレーズンを入れてドーム状に焼き上げた、リッチな味のお菓子です。
おすすめペアリング:日本産クラフトジン

 

ベラベッカ(フランス)

 
アルザス地方に伝わる伝統菓子。アルザス語で「洋梨のパン」という意味で、発酵生地にドライフルーツやナッツを練り込んで焼いたものです。フルーツとスパイスの風味が利いて、噛むとじわじわと味わいが広がります。
おすすめペアリング:焼酎、ジャパニーズウイスキー

 

レープクーヘン(ドイツ、オーストリア)

 
はちみつとスパイスを使ったこの焼き菓子は、13世紀の修道院で作っていたハーブ液入りのハニーケーキが起源だとか。ドイツや周辺国ではクリスマスの定番で、ヘクセンハウス(お菓子の家)にもこの生地が使われます。
おすすめペアリング:ジャパニーズウイスキー

 

ピェルニキ(ポーランド)

 
ポーランドの冬に欠かせないジンジャーブレッドの一種。特にトルンという街が有名で、かのショパンもトルンのピェルニキを絶賛したといいます。ジャム入りやチョコレートがけのものなど、バリエーション豊かです。
おすすめペアリング:ホットミルク

トゥロン(スペイン)

 
アーモンドと卵白、砂糖やはちみつを主原料として作るヌガーは、元はアラブ圏から伝わった栄養食品だったそう。主にクリスマスの時期に食べられるお菓子で、オレンジやバニラなどのフレーバーを付けたものも人気です。
おすすめペアリング:乳酸飲料

 

クリスマスポリッジ(北欧)

 
北欧ではクリスマスにシナモン風味の甘いミルク粥を食べる習慣が。中にアーモンドを1粒入れて当たった人が幸せになるという仕掛けをしたり、サンタさんのために外に1皿置いたり、心も体も温まるホットスイーツです。
おすすめペアリング:ほうじ茶

 

チョコレートプラリネ(ベルギー)

 
ベルギーはボンボンショコラ発祥の地。ナッツのペーストが入った「プラリーヌ」と呼ばれるものが定番です。チョコレートはベルギーの人にとって特別な日を彩る大切なお菓子。もちろん、クリスマスにも欠かせません。
おすすめペアリング:和紅茶

 

スペキュロス(オランダ、ベルギー)

 
スパイス入りの生地を、聖人や聖堂をかたどった木型に押しつけて焼いたビスケット。サンタクロースのモデルともいわれる聖ニコラの日(12月6日)に食べられていたもので、今ではクリスマスの名物菓子になっています。
おすすめペアリング:濃茶(抹茶)

 

ジンジャーブレッド(チェコ、エストニアetc.)

 
素朴な味わいにスパイスの風味が利いたクッキー。人や馬、豚などさまざまな形に焼いて、オーナメントにも使います。強い香りが魔除けになるとされ、家族の幸せを願ってツリーに飾るようになったとの言い伝えもあります。
おすすめペアリング:甘酒

 

楽しい!和の飲み物とのペアリング

「クリスマスに多いのがスパイスのお菓子。これはジャパニーズウイスキーと一緒に香りの広がりを楽しみます。トゥロンのようなアーモンド系には乳酸飲料がおすすめ。甘くて重めのお菓子に酸味が合います。

 
個人的にはチョコレートにはコーヒーより紅茶、それもすっきりした和紅茶をあわせるのが好き。日本はお茶の種類が多く、最近はクラフトジンなどお酒の種類も増えています。おすすめのペアリング以外でもいろいろ楽しんでみてください」(林 周作さん談)

 

林 周作(はやし しゅうさく)
「郷土菓子研究社」主宰。世界各地を訪れてはその土地の郷土菓子を調査し、その数は500種以上というお菓子のエキスパート。

 
EU産食品をさらに詳しく知るにはこちら

 

 
 
 

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