旅の+one

7月3日は「ソフトクリームの日」。知られざるその歴史とご当地ソフトクリームをご紹介

今年の夏も暑くなりそうだ。5月の時点で、最高気温が30度以上の真夏日となった地域もあり、冷たいものが恋しくなる季節が始まった。

 
例えば、ソフトクリーム。今やコンビニでも買えるほど身近な存在だが、日本での歴史はあまり知られてない。まずは今から69年前の7月3日にさかのぼってソフトクリームの歴史とともに、ご当地ソフトクリームをご紹介しよう。

 

ソフトクリームの歴史をひもとく

ひんやりデザートの代表格、ソフトクリーム。日本では、1951年7月3日、東京・明治神宮外苑で行われたアメリカ独立記念日を祝うカーニバルの模擬店で初めてコーンスタイルで販売された。このことから、日本ソフトクリーム協議会は7月3日を「ソフトクリームの日」と定めた。

 
この年日本に紹介されたソフトクリームは、コーンカップにのった現代風のスタイルであるが、原形を辿ると4000年以上も前の古代中国にたどり着く。

 
紀元前2000年ごろから中国では、家畜の乳搾りがスタート。貴重な飲み物だったミルクを用いた富裕層のぜいたく品として、シャーベット状のアイスミルクのようなものや果肉入りのフルーツアイスが作られたそうだ。その後、イタリアやアメリカなど各国に広がり、前述のように日本に伝来した。

 

旅先で食べてみたいご当地ソフトクリーム

ソフトクリームといえば、ひと昔前までは専用マシンのある店でしか売られていなかった憧れのデザート。デパートのレストランやカフェなどで銀色のスタンドにセットされて登場するソフトクリームは、特別な日のごちそうであった。

 
今はコンビニでも気軽に買える時代となり、さまざまな味やオリジナル商品が販売され、ソフトクリームも多様化の時代を迎えた。特に、地方の特産品や名物を使った「ご当地ソフトクリーム」の豊富さには驚きを隠せない。

 
溶けやすい食べ物のため取り寄せや通販に向かず、その土地に行かなければ食べられないという限定感やローカル感もうれしいものだ。

 
以下では、郷土色溢れるご当地ソフトクリームや珍しい食材を使ったものなど、変わり種ソフトクリームを集めてみた。旅先で見かけたら、ぜひ味わってみてほしい。

 

【青森県】マグロソフトクリーム

tuna_sofrcream

 
青森県は、日本屈指のマグロの産地。マグロ漁獲量が青森県内1位の深浦町には「役場マグステ食堂」があり、マグロステーキ丼が食べられる。

 
同店では、名前のとおりにマグロステーキ丼を名物としているが、姉妹品として「深浦マグロソフトクリーム」も仲間入り。

 
まず、このマグロソフトクリームは見た目が印象的だ。マグロの赤身をイメージした赤色と、ボディーをイメージした銀色の2色。ソフトクリームには、地元産マグロのだし粉を混ぜ込んでいる。一見なかなかのインパクトがあるが、その見た目からは想像できない優しい味で、バニラの上品な味わいが好評だ。

 

役場マグステ食堂
電話:0173-74-2111
住所:青森県西津軽郡深浦町深浦苗代沢84-2
URL:https://www.fukauramaguro.com/shop02.html
2020年6月30日まで休業中。※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。

 

【石川県】金箔のかがやきソフトクリーム

kinpakusoftcream

 
石川県金沢市は、金箔生産量日本一。市内には「箔一(はくいち)」という金箔専門店があり、北陸新幹線の開業を記念して作られた「金箔のかがやきソフトクリーム」を販売している。

 
「金沢で金箔ソフトを食べた」と言えば土産話としても最高であり、金箔を大胆に一枚貼りしたビジュアルはインスタ映えもバッチリ。SNSへの投稿が楽しい名物ソフトクリームである。ちなみに、金箔はどんな味かといえば、ほぼ無味。ソフトクリームの濃厚な味が感じられる。

 
実は、東京・銀座でも食べられるそうだ。石川県の物産を販売するアンテナショップの「いしかわ百万石物語 江戸本店」では、金箔を貼ったソフトクリームを販売している。

 

箔一
URL:https://kanazawa.hakuichi.co.jp
※「金箔のかがやきソフトクリーム」は、本店、東山店、香林坊アトリオ店、兼六園店の4店舗で提供されています。
 
いしかわ百万石物語 江戸本店
電話:03-5579-5890  (2020年5月末までは、0570-081450)
住所:東京都中央区銀座2-2-18 TH銀座ビル
URL:https://100mangokushop.jp/
※2020年5月末まで休業予定。
※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。上記公式Webサイトをご確認のうえ、お出かけください。

 

【茨城県ほか】明太ソフトクリーム


 
明太子といえば、福岡。福岡に本社がある明太子の老舗「かねふく」は、茨城県大洗町、愛知県常滑市、兵庫県神戸市、静岡県函南町(かんなみちょう)で明太子専門のテーマパークを運営中。その名も、「めんたいパーク」。

 
めんたいパークでは、工場見学やできたて明太子の試食のほか、明太子を使ったオリジナル商品が食べられるフードコーナーなどがある。注目してほしいのが、「明太ソフトクリーム」。甘いソフトクリームの甘みと、ピリッと辛い明太子が意外なほどよくマッチ。明太子の塩気がソフトクリームをよく引き立てている。口の中で躍るツブツブ感も楽しい。

 

めんたいパーク
URL:https://mentai-park.com/
 
めんたいパーク大洗
電話:029-219-4101
住所:茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8255-3(大洗港第二埠頭内)
 
めんたいパークとこなめ
電話:0569-35-9900
住所:愛知県常滑市りんくう町1-25-4
 
めんたいパーク神戸三田
電話:078-986-1137
住所:兵庫県神戸市北区赤松台1-7-1
 
めんたいパーク伊豆
電話:055-928-9012
住所:静岡県田方郡函南町塚本753-1
※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。

 

【山梨県】桔梗信玄ソフト+

shingensoftcream

 
山梨土産の「桔梗信玄餅(ききょうしんげんもち)」。山梨といえば戦国武将の武田信玄であるが、桔梗信玄餅とは実は無関係である。山梨を代表する英雄として「信玄」の名を冠している。

 
桔梗信玄餅はやわらかな口当たりの餅に、香ばしいきな粉とコクのある黒みつソースをからめながら食べる。

 
最近では、そのまま食べてもおいしい桔梗信玄餅をソフトクリームにのせた「桔梗信玄ソフト」が人気を集めている。ボリューム感と食べ応えはもちろんのこと、ソフトクリームのなめらかさと餅のもちもち食感の対比がユニークだ。

 
さらに、ドーナツ風生地の「桔梗信玄棒」が追加された「桔梗信玄ソフト+(プラス)」という商品も。それぞれ、山梨県内の観光地などで食べられる。

 

桔梗屋
URL:http://honkan.kikyouya.co.jp/
※各店舗に桔梗信玄ソフトの販売の有無をお問い合わせのうえ、お出かけください。
※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。

 

【岡山県】インディゴソフト

indigosoftcream

 
岡山県倉敷市児島は、国産ジーンズ発祥の地。町おこしの一環として、商店街の空き店舗を利用した「児島ジーンズストリート」が誕生し、個性的なジーンズショップが軒を連ねる。

 
児島ジーンズストリートの中に、カフェ併設のコミュニティステーション「RIVETS(リベッツ)」があり、ジーンズをイメージした「インディゴソフト」を販売中。

 
児島は塩の産地でもあるので、ベースは塩バニラ味。その上に、藍パウダーをトッピングした涼しげなインディゴブルーのソフトクリームだ。味は、見た目どおりの爽やかさ。

 

RIVETS(リベッツ)
電話:086-441-9100
住所:岡山県倉敷市児島味野2-5-3
URL:http://www.kojima-town.net/rivets/
※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。

 

【香川県】オリーブソフトクリーム・醤油ソフトクリーム

olievesoftcream

 
日本にオリーブが持ち込まれたのは、1908年のこと。香川県だけでなく三重県や鹿児島県も栽培に挑戦したが、成功したのは香川県だけ。その後、徐々に栽培面積が広がり、小豆島(しょうどしま)を中心にオリーブ栽培が盛んになった。現在、香川県はオリーブ生産量日本一を誇る。

 
小豆島を訪れると、オリーブオイルのほか、オリーブの実や葉を使った土産物が目に入る。なかでも注目すべきはオリーブのソフトクリームで、「道の駅小豆島オリーブ公園」などで販売されている。小豆島オリーブ公園の「オリーブソフト」は、オリーブの葉を粉末にしたものを練り込んでおり、オリーブの風味がほんのり香る。甘さは控えめで食べやすい。

 
小豆島は醤油製造も盛んだ。文禄年間(1592~1595年)から醤油造りが行われたという説があり、明治時代には400もの醤油蔵があったとも。現在は約20軒の醤油蔵があり、その半数ほどで昔ながらの木桶仕込みの醤油製造をしている。

 
全国の醤油造りに使われる木桶の3分の1以上が小豆島だそうだ。このような理由から、複数の醤油蔵の売店で「醤油ソフトクリーム」が販売されている。マルキン醤油記念館、タケサン記念館 一徳庵(こちらは、醤油を搾る前のもろみのソフトクリーム)、ヤマロク醤油など、さすが醤油の島だけあって、さまざまな醤油ソフトクリームに出合えるので、食べ比べも楽しいだろう。

 

道の駅 小豆島オリーブ公園
電話:0879-82-2200
住所:香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1
URL:https://www.olive-pk.jp/
 
小豆島醤油協同組合
URL:http://shima-shoyu.com/
6月1日から営業再開予定。
 
掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。

 

進化するご当地ソフトクリームの世界

softcream

 
コーンカップスタイルのソフトクリームが日本に紹介されてから、約70年。その間に独特の進化を遂げ、各地で個性的なご当地ソフトクリームが誕生した。これぞ、食の多様性そのものである。四方を海に囲まれ、国土の約7割が森林に覆われた日本ならではの環境が生み出した食文化を、見事に体現しているといえそうだ。

 
ここで紹介したもの以外に、新作ソフトクリームもどんどん誕生しそうな気配がある。今年の夏も、夏が終わってからも、ご当地ソフトクリームから目が離せない。

 
※掲載店舗情報は、2020年5月時点のものです。新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になる可能性があります。お出かけの際は、各自治体の要請に従ってください。
 
 

関連記事

EDITORS RECOMMEND~編集部のおすすめ~

キーワードで記事を探す