「泣く子はいねが〜! 怠け者はいねが〜!」
大晦日の夜、鬼のような形相のナマハゲが家々を訪れる──。
秋田県男鹿地方で受け継がれてきたこの風習を、1年中体感できるのが「なまはげ館」だ。150体の面の展示、迫力の実演、変身体験など、ここは“彼ら”の全てに出会える人気スポットである。
本記事では、
・ナマハゲとは? どこで出会えるのか
・なまはげ館の見どころと楽しみ方
・周辺の観光スポットとアクセス情報
を詳しく解説。少し恐ろしく!? どこか温かい。世代を問わず惹きつけるナマハゲの世界へ、足を踏み入れてみよう。
目次
なまはげ館とは? 唯一無二の伝統文化体験スポット
ユネスコ無形文化遺産「ナマハゲ」を体感できる唯一の場所
▲ナマハゲの持ち物は、木製の包丁や神のしるしである御幣をつけた杖などが多い。
▲男鹿真山伝承館での実演の様子。ナマハゲは暴れるだけではない。その動作に昔からのしきたりがあり、今も受け継がれている。
秋田・男鹿で大切にされてきたナマハゲは、怠け者を戒め、家族の健康を祈る神々の化身とされている。2018年には「男鹿のナマハゲ」としてユネスコ無形文化遺産に登録され、その歴史と意味は深い。
なまはげ館では、そんなナマハゲの多彩なお面を見たり、映像や変身体験で文化に触れたりすることができる。
隣接する「男鹿真山(おがしんざん)伝承館」では、大晦日のナマハゲ行事を通年で再現。ナマハゲが実際に家に入り込む臨場感溢れる実演は、ここでしか味わえない貴重な体験だ。
両館は徒歩数分の距離にあるので、セットで訪ねたい。
なまはげ館の見どころを徹底解説
全国最大規模!150体以上のナマハゲ面の展示
▲これほど種類があるとは!
なまはげ館といえば、圧巻のナマハゲ面コレクション。男鹿市内の各地域で実際に使われてきた150以上の面は、どれも表情が異なり、荒々しいものからどこかユーモラスなものまで多彩だ。地域ごとの特徴がにじみ出ており、その違いを見比べていくだけでも、ナマハゲ文化の奥深さがひしひしと伝わってくる。
館内では大晦日のナマハゲ習俗を紹介する15分間の映像を30分おきに上映(8:30〜16:30)。男鹿の人々がどのような思いでこの風習を守り続けてきたのか、その背景にある祈りや願いに触れられる内容となっている。
滞在所要時間は? 子どもは楽しめる?
▲子どもにも容赦なし。
所要時間(目安):
・なまはげ館:30分〜1時間
・男鹿真山伝承館(ナマハゲ実演):20分
・両館あわせて合計:1〜2時間
子どもも楽しめる?
・体験型展示で人気。
・伝承館でのナマハゲ実演は、保育園や幼稚園の節分が苦手な怖がりなお子さんには少し刺激が強いと感じることも。事前になまはげ館の映像コーナーなどで雰囲気をつかんでおくと、より安心して楽しめる。
なまはげ館の基本情報
所在地・営業時間・入館料金・定休日
▲左/石造りのなまはげ館。右/男鹿真山伝承館。出典:なまはげ館(URL)
なまはげ館・男鹿真山伝承館
住所:秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢
電話:0185-22-5050
定休日:なし(年末年始も営業)
営業時間:8:30~17:00
入館料:[なまはげ館のみ]660円、小中高生330円、[男鹿真山伝承館との共通入館料]1,100円、小中高生660円
駐車場料金:無料。一般車250台駐車可能
男鹿真山伝承館(実演時間):毎日。4月~11月は1日13回、12月~3月は1日6回。※年末年始は特別時間。
実演時間:約20分
URL:https://namahage.co.jp/namahagekan/
実際に体験! ナマハゲになれる「衣装体験」「AR体験」
▲出典:なまはげ館(URL)
大人から子どもまで楽しめると好評なのが、ナマハゲの面や衣装、持ち物を身に着けられる変身コーナー。せっかくなので写真撮影では、腕を振り上げたり、手を突き出したりして、ナマハゲになりきろう!また、館内で専用のアプリをダウンロードすれば、自身のスマホを使ってAR活用でナマハゲに変身できるので、SNS映えも◎。
なまはげ館のお土産&グッズ紹介
▲なまはげのおくりもの。出典:お菓子のにこり(URL)
館内の売店では、ナマハゲグッズを多数取り揃えている。注目は、世界で唯一のナマハゲ面彫師・石川千秋氏による一刀彫りの面。人気の菓子「なまはげのおくりもの」は、面をかたどった最中の皮に、米粉のサブレを詰めたもの。塩キャラメル味もある。
アクセス方法
なまはげ館へは、公共交通でもアクセスしやすく、車がない旅行者や一人旅でも困らない。
▼秋田空港から:エアポートライナー 男鹿半島号(予約制)
・秋田空港となまはげ館・男鹿温泉郷などを結ぶ予約制の乗合タクシー。
・料金:7,300円(子どもは半額)[空港→なまはげ館(95分)、空港→男鹿温泉郷(110分)]
・予約方法:Webサイトは前々日17:00まで、電話は前日17:00までに要予約。当日不可
・電話:018-867-7444(キングタクシー)
・URL:https://akita.airportliner.net/jp/timeSelect/
▼男鹿駅から:男鹿半島あいのりタクシー「なまはげシャトル」(予約制)
・予約制のあいのり観光タクシー。男鹿駅から、真山エリア(なまはげ館)・男鹿温泉郷など男鹿半島の観光地を定時で巡る。
・通常のタクシーより割安。
・料金:男鹿駅 → なまはげ館・男鹿真山伝承館(約20分、1,100円)など
・予約方法:Webサイトは前日21:00まで、電話は前日17:00までに要予約。当日不可
・電話:0185-24-2100(9:00〜17:00)
・URL:https://oganavi.com/namahage_shuttle/ja/namahage_shuttle/
▼男鹿駅へのアクセス方法
・秋田駅 → 男鹿駅(JR男鹿線 約55分)
▼車(レンタカー)の場合
・秋田空港 → なまはげ館(約1時間半)
・秋田駅 → なまはげ館(約1時間)
知っておきたい訪問前の注意点と便利情報
服装・持ち物(特に冬季)
豪雪の印象が強い秋田県だが、男鹿市は内陸部よりは比較的降雪が少ない。とはいえ、寒さは厳しく防寒対策はマスト。ブーツまたは滑り止め付きの靴を用意しておこう。
予約の必要性・オンラインチケットの購入方法
なまはげ館は、予約する必要はなく当日受付で入館できる。男鹿真山伝承館は定員制のため満席の場合も。確実に参加したい場合は前日までになまはげ館に電話(0185-22-5050)しておくと確実だ。
季節イベント・なまはげ関連行事の楽しみ方
「なまはげ柴灯まつり」との連携・開催時期
真冬に行くなら、毎年2月第2金・土・日曜(3日間)に真山神社で行われる「なまはげ柴灯(せど)まつり」に参加するのがおすすめ。雪に包まれた神社で、かがり火の明かりに浮かび上がるナマハゲの乱舞は幻想的かつ圧巻だ。
会場の収容は各日2,000名まで。入場には事前申込が必要で、協賛金は1名1,000円(中学生以下無料)。申込時期や詳細は、なまはげ館や男鹿市観光協会の公式Webサイト(https://oganavi.com/)で確認を。
なまはげ館を訪れた人の口コミ・体験談まとめ
「なまはげ館では、地域ごとに異なるなまはげのお面や衣装のバリエーションの豊かさに驚かされました。隣接する男鹿真山伝承館では、しきたりや行事の意味を丁寧に説明してくれた後に、本物のなまはげが登場! 想像を超える迫力で、大人が十分に楽しめる、記憶に残るスポットです」(2024年に、なまはげ館を訪れた、JALグループの機内誌『SKYWARD』編集長・飯田未知)
ナマハゲの造形美や文化的背景に直接触れられる点が、多くの来館者にとって大きな魅力となっている。
なまはげ館のおすすめ周辺観光スポット紹介
男鹿温泉郷で「なまはげ太鼓」
なまはげ館や伝承館を訪ねた後は、男鹿温泉郷へ! 塩分を多く含むナトリウム塩化物泉の湯に浸かれるだけでなく、「男鹿温泉交流会館 五風」では、毎日20時30分から「なまはげ太鼓」の常設公演が行われている。ナマハゲと和太鼓が融合した迫力ある演奏は必見。チケットは宿のフロントや五風で購入できる。
男鹿温泉郷の宿泊情報はこちら
https://e-ogaonsen.com/
男鹿温泉交流会館 五風
住所:秋田県男鹿市北浦湯本字草木原21-2
電話:0185-33-3191
時間:20:30~(開場20:00/演奏時間30分程度)
料金:700円、小学生400円、幼児無料
公演期間:4月~11月(休演日あり)
URL:https://e-ogaonsen.com/taiko/
入道崎
▲石焼料理は、男鹿温泉郷の宿でも味わえる。出典:男鹿ナビ(URL)
翌日は、男鹿半島の北端「入道崎」へ。断崖絶壁のむこうに雄大な日本海のパノラマが広がる景勝地で、日本に16しかない“登れる”灯台「入道埼灯台」もある。ランチには男鹿の郷土料理、石焼料理がおすすめ。「お食事処 美野幸(みのこう)」では、真鯛の出汁や岩海苔が入った木桶の鍋に、熱した石を投入し、旨味を閉じ込めた熱々の一品が味わえる。
入道崎
住所:秋田県男鹿市北浦入道崎昆布浦2
アクセス:男鹿温泉からなまはげシャトル(要予約)で約40分
男鹿水族館GAO
「男鹿水族館GAO」もファミリーやカップルに人気。日本海を望む立地でホッキョクグマやペンギン、アザラシなど約400種1万点の生きものが迎えてくれる。特にホッキョクグマの豪太とモモは人気者!
住所:秋田県男鹿市戸賀塩浜
電話:0185-32-2221
定休日:毎月1回、冬季休みあり※年度で異なるためWebサイトにて確認を
営業時間:[4月〜10月]9:00~17:00(最終入館16:00)、[11月〜2月]9:00~16:00(最終入館15:00)
入館料:1,300円、小・中学生500円、幼児(未就学児)無料
アクセス:男鹿温泉からなまはげシャトル(要予約)で約20分
URL:https://www.gao-aqua.jp/
鵜ノ崎海岸
ドライブなら、男鹿半島南部の「鵜ノ崎海岸」へ。ここは“秋田のウユニ塩湖”と呼ばれ、干潮時には海岸から約200mにわたって浅瀬になる。穏やかな天気のときは、水面が鏡のようになり、絶景が楽しめる。特に秋から冬の風がない日がおすすめ。
住所:秋田県男鹿市船川港女川二ツ坂(鵜ノ崎海岸公園)
アクセス:男鹿温泉郷から車で約30分、または男鹿駅から車で約10分
ゴジラ岩
男鹿半島南部、潮瀬崎には奇岩「ゴジラ岩」があり、SNSを中心に人気を呼んでいる。岩場を歩くため、スニーカーなど歩きやすい靴が◎。
住所:秋田県男鹿市船川港門前
アクセス:男鹿温泉郷から車で約30分、または男鹿駅から車で約20分
まとめ:なまはげ館で秋田・男鹿の魅力を堪能しよう!
ナマハゲ文化を見て、体感ができる、秋田男鹿のなまはげ館。臨場感ある実演や、衣装体験、夜のなまはげ太鼓、季節のイベントまで、多彩な魅力に満ちている。
温泉・グルメ・自然景観も楽しめる男鹿エリア。大人も子どもも、一人旅でも、秋田を旅するなら、なまはげ館を中心に、心に残る旅を楽しもう。
なまはげ館
住所:男鹿市北浦真山字水喰沢
URL:https://namahage.co.jp/namahagekan/
なまはげ館とセットで巡りたい男鹿半島の記事はこちら
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