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Tips 01
Kintoneで加速するJAL流“現場主導”のDX

開発知識がなくても業務アプリ開発ができるノーコードツール「kintone(キントーン)」を導入し、DXを加速するJAL。
DXの先に見据える戦略とは?

Kintone times JAL
  • サイボウズ株式会社
    営業本部長
    栗山圭太 執行役員
  • 日本航空株式会社
    IT企画本部長
    岡 敏樹 執行役員

※ 肩書きは
2023年2月現在のものです。

JAL、キントーンを武器に「顧客体験価値」の最大化に挑む

JAL、キントーンを武器に
「顧客体験価値」の最大化に挑む

01 IT部門が「伴走者」となり、現場社員のアプリ開発をサポート

栗山 顧客体験価値向上に取り組む企業が増えています。JALさんでも顧客体験価値最大化を事業戦略の一つに掲げていますが、IT部門のミッションは何ですか?

 一言で申し上げると、お客さまのニーズにお応えするサービスを提供するためのITシステムを整備することです。このミッションを達成すべく当部門では航空券購入や空港チェックインなどの基幹システムに加え、各現場の業務品質を支える中小規模のシステムの開発を手掛けてきました。しかし近年はお客さまのニーズの目まぐるしい変化や多様化を背景に、現場からのシステム開発の要望が急増、そのすべてに応じるのは時間的にもコスト的にも困難な状況が続いていました。そんな状況を打破すべく検討したのが、現場の社員がシステムをセルフ開発できるノーコードツールの導入です。飛行機の安全かつ安定した運航に欠かせない基幹システムについては、これまでどおりIT部門による大型開発が必要ですが、それ以外の例えば、お客さまの小さな行動変化やご要望にお応えするためのシステムについては、現場の社員自らがノーコードツールで迅速に開発できるようにすべきだと判断しました。

栗山 IT部門が行うべき開発とそれ以外を分けて考えることによってDXを加速し、顧客体験価値を高める方針にかじを切ったのですね。数あるツールの中からkintone(キントーン)をお選びいただいた決め手は何だったのでしょうか?

 優れたツールは多数ありましたし、実際に導入しているものもあります。しかし、これらはいずれも「知識があるシステム担当者がセルフ開発できる」ツールでした。私たちが求めていたのは「システムに詳しくない現場の社員でもセルフ開発できる」ツールであり、キントーンはまさにその条件を満たすツールだったのです。

栗山 キントーン導入時の社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

 まず、IT部門から現場の社員にキントーンの基本操作を説明したところ、「これなら、できそう」と前向きな反応でした。そこでIT部門に「キントーン事務局」を立ち上げ、社員のアプリ開発をサポートする体制を構築しました。導入から2年経った今では多くの社員が積極的にアプリを開発し、約300の業務が改善されました。

栗山 各現場の業務に精通する社員に、システムに詳しいIT部門が伴走するスタイルを取ることで、短期間で多数の実用的なアプリ開発が実現したのですね。

 おっしゃるとおり、IT部門ではなく現場主導で進めたことによって、現場の社員に「この業務もキントーンで効率化しよう」と自ら考え行動する自主性が育まれ、積極的なアプリ開発につながっていると感じています。

02 現場社員の当事者意識を高め、顧客体験価値向上を加速

栗山 利用頻度が高いのは、どんなアプリですか?

 ある空港の社員が開発した「落とし物情報共有アプリ」です。これを使うことによって、空港スタッフが各自のモバイル端末上で落とし物情報をリアルタイムに共有できるようになり、お客さまからのお問い合わせに即座に対応できるようになりました。

栗山 素晴らしいですね。ストレスのない対応ができるようになったことで、お客さまだけでなく社員の皆さんの体験価値も向上したのではないでしょうか。

 そうですね。キントーンは社員体験価値の向上にも非常に有効なツールです。お客さまのニーズを最もよく知るのは現場の社員ですが、これまでは現場のニーズをIT部門に伝えてもシステム開発までに時間がかかり、スピーディーなサービス向上が困難でした。しかし、キントーンの活用でこのジレンマが解消。結果として、社員一人一人が自分も顧客体験価値向上の当事者であることを改めて認識できるようになったのではないかと思います。

栗山 現場の社員自身がキントーンで課題解決していくことの積み重ねが、顧客体験価値向上という大きな課題の解決に貢献し、会社全体の成長につながりつつあるのですね。

 はい。これからもお客さまのニーズにお応えするための心強い相棒として、キントーンを積極的に活用していきたいと考えています。

次号では「キントーン活用によるコストマネジメント」をテーマにJALの取り組みをご紹介します。

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