エメラルドグリーンの海に浮かぶ、地図にない“幻の島”へ――沖縄、バラス島

人が絶景を求める目的の一つ、それは日常からの解放かもしれません。そんな非日常の世界を日本のなかで体験できる場所が『A WORLD OF BEAUTY 2021』8月の舞台、沖縄県にあるバラス島です。どこまでも広がる青い空とエメラルドグリーンの大海原に浮かぶのは、サンゴのかけらでできたわずかな白い陸地。西表島から船でしかアクセスできず、干潮の時にだけ現れるため“幻の島”とも呼ばれます。さえぎるもののない、美しい沖縄の空と海に抱かれる島で行われた撮影の模様をお届けします。

 

▲島の地表はすべてサンゴのかけらのため、砂浜よりゴロゴロとして不安定。ダンサーはわずかな敷物の足場の上でバランスをとっています。

 

洋上で島の出現を待ち受ける

 
撮影クルーは羽田空港から新石垣空港へ飛び、石垣港から高速船で西表島上原港へ。港近くの宿に拠点を置き、西表島で自然体験のガイドを手がけるツアー会社のクルーザーをチャーターして、2日にわたってバラス島ロケを行いました。地図にない幻の島、というと絶海の孤島を連想しそうですが、実はこのバラス島、上原港から船で約15分の距離にあります。アクセスしやすい絶景地なので、カレンダーの景色を実際に見てみたいという方には、おすすめのスポットです。撮影を行ったのは2019年6月下旬。朝早く港を出発し、まだ海面に沈むバラス島の付近に停泊して、干潮を待ちながら撮影プランを練ります。

 

潮が引くにつれ白い島が浮かび上がる、神秘的な光景

 
この日の干潮は午後2時すぎ。潮が引いていくにつれ、徐々に白い島が姿を現していく様子は本当に神秘的です。撮影クルーは船に残り、ダンサーが小舟でバラス島に上陸。ちなみに「バラス」というのは船や気球の重心を安定させるために積む砂利などの重しや、線路の枕木の安定のために敷く小石などを指す「バラスト」から転じた言葉で、砂利や砕石の呼び名。サンゴの化石が細かい小石状になって積もっているため、バラス島という名で呼ばれているそうです。その名のとおり、足元がゴロゴロとして不安定ななか、ダンサーの七瀬莉砂さんは見事なポージングを披露してくれました。

 

巧みな操舵テクニックで、美しいアングルをキープ

 
船の上から撮影するため、操縦士のテクニックも撮影の成否に関わる重要ポイント。島が美しく見えるアングルを探して、フォトグラファーの希望を聞きながら小刻みな移動を繰り返します。乗船したクロスオーシャンⅡ号の船長は絶妙な操舵テクニックで、ベストなポジションに船をキープ。見事な連係プレーで、フォトシューティングは無事終了。最後にドローンで動画を撮影しました。撮影は一日あたり、島が出現する3時間ほど。眺めている分にはこのうえない絶景ですが、被写体となるダンサーにとっては、海に囲まれた島の上でたった独り、日差しや風を遮るものもなく、気温も高いという過酷な条件。しかしそんな厳しい環境をみじんも感じさせない七瀬さんの美しい動きに、撮影クルーは魅了されました。ぜひ冒頭の動画をご覧ください。

 

 

抜群の透明度を誇るシュノーケリングポイント

 
バラス島はシュノーケリングやダイビングのポイントとしても人気です。砂ではなくサンゴのかけらが堆積してできた島のため、周囲の海は濁ることなく透き通ったエメラルドグリーンで、船の上からでも海中のサンゴ礁や魚たちがよく見えます。撮影終了後、クルーザーのスタッフにお願いし、海中の撮影にトライ。アニメ映画でもお馴染みのクマノミをはじめ、カラフルな魚たちやウミガメがすいすいと泳ぐ姿を捉えることができました。撮影中の昼食は甲板の上。ソーキそばや、西表島の直売所で売られていたパイナップルなど、定番の沖縄グルメも海の上で食すとひときわおいしく感じます。仕事ではありますが、美しい海と生き物に触れた非日常の時間に、しみじみと癒やされたクルーたちでした。

 

バラス島のお土産スナップ

▲左/撮影をサポートしてくれたクロスリバー社のオリジナルTシャツ。右/西表島の農場で栽培されている古代米の一種、黒紫米(こくしまい)。

 

 

バラス島までのアクセス

新石垣空港から石垣港離島ターミナルへ。石垣港離島ターミナルから高速船で西表島上原港まで約40分〜1時間。上原港からバラス島までは船で約15分。

 

カレンダー撮影:谷口 京


たにぐち けい/フォトグラファー。1974年京都市生まれ、横浜育ち。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ニューヨークを拠点に独立。雑誌や広告撮影のかたわら「人と自然の関わり」をテーマに世界約60カ国を旅したのち帰国。ヒマラヤをはじめ国内外の山に登る冒険好き。

 

 

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