3億5千万年の時を紡いできた緑の大地にて――山口、秋吉台

見渡すかぎり目の覚めるようなグリーン。そして白い岩々があちらこちらに点在する、ここは山口県美祢(みね)市に広がるカルスト台地「秋吉台」。普通判・卓上判カレンダーの4月に登場します。歩いても歩いても景色が変わることのないそのスケール感。秋吉台国定公園の総面積は4,502haもあるといいます。しかし、それよりも目の前に広がるこの光景には、3億5千万年の時という壮大なストーリーがあることに驚きを隠せません。

 

▲どこまでも続く草原に、まるで羊が群れをなしているかのよう。

 

秋吉台、そのルーツは南の海にあり

 
日本のカルスト地形は、赤道近くの南の海のサンゴ礁が、プレートの移動で長い年月をかけて日本列島にやって来たものとされています。この大地に点在する白い石灰岩の元はサンゴなのです。海から山へ堆積しながら移動した石灰岩の厚みは、なんと500~1000mもあるとか。そこに雨水や地下水が流れて石灰岩を解かしていき、3億5千万年という年月を経て、現在の地形になったとされています。そしてこの大地は、今現在もゆっくり姿を変えながら生き続けているのです。

 

空のブルーと大地のグリーン&ホワイト。それだけあれば何もいらない

 
撮影当日はまずまずの空模様。みずみずしい大地のグリーンがさらに輝いて見えました。さっそく前の日にアタリをつけていた撮影ポイントへ。ドリーネという窪地に気を配りながら、撮影は順調に進みました。このドリーネというのは、言ってみれば自然が創り出した落とし穴のようなもので、鍾乳洞ができる過程で生まれたすり鉢状の窪地です。遊歩道を歩いている分には問題ありませんが、そこを外れて歩くときは柵がないところもあるので、ちょっと注意が必要です。ちなみに複数のドリーネが成長して繋がったものがウバーレ、さらにそれが巨大化した低地がポリエと呼ばれています。

 

 

静寂と神秘的な空気感、久遠の美をたたえた秋芳洞

 
撮影を終えた後に、こちらも人気スポットの「秋芳洞」に立ち寄ってみました。秋芳洞は秋吉台の約100m真下にある日本屈指の大鍾乳洞です。一般に公開されているコースは約1km(総延長約10.7km)ほどあります。見どころは石灰分がお皿のようになって積み重なった「百枚皿」や、「黄金柱(こがねばしら)」という高さ約15mの金色に見える石灰華柱など。まさしくそれは、気の遠くなるような時間をかけて大自然が創り出した巨大なアート。どこまでも神秘的な迫力ある造形に圧倒されます。そして今もなお秋芳洞は水の作用によって、少しずつその姿を変え続けているそうです。

 

 

夜の秋吉台も、幻想的でなかなかの雰囲気

 
昼間とはまた違った表情を魅せる秋吉台の夜景。ここは日本でも有数の星空の聖地としても知られています。気象条件さえよければ、夜空を埋め尽くす満天の星。特に夏場は、きらびやかな天の川が肉眼でもわかるほどで、多くの人で賑わうそうです。というわけで、夜の撮影にもトライしました。撮影は5月でしたが、それでもこの日の夜はかなり冷え込み、うっかり防寒ウェアも軽めだったのでとても寒かったと記憶しています。ちなみに秋吉台にはオートキャンプ場もあるので、ここをベースに秋吉台の素晴らしさをじっくり満喫してみてはいかがでしょう。満天の星の下で幻想的なキャンプ。いい思い出づくりになるかもしれません。

 

山口のお土産スナップ

▲左/毎年2月に行われる秋吉台の山焼きにちなんだお団子。きな粉をまぶした昔ながらの味です。右/なんと3億年前の化石?と名付けられた石です。秋芳洞の土産物店にて。

 

 

秋吉台までのアクセス

東京(羽田)から山口宇部空港までJAL直行便が運航。山口宇部空港からJR新山口駅まで高速連絡バスで約30分。JR新山口駅からバスで約40分の「秋芳洞」バス停で下車。バス停からは、土日祝は循環バス、平日は乗合周遊タクシーを。車の場合は、山口宇部空港から約45分。

 

カレンダー撮影:谷口 京


たにぐち けい/フォトグラファー。1974年京都市生まれ、横浜育ち。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ニューヨークを拠点に独立。雑誌や広告撮影のかたわら「人と自然の関わり」をテーマに世界約60カ国を旅したのち帰国。ヒマラヤをはじめ国内外の山に登る冒険好き。

 

 
 

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