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火起こしの方法を解説|焚き火を成功させる手順と必須道具

キャンプファイヤーにバーベキュー、「火」はキャンプの主役だ。しかし、きちんとした手順とコツを知らないと、火は思うように付いてくれない。だからこそ、手際よく火を起こせるようになれば、同行の仲間たちからも一目置かれるに違いない。

 
この記事では、アウトドア初心者に向け、

 
・火起こしの手順
・火起こしに必要な道具
・焚き火のマナー
・焚き火台の選び方

 
について解説する。

 

火を制するものはキャンプを制す

 
キャンプと切っても切れない関係にある「焚き火」。バーベキューなどのアウトドア料理に火は欠かせない。焚き火でコーヒーを焙煎するというツワモノもいる。寒い日や夜間は焚き火によって暖を取ることができる。

 
そもそも、火を起こし、火を育て、火を眺めるという一連の行為が日常生活ではまず体験できないことで、キャンプの最大の楽しみといえるかもしれない。火にはとことんこだわりたい。その第一歩は、うまく火を起こすことだ。

 

火起こしの手順

素早く、確実に火を起こせる「火起こし名人」になれるよう、手順とコツを学ぼう。

 

薪か、炭か

 
薪は木を切って、乾かしたもの。一方、炭は木材を時間をかけて蒸し焼きにし、炭化させたもの。

 
薪は比較的容易に火が付き、炎が上がる。薪割り、井桁(いげた)に組み上げた姿、キャンプファイヤー……キャンプの雰囲気作りという点では薪に軍配が上がるだろう。

 
一方、炭は火付きは悪いがいったん着火すると火力が安定し、燃焼時間も長い。見た目は地味だが、炭が出す遠赤外線は料理に実力を発揮する。煙がほとんど出ないのも炭の長所だ。

 
これ以降は、薪に絞って話をしたい。

 

薪を選ぶ

 
薪はキャンプ場やホームセンターで購入する。キャンプサイト内で薪を拾い集められることもあるが、湿っていることが多く、火付けに難儀することがあるので、初心者は十分に乾いた薪を買うことを勧めたい。

 
薪には大きく分けて二つの種類がある。スギやマツ、ヒノキなどの針葉樹は油分が多く燃えやすい。カシ、ナラ、ケヤキなどの広葉樹は硬くて燃えにくいが、いったん火が付くと火もちがよい。

 
理想はこれらの両方を用意すること。最初に火の付きやすい針葉樹を燃やし、後から火もちのよい広葉樹をくべていく。

 

焚き火台に薪を組む

 
事前に薪を細くて燃えやすいものと、太くて火もちのよいものに分けておく。売っている薪は太いものだけのことが多いので、その際は割ったり削ったりして燃えやすいサイズのものを作る必要がある。

 
薪の組み方にはいろいろあるが、基本形は井桁。文字どおり、薪を「井」の形に組み上げる。土台となる部分には太くて火もちのよい薪を使う。

 

着火剤をセットする

 
適度な高さに井桁を組み上げたら、真ん中に着火剤を置く。着火剤には、固形、ジェルタイプなどがある。古紙をひねったもの、牛乳パックや段ボールの切れ端、枯れ草や小枝、松ぼっくりなどを使う方法もある。薪を細く割り、先端の表面を薄く削って「フェザースティック」を作り、着火に使うこともできる。

 
枯れたスギの葉や麻ひもなどはよく火が付くが、やはり市販の着火剤が一番確実だろう。

 

点火する

着火剤に火を付ける際には、柄の長いライター、ファイヤートーチ、バーナーなどを用いる。やけどの危険性が最も高いのはこの点火時なので、耐火グローブを忘れずに装着すること。

 
より本格派の点火にトライしたい人は、マグネシウム棒を金属板に擦って火花を飛ばすファイヤースターターがおすすめ。

 

火を育てる

 
着火剤に火が付いたら、細い薪を数本ずつ井桁の真ん中に差し込んでいく。慌てて一度にたくさんの薪をくべると酸欠になり、火が消えてしまうので、焦らず丁寧に。細い薪にしっかりと火が付いたら、徐々に土台の太い薪に火が移っていくのを見守る。

 
火勢を強めたいときや新たに薪をくべたときには火吹き棒(新聞を丸めて筒状にしたものでも代用できる)で空気を送り込む。炎が消えそうなときは、細い薪を加えると、火力が持ち直すので覚えておこう。

 
薪全体が燃え、大きな炎が収まると、熾火(おきび)の状態になる。こうなると炭火と同様に火力が安定し、煙もうんと減るので直火調理や煮込みにも適するようになる。

 
こうして、火を育てる工程が焚き火の最も魅力的な部分だ。爆ぜた薪の火の粉でやけどしないように気をつけつつ、火の神秘を存分に楽しんでもらいたい。

 

火を消す

消火=水をかける、と思いがちだが、いきなり水をかけると焚き火台などの器具を傷めてしまったり、破裂による事故が起こってしまったりするから要注意。燃え残った薪はバラバラに散らし、火ばさみなどで細かくすると、火は自然に消えていく。

 
時間を短縮したい場合は、消火スプレーや重曹をまいて消火する方法もある。完全に火が消えたら、灰や燃えかすを灰掻きで火消しつぼに収める。

 

火起こしに必要な道具まとめ

以上が火起こしの手順だ。必須道具リストを参考に、万全な準備を整えよう。

 

焚き火の必須道具リスト

・大小の薪(もしくは炭)
・スギ
・着火剤または焚き付け
・ライターやバーナー、ファイヤートーチ
・アウトドアナイフ
・耐火グローブ
・トング
・焚き火台
・防火マット
・火消しつぼ
・バケツと水

 

炭の場合は「火起こし器」が便利

バーベキューなどで炭火を使う場合は、市販の「火起こし器」を活用したい。火起こし器とは金属でできた筒形の器具で、中に炭を入れて着火すると、下に空いた穴から酸素が効率的に取り込まれ、簡単に火を起こせるという優れもの。火起こしに不慣れな初心者にとって、ありがたいアイテムだ。

 

キャプテンスタッグ 大型火消しつぼ 火起し器セット

▲出典:キャプテンスタッグURL

 
火消しつぼの中に火起こし器が収納されたタイプ。起こした炭をそのままキープし、必要なときにコンロに移すことができる。コンパクトに収納できるのが嬉しい。9,350円(税込)。

 

大切な焚き火のマナー

 
焚き火をする際は、火は非常に危険なものだということを肝に銘じなくてはならない。火事ややけどなどのトラブルはせっかくのキャンプを台無しにしてしまう。以下に、最低限のマナーを挙げておくが、状況に応じて、さらなる注意点を見つけ、同行者と共有してほしい。

 
・環境を守るために、防火マットやシートを使う
・強風時は焚き火を控える
・焚き火はテントやタープなどから離れた場所で行う
・草や木が茂るところのそばは避ける
・近くに可燃性のもの(キャンプ用品、チェアなど)を置かない。突風が吹いても、炎が何かに引火しないよう細心の配慮が必要
・火を付けるときは風下に充分な配慮をする。煙や熱風、火の粉に注意
・キャンプサイトの規模や安全性を十分考慮し、適正サイズの焚き火にとどめる
・非常消火用の水をバケツなどに用意する
・火の後始末はしっかりと行い、灰や燃えかすは火消しつぼに入れて持ち帰る

 

焚き火台の選び方とおすすめモデル

 
地面にダメージを残さず、少し高い位置で薪を燃やすことができる焚き火台は、今やキャンパーの必携品。

 
焚き火台を選ぶ際は以下の点をチェックすること。

 
・使用目的(火を眺めるために使うのか、調理に使うのか)
・使用人数
・収納サイズや重量(キャンプ場へのアクセスは公共交通機関か、車か)

 
おすすめモデルの紹介は以下のリンクを参照してほしい。

焚き火台の最新おすすめ8選と選び方|ソロからファミリーまで

 

自然のなかで火を眺めながら悠久の時に思いを馳せる

キャンパーの多くが火起こしは意外と難しいと言う。「たかが火起こし」と甘く見ないで、しっかり準備し、正しい手順を踏んで、美しく幻想的な炎と原初のぬくもりを確実に獲得してほしい。立ち上る炎の先に見えるのは、過去か未来か、はたまた……?

 
 

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