旅の+one

【猫の日特集】一度は行ってみたい日本の「猫の島」

国土交通省が発表した「離島の現状と振興について」によると、日本国内の有人島数は418島。そのなかには、猫が多数住んでいる“猫の島”がいくつかある。猫の日である2月22日には、猫の島への旅行もおすすめだ。

 

2月22日は猫の日! 猫の鳴き声が名前の由来

愛猫家からなる「猫の日実行委員会」と「一般社団法人ペットフード協会」によって、1987年に制定された“猫の日”。

 
猫の日は世界各国にあり、ロシアは3月1日、アメリカ合衆国は10月29日がそれにあたるが、日本の猫の日が2月22日であるのは、猫の鳴き声である“にゃん、にゃん、にゃん”と語呂を合わせたことに由来している。

 

猫神社もある田代島(宮城県)

cats

 
宮城県石巻市中心部から約17kmのところに位置する田代島には、約130匹もの猫が暮らしている。その数は島民の倍で、猫の島として多くの愛猫家から親しまれている。島には大泊港、仁斗田(にとだ)港と2つの港があり、定期船で石巻中央発着所から約40分、石巻門脇発着所からであれば約30分で到着する。

 
田代島に多くの猫が住んでいる理由は、島の歴史から読み取れる。島では漁業に加え、養蚕業が盛んに行われてきた。その際、ネズミから繭を守ることを目的として猫が多く飼われてきた。また、漁業が盛んなため猫の食料が豊富にあり、多くの猫が居ついたと考えられる。そのため、タイミングがあえば、港で魚を食べる猫にも遭遇できるかもしれない。

 
田代島の中央には、猫神社と呼ばれる、猫を祀った美与利(みより)大明神がある。この神社が建立されたのには、ある伝説が関係している。昔、漁師が船の錨を作るために石を砕いた際に、1匹の猫に飛び散った石がぶつかり亡くなったという。これに心を痛めた網元が、猫の供養のために建てたのが猫神社だ。神社の祠は観光客をはじめ、愛猫家からのたくさんのお供え物で溢れている。

 

300匹もの猫が住む真鍋島(岡山県)

cats

 
岡山県笠岡市笠岡港住吉乗り場から約18km、船で約45分の場所に位置する真鍋島。瀬戸内海に浮かぶ人口300人にも満たないこの島にも猫は多く住んでおり、その数は300匹を超えるほど。

 
この島は、映画『獄門島』(1977年)、映画『瀬戸内少年野球団』(1984年)のロケ地として知られているが、近年では“猫の島”として注目を浴びている。真鍋島が位置する瀬戸内海は年間を通じて天気、湿度が安定しているため、島内ではノビノビと暮らす猫たちに遭遇するだろう。

 
真鍋島では猫との触れ合い、名作のロケ地巡り以外にも、瀬戸内海を望む公園“真鍋島ふれあいパーク”で旅情にふけるのもおすすめだ。元々真鍋島では寒菊の栽培が行われており、“花の島”としても知られている。真鍋島ふれあいパークには、寒菊はもちろん、ツツジやマーガレット、キンセンカをはじめとした四季折々の花が植えられているため、花の島である真鍋島の魅力を存分に味わえる。

 

飛び猫で話題になった佐柳島(香川県)

cats

 
真鍋島と同じく、瀬戸内海に位置する香川県・佐柳(さなぎ)島も猫の島として知られている。周囲わずか約4km、人口70人以下という小さなこの島が猫の島として広く知られるようになったのは、SNSがきっかけ。湾岸に立ち並ぶ堤防から堤防へと見事に飛び移る猫、“飛び猫”の姿がSNSにアップされたことで、多くの人が訪れるようになった。

 
佐柳島への所要時間は、香川県仲多度郡多度津町にある多度津港からフェリーで1時間ほど。フェリーが到着する本浦港付近は、飛び猫の撮影スポットで、タイミングが合えば瀬戸内海と青い空を背景に、勢いよく飛ぶ猫の姿を写真に収められるかもしれない。

 
飛び猫の写真を撮ろうと、堤防の端に餌を置くケースがあるが、島内には猫への餌やりルールがあるので、マナーをわきまえて撮影するのが望ましい。猫との時間を堪能したら、島唯一の宿泊施設に泊まるのもよいだろう。以前は観光客が少なかったために、島内には宿泊施設がなかったが、猫の島としての人気をうけて、2015年に誕生したのが「ネコノシマホステル」だ。

 
同ホステルは、廃校になった小学校を宿泊施設としてリノベーション。人体模型、ビーカーをはじめとした理科の実験器具がインテリアとして飾られている。
このホステルの魅力は室内の独特な雰囲気だけではない。部屋の窓から瀬戸内海が一望できる絶好のロケーションも魅力だ。

 

神と猫が同居する久高島(沖縄県)

cats

 
沖縄県南城市知念安座真港から高速船で約15分、フェリーで約25分の離島、沖縄県久高島。この島は琉球の祖神・アマミキヨが降り立ったという伝説の岬、カベール岬をはじめ、神話の舞台となったスポットが数多くあることから“神の島”とも呼ばれている。

 
島内は車の往来も少ないため、道端の木陰で横たわってのんびりと昼寝をしている猫も多い。港に近い集落のあたりを散策するだけでも、愛嬌ある猫たちに出会えるだろう。

 
久高島を訪れたらぜひ味わいたいのが、イラブー汁だ。イラブーとはエラブウミヘビと呼ばれるウミヘビの一種。かつてイラブーは、琉球時代の信仰における女司祭ノロだけが捕獲することを許されていたというが、現在では、島の徳仁港脇の食堂でも提供されている。

 
イラブー汁に使われるイラブーは、バイカンヤーと呼ばれる燻製小屋で燻されており、それを昆布やソーキと煮込んでいる。最初こそ見た目の抵抗はあるかもしれないが、その味は芳醇な香りのカツオ節のようだ。

 
久高島の中央部東南側には、五穀の種が入った壺が流れつき、沖縄の農耕が始まったとされるイシキ浜がある。イシキ浜のように聖域とされる浜は遊泳が禁止されているので注意が必要だ。また、神事のために島自体への立ち入りが禁止される時期もある。

 

猫の島は猫好きの楽園

猫島は日本各地にある。住んでいる猫たちの魅力は島によって異なるが、どの島に住む猫も、住民たちに愛され人々と共存していることがわかる。

 
また、いずれの島も猫だけでなく、豊かな自然が堪能できるスポットが溢れている。猫島を訪れた際は、猫はもちろんのこと島の歴史と自然にも触れてみてほしい。

 
 

関連記事

EDITORS RECOMMEND~編集部のおすすめ~

キーワードで記事を探す