もののけをテーマにしたユニークな博物館
広島県三次市は、中国地方のほぼ真ん中に位置する。三次盆地の山々に囲まれた風光明媚な景色、秋から早春の頃には霧が深く立ち込め「霧の海」を見ることができる。特に早朝の刻一刻と色が変化するその様は、実に幻想的で神秘的だ。そんな気配があったからだろうか。三次市三次町は江戸時代の中期より伝わる妖怪物語「稲生物怪録」の舞台となった地だという。この物語には怪しげな妖怪や怪異が現れるだけでなく、現存する場所や当時の三次に実在した人物まで登場するというから興味深い。そのような縁で、日本屈指の妖怪コレクターである湯本豪一氏から、約5,000点の膨大なコレクションの寄贈を受けて開館したのが「湯本豪一記念 日本妖怪博物館」だ。
私たち人間は、自然現象による災害や疫病など人知を超えた現象を「もののけ(妖怪)」に由来するものとして畏れ、ときには敬いながら共存してきたのだという。常設展示室「日本の妖怪」では、日本の妖怪に関連する資料を展示し、生活のなかで息づいてきた妖怪たちがどのように表現されてきたかを、系統的に見ることができる。描いた妖怪がスクリーンで動き、インタラクティブな体験ができる「チームラボ 妖怪遊園地」や企画展など趣向を凝らしていて楽しい。観覧後は、稲生物怪録ゆかりの場所を巡り町歩きするのがお勧め。併設する交流館のマルシェもチェックしたい。
三次市へのアクセス
湯本豪一記念 日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)
電話:0824-69-0111
住所:広島県三次市三次町1691-4
URL:miyoshi-mononoke.jp
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