旅の寸景

光芒射す 瀬戸内海の朝【眼福一景】

文・撮影/森田敏隆

香川県小豆郡小豆島町、美しの原高原の四方指展望台より、淡路島方面の黎明、朝日に染まる瀬戸内海を求めて、寒霞渓への小豆島スカイラインを急ぐ。しかし東の空を、発達した雲の峰が覆っていた。朝日の撮影をあきらめ、北風吹きぬける展望台から海を眺めていると、雲間から播磨灘の海面に黄金色の光芒がいくつもの筋になって降り注ぎ始めた。入道雲がドラマチックに巨大化していく自然の素晴らしさ。感動的な朝景色だった。

 

瀬戸内海国立公園

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雲仙、霧島とともに日本で最初に指定された国立公園。東から西にかけて、淡路島、備讃瀬戸、芸予諸島、周防灘の4つの地域に大別され、その範囲は1府10県にもまたがる。点在する島々は、穏やかな気候と海に恵まれ、古くから海上交通の要衝として栄えた。情緒ある町並みや段々畑など、人の営みが自然と調和する風景が瀬戸内の見所だ。また、塩飽水夫や村上水軍の遺構が数多く残る、歴史ロマン溢れる地域でもある。

 
DATA|指定:昭和9(1934)年3月16日 面積:66,934ha(陸域のみ) 地域:大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県
環境省 日本の国立公園Webサイト

 

今月の一景へのアクセス

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高松空港から高松港…リムジンバスと徒歩で約50分。高松港から土庄(とのしょう)港…フェリーで約60分、高速船で約35分。土庄港から美しの原四方指展望台…車で約30分。

 
森田敏隆
もりた としたか/風景写真家。1946年、大阪府生まれ。国立公園の四季折々の絶景、棚田や桜などの日本の原風景を50年以上にわたり撮影し続け、80冊の写真集を発表している。

 

(SKYWARD2019年12月号掲載)
※記載の情報は2019年12月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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