2024年4月29日(月)は「昭和の日」。しかしこの日はかつて「天長節」「天皇誕生日」「みどりの日」などと呼ばれ、現在4つ目の名前で呼ばれているという珍しい祝日だ。この機会に「昭和の日」の意味や由来を知り、60年以上も続いた昭和の日々に想いを馳せてみてはいかがだろうか。
この記事では、
・昭和の日とは何か?
・みどりの日との関係は?
・明治の日・大正の日・平成の日はある?
などを紹介する。
目次
昭和の日とは?
4月29日は「昭和の日」。毎年の「ゴールデンウィーク」を構成している4つの祝日のトップバッターだ。この日は1927年(昭和2)年から国民の祝日だが、実は現在に至るまで、3回にわたり名前を変えてきた。。
「天長節」(1927~1947年)
まず最初は「天長節」と呼ばれていた。「天長節」は、その世の「天皇の誕生日を祝う日」の意。老子の「天は長く地は久し」(天地が永久であるように天皇の治世も続くように)という言葉から付けられたとされる。日本では8世紀から、天長節を祝う慣習があった。国民の祝日となったのは明治時代から。以降、天皇が変わるごとに日付が変わり、昭和天皇の時代に4月29日に。
「天皇誕生日」(1948~1988年)
2番目の名前は「天皇誕生日」。戦後の1948(昭和23)年、「国民の祝日に関する法律」が制定され、昭和天皇の「天長節」だった4月29日は「天皇誕生日」と名前を変えた。
「みどりの日」(1989~2006年)
3番目の名前は「みどりの日」。1989年に昭和天皇が崩御。元号は「平成」となり、天皇誕生日は12月23日に変わった。しかし、4月29日はゴールデンウィークを構成する祝日の一つとして定着しており、平日に戻すことで国民の生活に影響が出るといった懸念から、名前を「みどりの日」と変えて祝日のままに。その趣旨は「自然にしたしむと共にその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」とされた。昭和天皇が植物に造詣が深く、自然をこよなく愛されたことが由来といわれている。
みどりの日との関係は?
4月29日の「みどりの日」はその後18年続いたが、2007年に新たに「昭和の日」と改名され、「みどりの日」は5月4日に移動することとなった。
5月4日はもともと平日だったが、3日の「憲法記念日」と5日の「こどもの日」に挟まれ、この3日間が飛び石連休になるため、「国民の祝日に関する法律」の改正で「『国民の祝日』に挟まれた平日は休日になる」と定められた。その後、4月29日が「昭和の日」となったことで、いわば玉突き的に5月4日が「みどりの日」になった。
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明治の日・大正の日・平成の日はある?
明治時代は11月3日、大正時代は8月31日と、それぞれの天皇の御代では誕生日が「天長節」として祝日とされていた。明治天皇の崩御から15年後の1927年、11月3日は明治天皇を偲ぶ「明治節」に。そして1948年、「文化の日」と改められた。
大正天皇の誕生日の8月31日は、「天長節」として祝日ではあったものの、残暑厳しい時期で各種式典を執り行うことが難しいと、10月31日を「天長節祝日」、つまり「誕生日をお祝いする日」に。大正時代には天皇誕生日の祝日が2日あったことになる。崩御後はどちらも平日に戻っている。
平成の時代には、明仁天皇の誕生日である12月23日が「天皇誕生日」だったが、2020(平成31)年に譲位によって現在の徳仁天皇が即位し、元号は令和に。それとともに、天皇誕生日は2月23日になった。前の天皇誕生日である12月23日を「平成の日」として祝日にする議論もあるが、現状は平日のままとなっている。
元号が令和に変わり、「昭和の日がなくなるのでは?」と考える向きもある。しかし4月29日はゴールデンウィークを構成する重要な祝日であり、また名前が変わりながら残っていくのかもしれない。
昭和の日にすることは?
前述の「国民の祝日に関する法律」では「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代をかえりみ、国の将来に思いをいたす」日とされている。
60年以上と長く続いた昭和は、太平洋戦争や未曾有の天災も数多く起き、日本人にとって苦難とそこからの復興の時代でもあった。一方で、東京オリンピックや大阪万博が開催され、高度経済成長を遂げ世界屈指の経済大国になるなど、大いなる発展の歴史でもある。
政府広報では「今日の日本は、このような時代の礎の上に築かれたものであり、昭和の時代を顧み、歴史的教訓を酌み取ることによって、平和国家、日本のあり方に思いをいたし、未来への指針を学び取ることは、我が国の将来にとって極めて意義深いこと」としている。
今、改めてその歴史やカルチャーが注目されている昭和。さまざまな「昭和」に思いを馳せてみてはどうだろうか?
「昭和の日」を最高の休日にしよう
4つもの名前の変遷を経てきた祝日である4月29日。現在は「昭和の日」だが、かつて「みどりの日」でもあったように、新緑が美しい季節。そしてなんといっても、毎年ゴールデンウィークのスタートを飾る祝日でもある。気持ちのいい自然の中で、最高の大型連休を過ごせるように、早めに計画を立てておこう。
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