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シンガポール・フィッシュヘッドカレー
カレーの具にはさまざまな食材が使われるが、魚のおかしらがドーンと主役を演じるカレーは珍しい。フィッシュヘッドカレーという直球勝負の名前がついたこのカレーを楽しもうと思ったら、シンガポールのインド人街に行くのがいい。有名店がいくつかある。
イギリスによる統治時代を経つつ、中国やインドからの移民などによって多民族国家が形成されてきたこの国では、各国の文化が融合し、ハイブリッドな食事が醸成される。このカレーもその一つ。文化圏によっては捨てられることもある魚の頭をカレーの主役に据える感性は、文化のるつぼであるこの地だからこそ生まれたものだろう。
スパイス使いや調理法は南インドスタイル。ココナツミルクベースでスパイシーなのが特徴だ。酸味のもととなるタマリンドという果実の代わりに、手に入りやすい梅干しの果肉を使った。魚は現地で食べた味に近い真鯛を使用。生のまま鍋でグツグツ煮込むご当地式をアレンジし、煮る前にグリルで焼くことにした。これが正解。どことなく上品に仕上がり、和のテイストを融合したフィッシュヘッドカレーになった。
【材料(2~3人分)】
真鯛のおかしら 1尾分
真鯛の切り身 1切れ
サラダ油 大さじ3
〈ホールスパイス〉
・マスタードシード 小さじ1
・レッドチリ 4本
にんにく(みじん切り) 2片
しょうが(みじん切り) 1片
玉ねぎ(スライス) 小1個
梅干しの果肉(細かくたたく) 2個
トマトピューレ 大さじ4
塩 小さじ1
〈パウダースパイス〉
・コリアンダー 大さじ1
・クミン 小さじ1
・ターメリック 小さじ1/2
・パプリカ 小さじ1/2
・フェヌグリーク(あれば) 小さじ1/2
水 400ml
ココナツミルク 100ml
オクラ(斜め半分に切る) 12本
【作り方】
1)真鯛を魚焼きグリルで焼いておく。
2)鍋に油を熱し、ホールスパイスを加えて炒め、マスタードシードがはじけ始めたら、にんにくとしょうがを加えて炒める。
3)玉ねぎを加えて、こんがりきつね色になるまで炒める。
4)梅干しとトマトピューレを加えて炒め合わせ、パウダースパイスと塩を加えて炒める。
5)水を加えて煮立てた後、魚を入れてふたをして弱火で10分ほど煮込む。
6)オクラとココナツミルクを加えて、さらに5分ほど煮込む。
みずの じんすけ
スパイスお届けサービス「AIR SPICE」代表。20年以上にわたって全国各地でカレーのライブクッキングを実施。「カレーの学校」も運営中。カレーに特化した著書を50冊以上出版し、近著に『スパイスの教科書』(パイ・インターナショナル)がある。
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