旅の+one

渡航前の暇つぶしを上質な時間に。羽田空港国際線ターミナルを小散歩

文/新宅裕子

東京の空の玄関口として日本最大の発着数、利用客数を誇る羽田空港。その国際線ターミナルは2010年の開業から、国内外への日本文化発信の場として進化を続けてきた。今回は、そんな羽田空港国際線ターミナルを小散歩。渡航前の暇つぶしにもおすすめの各スポットを紹介しよう。

 

ベンチとテーブルが常設された5階展望デッキ

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さまざまな国の航空機を見られるのも国際線ターミナルの醍醐味。羽田空港は4つの滑走路があり、次から次へと飛行機が離発着する。そんな飛行機を眺めるなら5階展望デッキがおすすめ。
設置されているデジタル案内板をタッチすれば、尾翼サインからその航空会社の名前や就航先に関する解説も読むことができ、気になるデザインを見つけたらすぐに調べられるのも嬉しい。ベンチやテーブルも常設されているので、テイクアウトのハンバーガーやコーヒーを持ち込んで腰をかけ、のんびりと空を仰ぎながら開放感を味わうのもよい。

 
空の玄関口で、飛行機の飛び立つ雄姿を間近に望みながら、遠い異国の地を想像するだけでも心が踊る。24時間開放されているため、夜景鑑賞にも人気。滑走路やターミナルのライトアップを背景に、幻想的な光景を堪能できる。

 

名匠・中村外二工務店が伝統的手法で再現した「江戸小路」

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3階出発ロビーを見下ろす吹き抜けの4階には、数寄屋建築の名匠として知られる中村外二工務店が、伝統的な手法を使って再現したという江戸の町並み「江戸小路」が賑わいを見せる。情緒溢れるこの商業エリアには、世界に誇る日本の技と文化がちりばめられ、随所に匠の思い入れを感じる。

 
「新しい日本・東京」の魅力を発信するために厳選された店舗が立ち並んでおり、老舗の逸品にも出合える。日本人でも新たな発見があるはずだ。芝居小屋を模した店前の歌舞伎文字もすべて職人による本物。触って墨の厚みを確かめてみるのも面白い。

 
江戸末期創業の老舗旅館が運営する回転寿司「ありそ鮨し」や、そばと焼き鳥が楽しめる「焼鳥 蕎麦 二尺五寸」、おでんの名店「銀座 おぐ羅」といった小粋な食事処が連なる「江戸前横丁」。さらに、明治26年創業のうなぎ屋「つきじ宮川本廛」や、本物のだしの美味しさを伝える「日本橋だし場」など、何度行ってもつい目移りしてしまう「おこのみ横丁」にはさりげなく浮世絵も飾られており、細部に注目しながら散策しても楽しいスポットだ。

 

昔も今も旅人を見送る日本橋

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江戸の風情はまだまだ続く。「おこのみ横丁」のさらに奥に進んでいくと、姿を現すのが吉野産の総檜造りによる木造橋、「はねだ日本橋」。幅約4m、全長約25mと幅、長さともに当時の日本橋の半分サイズで再現されている。壁面は江戸の町の賑わいが描かれた陶板画で装飾されている一方、橋の下には出発ロビーの賑やかな眺めが広がる。

 
橋を渡って広場に出ればそこは櫓と提灯飾りに彩られた「お祭り広場」。自動販売機では木札が販売されており、夢や希望をしたためて壁に掛けられるという、絵馬のような願掛けもできる。大空に飛び立ち、羽ばたく起点となる空港で1つ願い事をしてみよう。

 
広場には茶店風の赤い傘と長椅子が置かれておりひと休みできる。古風でありながら、それが新鮮にも感じられる面白味ある江戸の町並みだ。

 

満天の星空の下でカフェタイム

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カフェでひと休みしたい。そんなときには、新コンセプトのPLANETARIUM Starry Cafe(プラネタリウムスターリーカフェ)はいかがだろうか。その名の通り、カフェとプラネタリウムが一体化した珍しいスタイルで、満天の星空を眺めながらドリンクに加え、パスタなどの食事やケーキセットも楽しむことができる。

 
かすかな極小の星まで、4000万個もの輝きを再現するという最新システムを誇り、カフェとは思えないほど本格的。15分のプラネタリウム番組が投影されると、つい時間を忘れてその美しい星空に見入ってしまう。

 
短いプログラム(3分)やオリジナルアニメも随時上映され、季節ごとに内容が変わるほか、17:30以降のバータイムにはオリジナルカクテルもメニューに加わり、時間帯によって異なる雰囲気が味わえるのも魅力だ。また違う夜空を探しに訪れたい。

 

月に一度、無料ガイドツアーも

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見どころたっぷりの羽田空港国際線ターミナルを効率よく回りたいのであれば、無料ガイドツアーもおすすめ。ガイドの解説付きでターミナルを巡る1時間の見学ツアーが月に一度行われており、参加すれば理解も深まり、より空港を楽しめる。

 
定期的に開かれている「にっぽんは、楽しいぞ!」は、日本全国からさまざまな地域や町が主体となって集まり、その伝統や文化、特産品などを紹介するイベント。展示物だけではなく、ものづくりワークショップなどを通じて、今まで知らなかった日本の一面に実際に触れ、体験できる絶好の機会となるだろう。

 
その他、無料コンサートなどのユニークな企画も実施されている。事前にイベント情報をチェックして足を運んでみるのもいい。
 
 

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