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オレンジワインおすすめ11選と人気の秘密を解説

白でもない、ロゼでもない、赤でもない、デリケートな色合いが美しいオレンジワイン。その人気がジワジワと高まっている。さまざまな食事に合う?ナチュラルワインの造り手が広めた?そもそもオレンジワインって何?ということで、

 
この記事では、

 
・オレンジワインとは何か?
・味わい、美味しさの秘密
・歴史と流行の背後にあるもの
・飲み方
・5,000円以下で買えるおすすめ銘柄

 
について詳述する。

 

オレンジワインとは?

まずはオレンジワインとは何かを説明しよう。オレンジから造られるフルーツワインだと勘違いしている人がいるかもしれないが、それは誤り。白ワイン用のブドウで造られるワインの一種だ。

 
その独特のオレンジがかった色合いから「オレンジワイン」と呼ばれている。また、「アンバーワイン(琥珀色のワイン)」という呼び方もある。

 

オレンジワインはどうやって造られる?

 
オレンジワインの製法について理解するためには、まず赤ワインと白ワインがどのようにして造られるかを知る必要がある。

 

赤・白ワインの製法をおさらい

赤ワインは、収穫した黒ブドウを果皮や種子ごと(場合によっては「梗」と呼ばれる軸の部分も)発酵させ、その液体を圧搾し、樽やタンクに詰めて熟成をかけた後、ボトル詰めする。熟成をかけずにボトル詰めするタイプもある。

 
一方、白ワインは、収穫した白ブドウをまずは圧搾し、果皮や種子を除いたジュースを発酵させる。発酵後の工程は赤ワインと同じ。

 
つまり赤と白の製法の違いは、発酵に果皮や種を使うか、取り除くかという点にある。黒ブドウの果皮には色素成分のアントシアニンが多く含まれているので、赤ワインには赤紫の色が付く。

 
また果皮や種子には渋味成分のタンニンなどが含まれ、これが赤ワインに独特の深みを与える。また、タンニンには抗酸化作用があるので、ワインの劣化を防ぎ、健全な長期熟成を助ける。

 

白ブドウを赤ワインの製法でオレンジに

オレンジワインは、白ブドウを使い、赤ワインの製法で造るワインである。果皮や種子を付けたまま醸すことで、赤ワインと同様にタンニンなどの成分が抽出される。

 
黒ブドウほどではないが、白ブドウの皮にも色素成分が含まれているので、それが抽出されることでワインが山吹色やオレンジ色を呈する。

 

世界で最も歴史あるワインかも?

 
この10年ほどの間に一気に認知度が高まった感のあるオレンジワインだが、その歴史はワインそのものの歴史と言えるほど古い。

 

生まれ故郷はジョージア

8,000年前からブドウを栽培し、ワインを醸造していたとされる「ワイン造り発祥の地」ジョージア(グルジア)には、クヴェヴリと呼ばれる甕(かめ)に房ごとブドウを入れて発酵させ、土中に埋めて熟成させる製法が今でも行われているが、これがまさにオレンジワインの原点である。

 
ジョージア国内で生産されるワインの1%ほどしかない、この古代製法のワインは、長らく流通にも乗らず、世界から取り残された存在だった。しかし、ソ連の構成国の1つだったジョージアが1991年に独立を果たすと、この国のワインの情報も少しずつ世界に広まっていく。

 

北イタリアの生産者がトレンドの先駆けに

90年代後半、イタリア北部の生産者ヨスコ・グラヴナー氏、スタニスラオ・ラディコン氏らがジョージアのワインの製法をヒントに独自の(そして古風な)ワインを造ると、それが大きな反響を呼び、「オレンジワイン」というキャッチーな呼び名と共に世界に広まる(イタリアでは「ヴィーノ・ラマート(銅色のワイン)」という言い方もある)。

 
時期を同じくしてジョージアワインが国際市場に出ていくということも始まり、一気に「オレンジワイン」はワインの新ジャンルとしての地位を確立していった。

 
現在では、上記の国々のほか、アメリカ、オーストラリア、日本など、世界各地でオレンジワインが造られている。

 

飲み手を魅了する深みのある味わい

 
白ワインの多くが、清涼感、フレッシュなフルーツや花、ハーブの香り、キレのある酸味、樽由来のコクなどを特徴とするのに対し、オレンジワインは熟れた果実、ドライフラワーや土のトーンがあり、赤ワインのような渋みと旨味が感じられるのが特徴。

 
グリップ感のある強めの味わいなので、初めて飲むと、とっつきにくいと感じる人もいるだろうが、慣れると、自然の恵みを凝縮したような風味の虜になるだろう。

 

使われるブドウ品種はさまざま

オレンジワインによく使われるブドウ品種としては、ルカツティリなどジョージアの固有品種、リボラジャッラなど北イタリアの固有品種、さらにヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネール、リースリングなどのアロマティック品種が挙げられる。

 
またピノ・グリや甲州といった、白ブドウのなかでは果皮の色素が濃い品種からもリッチな味わいのオレンジワインが造られている。今後、ますます多様な品種をオレンジワインに仕立てる試みが行われることだろう。

 

オレンジワイン=ナチュラルワイン?

オレンジワインが世に広まった背景には、いわゆる「自然派の造り手たち」と「ナチュラルワインを好む飲み手」による貢献が少なからずあった。

 
製法のところでも述べたように、オレンジワインは果皮や種子と共に醸されるのでタンニンが抽出される。このタンニンにはワインの酸化を防止する働きがある。つまりオレンジワインは、亜硫酸塩(酸化防止剤)の添加が少なくて済むのだ。

 
この事実とジョージア由来の前近代的な、人為的な介在を極力排した造りが相まって、一気に自然派の造り手たちの心を捉えたのだ。前述のヨスコ・グラヴナー氏らも自然な手立てでワインを造る生産者である。

 

オレンジワインの楽しみ方

 

料理とのペアリングは?

オレンジワインの皮醸し(果皮と果汁を一緒にして発酵させること)による複雑な香味が、幅広い料理とマッチする。

 
これまでワインとあわせるのが難しいといわれていたインド料理、韓国料理、その他のエスニック料理のようにスパイスやハーブの香りが強い料理とも想像以上の相性を見せることがある。和食との相性も素晴らしい。

 
また、軽快に造られたオレンジワインなら、サラダやゆでただけの魚介類、パスタ、サンドイッチ、ハンバーガーなどの軽食と合う。この守備範囲の広さこそオレンジワインが急速に世界に広まった要因の1つと言えるだろう。

 
時代の先端をいく料理人たちがこぞってオレンジワインをペアリングに使うのもむべなるかな、である。

 

グラスや温度は?

一般にオレンジワインは冷やしすぎないほうがその真価を発揮する。ただし、オレンジワインにもさまざまなタイプがあり、白ワインに寄せたフレッシュでスムースなものもある。そういうタイプは冷やして飲むといいだろう。

 
オレンジワインにふさわしいグラスの形状についてはプロフェッショナルの間でも意見が分かれている。原則としては白ワインと同じ扱いでいいだろう。香りがいかにも複雑そうだったら大ぶりのボウルを持ったグラスに替えてみてほしい。

 

造り手のこだわりが光るオレンジワインおすすめ11種

ここからは、編集部おすすめのオレンジワインをご紹介。5,000円以内で入手できる銘柄を選んだ。

 

シャトーマルス「甲州 オランジュ・グリ 2020年」(日本)

出典:本坊酒造URL

 

「甲州 オランジュ・グリ 2020年」
税込価格:1,636円

 
総合酒類メーカー、山梨県の本坊酒造のマルス穂坂ワイナリーで造られる甲州種のオレンジワイン。

 
日本の固有種である甲州はピノ・グリと同じグリ系のブドウで、果皮に通常の白ブドウよりも濃いめの色素をもつ。果皮由来の軽い渋みと旨味がワインにボリューム感を与えている。鍋物、牡蠣のグラタンなどとあわせたい。

 

ココ・ファーム・ワイナリー「2019 甲州F.O.S.」(日本)

出典:ココ・ファーム・ワイナリーURL

 

「2019 甲州F.O.S.」
税込価格:3,300円

 
F.O.S.とはFermented on Skins(果皮ごと発酵)の略。日本固有の甲州種を果皮や種ごと醸して、複雑なアロマ、繊細な渋みを実現した。

 
ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県)では、2004年からオレンジワインを造っている。2014、2015の2つのヴィンテージはJAL国際線ファーストクラスのワインリストに載せられた。

 

カーブドッチワイナリー「2020 いっかく(アッサンブラージュ)」(日本)

出典:カーブドッチワイナリーURL

 

「2020 いっかく(アッサンブラージュ)」
税込価格:4,180円

 
カーブドッチワイナリーは新潟県の日本海沿いに「新潟ワインコースト」を形成する生産者の代表格。なかでもこのワインは、醸造責任者・掛川史人氏が自由な発想で造る「どうぶつシリーズ」の1つ。

 
ドイツ品種のケルナーとフランス品種のソーヴィニヨン・ブランを品種ごとに醸した後でブレンド。マスカットを思わせる香りと生姜のトーンがあわさって不思議な味わい。

 

カンティーナ・ライナ「グレケット ウンブリア IGT 2019」(イタリア)

出典:アズマコーポレーションURL

 

「グレケット ウンブリア IGT 2019」
税込価格:2,400円

 
イタリア中部、ウンブリアの在来品種グレケット100%で造られる。栽培はビオディナミ農法(神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの理論から生まれた特殊な有機農法)にのっとる。

 
当主はミシュラン星付きのレストランで料理人として修業したこともある人物で、料理との相乗効果を求めてワインを造っている。洋ナシ、青リンゴ、柑橘の力強い香りが立ち、オレンジワインとしては極めてクリーンな味わい。コストパフォーマンスの高さも魅力。

 

コス「ピトス・ビアンコ 2019」(イタリア)

出典:ワイン見聞録URL

 

「ピトス・ビアンコ 2019」
税込価格:4,840円

 
イタリア南部、地中海に浮かぶシチリア島の個性派ワイナリーとして知られるコスがアンフォラ(素焼きの甕)で醸造するオレンジワイン。使用品種はシチリア固有のグレカニコ。

 
シチリアの輝く太陽を思わせる熟れたトロピカルフルーツと咲き切った花の香り。口の中では海の塩を思わせるミネラル感が感じられ、それが食欲を刺激する。

 

マカシヴィリ・ワイン・セラー「ルカツィテリ 2019」(ジョージア)

出典:うきうきワインの玉手箱URL

 

「ルカツィテリ 2019」
税込価格:3,410円

 
クヴェヴリを使ったジョージア伝統の製法で造られるオレンジワイン。ルカツィテリはジョージアを代表する白ブドウ品種の一つ。桜桃、アンズ、アカシアの蜜などの複雑な香りにスパイシーなトーンが刺激を加える。口の中ではコクと厚みを感じる。

 

カバイ「シビピノ 2018」(スロヴェニア)

出典:365wineURL

 

「シビピノ 2018」
税込価格:4,378円

 
アンフォラを使用し、「昔ながらの自然なワイン造りへの回帰」を目指す、ジャン・ミッシェル・モレル氏のワイナリー「KABAJ(カバイ)」。サーモンオレンジの色合い、繊細な小花やカリンの香り。滑らかな酸にコクと厚みもあり、しみじみと心に染み渡るワイン。心地いい苦みと旨味に、樽のニュアンスも感じられる。

 

フィールドレコーディングズ「スキンズ 2020」(アメリカ)

出典:アイコニック ワイン・ジャパンURL

 

「スキンズ 2020」
税込価格:3,190円

 
世界一のワイン消費国であるアメリカで“最も売れている”カリフォルニアのオレンジワイン。使用品種は、シュナン・ブラン、ピノ・グリ、アルバリーニョ、ヴェルデーリョ、リースリング。フランス、イタリア、スペイン、ドイツを母国に持つ品種の夢の共演といった趣がある。

 
ドライピーチ、タンジェリン、ネクタリンの香りにリンゴの皮の風味が交じる。オレンジワインにありがちな「乾きすぎた感じ」はなく、エントリーに向く。

 

カレン「2020 アンバー」(オーストラリア)

出典:ビック酒販URL

 

「2020 アンバー」
税込価格:4,730円

 
西オーストラリア、マーガレットリバーにあるワイナリー「カレン」のオーナー兼醸造家、ヴァーニャ・カレン氏はビオディナミ栽培によるワイン造りの第一人者。

 
このオレンジワインはソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのほぼ半分ずつで造られている。オレンジの花や皮、レモンバーベナなどを思わせる複雑な香り。優美でありながらも横溢するエネルギーが感じられ、飲み応えがあ
る。

 

ユルチッチ「ベレ・ナチュレレ 2020」(オーストリア)

出典:エノテカURL

 

「ベレ・ナチュレレ 2020」
税込価格:3,520円

 
オーストリア・ニーダーエスタライヒの老舗ワイナリーが手がける「ナチュラルな美女」という名のオレンジワイン。

 
オーストリアを代表する白ブドウ品種であるグリューナー・ヴェルトリーナー100%。レモン、白桃、ホワイトペッパーの香り、クセのないエレガントな味わい。たっぷりとした旨味と酸があり、スパイシーな料理とも相性がいい。

 

メシムネオス「ドライ・オレンジ 2020」(ギリシャ)

出典:エノテカURL

 

「ドライ・オレンジ 2020」
税込価格:3,630円

 
古代には最も高価なワインを生み出す島として知られたギリシャ・レスヴォス島のワイナリーから。有機栽培の在来品種チディリオティコ100%で造られる。

 
通常オレンジワインは白ブドウを赤ワインの醸造法で醸して造るが、このワインは黒ブドウを白ワインに仕立てる工程の副産物を使って造られる。いわば「異端のオレンジワイン」。

 
完熟したアプリコット、マーマレードの香りと豊かなミネラル感、タイトなタンニンが後口を引き締める。生産本数わずか2,858本の希少なワイン。

 

バリエーション豊富なオレンジワインで新たなワインライフを

日本で従来知られていた赤、白、ロゼとは別のくくりのオレンジワイン。土や岩石を思わせるようなパワフルなものから、熟れた果実をかじったようなフレッシュなものまで、産地や造り手によってさまざまなスタイルがある。

 
その独特の風味に慣れるまで、少し時間がかかる人もいるかもしれないが、ぜひ心を開いて、古くも新しい味覚の世界に飛び込んでみてほしい。そうすればきっとワイン選びの幅が大きく広がるはず。

 
 

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