シャンパンだけが「泡」じゃない。おいしいスパークリングワインは世界各地で生産されている。これからの季節、明るいうちからテラスで楽しむのにも、スパークリングワインはぴったり!お祝いの場に、贈り物に、そして楽しく過ごしたい日に、もっと気軽に「シュポン!シュワシュワ~」を楽しめるよう、スパークリングワインに関する基礎知識を学び、おすすめの銘柄を知っておこう。
この記事では、
・スパークリングワインとは何か?
・主な製法と産地
・おすすめの12選
について詳述する。
目次
どこで、どのように、泡は造られる?
スパークリングワインとは「発泡性ワイン」、すなわちシュワシュワと泡の立つワインの総称だ。そのなかでも圧倒的に高い知名度を誇るのが、フランス北東部シャンパーニュ地方で造られるシャンパン。
泡が立つワインならなんでも「シャンパン」と呼ぶ人がいるが、それは大きな誤り。世界にはシャンパン以外にもたくさんのおいしいスパークリングワインがある。その多くはシャンパンよりもリーズナブルというのも嬉しいポイント。これを機に、ぜひ各地のスパークリングワインの呼び名と特徴を覚えよう。
スパークリングワインの泡は偶然の産物だった
そもそもなぜ泡の出るワインが生まれたのだろう?例えばシャンパーニュ地方はブドウ栽培の北限に近く、寒冷でブドウが容易には熟さない。そんな土地のブドウでワインを造っても、酸っぱく、風味に欠けて、おいしくなかった。
また冬の寒さは酵母の活性を奪ってワインの発酵を途中で止めてしまう。発酵し切らぬうちにボトル詰めされたワインは、春になって気温が上がり、再び酵母が活動を始めると、代謝によって出た二酸化炭素がボトルの中に閉じ込められ発泡性になった。
このようにして偶然にスパークリングワインが生まれたのだ。飲んでみると、泡のおかげで口当たりが和らぎ、飲みやすくなることがわかった。
今でもスパークリングワインの生産が行われるのは緯度の高い地域や高地など冷涼な環境であることが多い。寒さによってブドウにもたらされる酸が、スパークリングの引き締まった味わいに不可欠なのだ。
泡の出るワインの造り方いろいろ
伝統方式
まずベースとなるスティルワイン(非発泡性ワイン)を醸造し、瓶詰めの際に酵母と糖分を足して、瓶内で2次発酵を起こさせ、泡を生成させる。「瓶内2次発酵」「シャンパン方式」と呼ばれることもある。
一般に、味わいが複雑で熟成可能なスパークリングワインになる。シャンパンのほか、クレマン(フランス)、カバ(スペイン)、フランチャコルタ(イタリア)などがこの製法で造られる。
シャルマ方式
2次発酵のプロセスを密閉式のタンクの中で行う製法。タンク方式とも呼ばれる。一度に大量のスパークリングワインを造ることができるためコストダウンが図れる。
20世紀初頭にフランスのユジーヌ・シャルマ氏が開発・特許登録したためこの名称で呼ばれているが、実際にはイタリア・ピエモンテ州アスティの醸造学校ディレクター、フェデリコ・マルティノッティ氏が1896年に実用化したのが最初。だから当然、イタリアでは「マルティノッティ方式」と呼ばれている。
酵母の死骸である澱(旨味成分を含む)と共にワインを寝かせることでコクと深みを出そうとする伝統方式に対し、こちらはブドウ本来の果実味とフレッシュさで勝負する。世界で最も飲まれているイタリアのプロセッコがこの製法で造られる泡の代表格だ。
アンセストラル方式
2次発酵を行わず、最初の発酵で生じた二酸化炭素をそのままボトルに閉じ込める方法。1531年に最初に生産されたスパークリングワインはこの製法で造られたもの。最もプリミティブな製法で「田舎方式」とも呼ばれる。ブドウの糖分だけで造るため、ブドウ品種の特性が出やすいといわれる。
その他の製法
フランスで「ペティアン」、イタリアで「フリッツァンテ」と呼ばれる微発泡性のワインも製法は前出のアンセストラルと同じ。軽快な泡立ちが自然派の造り手に好まれ、「ペティアン・ナチュール」「ペット・ナット」という呼び方で流通している。
非発泡性ワインに炭酸ガスを人工的に注入してスパークリングワインを造ることもできる。これは最もコストがかからない方法のため、カジュアルで安価な大量生産のスパークリングワイン造りに適している。
ちなみに、ポルトガル北部で造られるヴィーニョ・ヴェルデには極微発泡のものがあり、これはこれで好もしい軽快感があるが、ヴィーニョ・ヴェルデを「スパークリングワイン」の括りに入れることはまずない。
世界の主な産地を押さえる
フランスには「クレマン」もある
シャンパンは昔も今も別格の地位に君臨しているが、フランス国内ではシャンパーニュ地方以外でも、瓶内2次発酵を伴う同様の製法でスパークリングワインの一種「クレマン」が造られている。
クレマン・ド・ブルゴーニュ、クレマン・ダルザスにはシャンパンに匹敵するような逸品が多い。クレマン・ド・ロワールには、シュナン・ブラン種を使った一味違うスパークリングワインがある。
クレマン・ド・ボルドーというのもあるが、品質的には目立つものがなく、ボルドーのシャトーで振る舞われるのはもっぱらシャンパンである。
南部のラングドック地方西部のリムーではシャンパーニュ地方よりも早い時代にアンセストラル方式で発泡性のワインを造っていたとされる。モーザック種主体でアンセストラル方式で造るのがブランケット・ド・リムー、伝統方式で造るのがクレマン・ド・リムー。
また、フランス語でいうところのスパークリングワインは「ヴァン・ムスー」。この文言がラベルに書かれているワインは、瓶内2次発酵以外の製法で造られたカジュアルなスパークリングワインということを意味する。
イタリアはスプマンテ大国?
スパークリングワインを表すイタリア語はスプマンテ。シャルマ方式を開発したのはピエモンテ州アスティの醸造学校のディレクターだったと先述したが、モスカート・ビアンコ種で造られる甘口のアスティは、イタリアを代表する泡の一つ。クリスマスのパネットーネのお相手はアスティが最良と信じるイタリア人も多い。
ヴェネト州とフリウリ・ヴェネチア・ジューリア州でグレラ種から造られるプロセッコは、近年アメリカ市場を中心に爆発的に消費が拡大し、世界で一番飲まれているスパークリングワインとなっている。
柑橘と青草の香りがあり、フレッシュ感が身上だが、一部の特級畑のブドウから造られるものには複雑味とスケール感のある逸品もある。
ロンバルディア州で造られるフランチャコルタは、完全にシャンパンをライバル視している。使用品種はシャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)、ピノ・ブラン。伝統方式を用い、瓶内熟成期間の規定をシャンパンよりも長くして対抗している。気候風土の違いにより、シャンパンよりは温和で親しみやすい味わい。
スペインといえば「カバ」
スパークリングワインを表すスペイン語はエスプモーソ。代表格の「カバ(CAVA)」はスペイン北東部カタルーニャ地方が主産地。スペイン固有の品種──チャレロ、マカベオ、パレリャーダ──を用い、シャンパンと同じ伝統製法で造られる。
カバとはカーヴ(地下の貯蔵庫)のこと。「フレシネ」や「コドーニュ」のボトルは日本でもスーパーや酒販店でも目にすることが多いだろう。これらは飲みやすく、風味豊かで、コスパが非常に高いので、スパークリングワインの入り口には最適。
近年、スペインワイン全体のクオリティーが飛躍的に向上し、カバにも世界のワイン通を唸らせる名品が生まれている。
ドイツ
スパークリングワインを表すドイツ語はシャウムヴァイン。代表格のゼクトは各地で造られているが、隣国産のベースワインを原料とするものもある。ドイツ国内の指定優良生産地域のブドウを用いて醸造したものは、特に「ドイッチャー・ゼクトbA」とラベル表記され、区別されている。
製法には伝統方式とシャルマ方式、両方がある。リースリング種を用い、伝統製法で造られたゼクトには国際的に高い評価を受けるものもあり、日本での認知度が高くないのは惜しい。
イギリス
ワイン産地というイメージの湧かないイギリスだが、実は1990年代後半からスパークリングワインの産地として急速に発展してきている。イギリス南部地方は、シャンパーニュ地方と同じ石灰質の土壌を持ち、また温暖化の影響で、ブドウも十分に熟すようになった。
もともとイギリスはシャンパンの一大消費地であり、人々は味にうるさい。“本家”フランスからの資本や技術、人材の進出もあり、いくつかの銘柄はシャンパンを脅かす存在となっている。
2012年、エリザベス女王在位60周年式典でイングリッシュスパークリングがふるまわれたり、ロンドン・オリンピックで公式スパークリングとなったことで、その存在が世界に一気に知れ渡った。
オーストラリア
オーストラリア大陸の南東に浮かぶタスマニア島は冷涼でスパークリングワイン生産の適地とされ、いくつかの銘柄が高い評価を得ている。また、シャンパンの雄「モエ・エ・シャンドン」が南東部のヴィクトリア州に進出してリーズナブルな「シャンドン」を造っている。
アメリカ
アメリカワインの生産の約9割を占めるカリフォルニア州には4,400軒ほどのワイナリーがあり、そのうち約300軒がスパークリングワインを生産している。シャンパーニュの有名メゾンである「モエ・エ・シャンドン」「ポメリー」「ルイ・ロデレール」「テタンジェ」がアメリカに進出していることは、この地のポテンシャルの高さを示しているだろう。
カナダ
かつてはアイスワイン(凍結して糖度が高くなったブドウで造る甘口ワイン)ぐらいしか見るべきもののなかったカナダだが、近年クオリティーワインの産地として、目覚ましい進化を遂げている。
また、大西洋に面する東部のノヴァスコシア州は秀逸なスパークリングワインの産地として注目されている。
そのほかの産地
チリでは、南部の冷涼地、北部乾燥地帯、寒流の影響を受ける沿岸部の地方でスパークリングワインが造られている。コスパが非常に高く、気軽に楽しめるものが多い。「コノスル」といったお馴染みのブランドも、スパークリングワインを生産している。
南アフリカでは、シャンパンに近いタイプからシュナン・ブラン種やソーヴィニヨン・ブラン種によるユニークなものまで、幅広いレンジのスパークリングワインが造られている。伝統方式で造られる「キャップ・クラシック」には独自の生産規定が設けられ、高い品質が保たれている。
バラク・オバマ氏がアメリカ合衆国大統領になった時、本人の希望で祝杯用のスパークリングワインとなりワイン関係者の話題をさらった「グラハム・ベック」のスタンダード・キュヴェも、そんなキャップ・クラシックの一つ。
ワイナリーの数が400軒を超え、伸張目覚ましい日本でもいくつかのワイナリーがスパークリングを造っている。日本の固有品種である甲州種を使ったものは今後も要注目だ。
知っていると一目置かれる!世界のスパークリングワイン12選
ここからは、シャンパンの名品と比べても遜色のないスパークリングワイン12本をご紹介しよう。贈り物やホームパーティーで話題の中心となるような、世界各地からのおすすめアイテムを取り揃えた。
ルー・デュモン「クレマン・ド・ブルゴーニュ・ブリュット」
「クレマン・ド・ブルゴーニュ・ブリュット」
税込価格:3,300円
フランス・ブルゴーニュでネゴシアン(ブドウを買い付けて自分で醸造、瓶詰めする業態)として活躍する日本人醸造家・仲田晃司氏が4つの品種──ピノ・ノワール、シャルドネ、アリゴテ、ガメイ──で造る、ピュアなフルーツと華やかさの感じられる泡。
仲田氏は、今は亡き“ブルゴーニュの神様”アンリ・ジャイエ氏にもその手腕を認められた人。この品質で3,000円台の価格は驚き。
コル ヴェトラーツ「スペリオーレ・ディ・カルティッツェ 2019」
「スペリオーレ・ディ・カルティッツェ 2019」
税込価格:4,054円
プロセッコはイタリア北部のヴェネト、フリウリ・ヴェネチア・ジューリア両州にまたがる広いエリアで生産されているが、特に上質なプロセッコが造られるエリアはイタリアワイン法の最上位、DOCGに認められている。
そのうちの一つでヴェネト州のDOCGコネリアーノ・ヴァルドッビアーデネにあるカルティッツェの丘は、さらに優れた土地として、「プロセッコのグラン・クリュ(特級畑)」の異名をとる。
その生産量はエリア全体の2%に過ぎず、価格は通常のプロセッコの倍以上となる。カルティッツェの農地の価格はシャンパーニュやブルゴーニュよりも高いといわれる。
コル ヴェトラーツはカルティッツェの丘の頂にあるワイナリー。そのワインは多くの星付きレストランのワインリストにも載っている。
このワインは、標高400mで南向き斜面という、カルティッツェのなかでも最上の畑で収穫されたブドウを用い、タンク内での2次発酵は30~40日間かけて行うという手の込んだ造り。柔らかな果実味に溢れ、ビロードのようなタッチが楽しめる。
ロバート・ヴァイル「リースリング ゼクトエクストラブリュット 2015」
「リースリング ゼクトエクストラブリュット 2015」
税込価格:4,720円
ドイツ、ラインガウのリースリングの名手が造る、リースリング100%の泡。ロバート・ヴァイルは1868年、ドクター・ヴァイルによって設立され、皇帝ヴィルヘルムI世にも愛飲された名門(現在は日本のサントリーが所有)。
瓶内2次発酵で造られ、ルミュアージュ(動瓶)は人の手で行なっている。瓶内熟成期間は18カ月。ドサージュ(補糖)には甘口ワインの逸品であるグレーフェンベルクのシュペトレーゼ(甘口ワイン)を使うというこだわりよう。
リースリング独特の白い花や白桃の優しい香りに、ブリオッシュの香ばしい風味が交じる。
フォーク&スプーン「スパークリング ブリュットNV」
「スパークリング ブリュットNV」
税込価格:2,178円
オーストラリア最古の家族経営のワイナリー「ヤルンバ」がプロデュースしたカジュアルライン。南オーストラリア産のシャルドネ60%、ピノノワール40%の構成。
新鮮なシトラス、赤いリンゴ、ほんのりとストロベリーや香水のような華やかなアロマが立ちのぼり、生き生きとした味わい。クリーミーなテクスチャーに、ピシッと切れる酸がバランスよく口中に広がる。コスパ抜群の1本!
ジョセフ・クローミー「ヴィンテージ・ブリュット・フィネス 2016」
「ヴィンテージ・ブリュット・フィネス 2016」
税込価格:5,060円
ポケットにあるのはコイン数枚だけという極限の状態で、祖国チェコからオーストラリアへ渡り、最後にたどり着いたタスマニアの地で、食肉業、土地開発、ワイン産業と、土地の根幹となる産業を次々と築いてきたジョセフ・クローミー氏は「タスマニアの父」と呼ばれる。ワイナリー設立は2000年。
南氷洋に面し、「世界で最も空気がきれいな土地」として知られるタスマニア島。自社畑のピノ・ノワールとシャルドネから伝統方式で造られるこのスパークリングワインにもクリーンな印象がある。青リンゴやレモンの香りが清々しく、酵母由来のトースティーなニュアンスが味わいに厚みを与えている。
ラベルに描かれたライオンはボヘミア王国の古い紋章だが、一人で人生を切り開いてきたクローミー氏自身の姿でもある。オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア島と「タスマニアの父」の生き様に想いを致して飲みたい、そういうワインだ。
ブヴェ・ラデュべ「キュヴェ トレゾール・ブリュット 2014」
「キュヴェ トレゾール・ブリュット 2014」
税込価格:5,313円
ブヴェ・ラデュべはフランス・ロワール地方ソミュール地区で最古、かつ、トップクラスのスパークリングワインメーカー。カンヌ国際映画祭のオフィシャルサプライヤーだったこともある。
シュナン・ブラン種を主体にシャルドネ種を補い、シャンパンと同じ製法で造られるこのワインはシュナン・ブラン由来の華やかさが特徴的。
レカレド「テレルス ブルットナトゥーレ コルピナット 2015」
「テレルス ブルットナトゥーレ コルピナット 2015」
税込価格:5,500円
レカレドはスペイン・カタルーニャ州でこだわりのプレミアムスパークリングワインを産する造り手。2019年にスペインのワイン法による「DOカバ」から脱退し、有志生産者と共に「コルピナット」という新たな組織を作り、さらに高みを目指している。
ブドウはビオディナミ(神秘学者ルドルフ・シュタイナーの理論に基づき、天体の運行を取り入れて作業するなど、独特の方法をとる有機農法)で栽培。ドサージュ(補糖)は行わず、収穫年の条件がダイレクトにワインに出るブリュット・ナトゥーレ(極辛口)のみを造る。
ルミュアージュ(動瓶)、デゴルジュマン(澱引き)などはすべて昔ながらの手作業。瓶内熟成期間が60カ月に及ぶ銘柄も。このスパークリングワインは、瓶内熟成期間44カ月。生き生きとしたアロマが立ち、繊細かつ複雑精妙な味わい。
ロデレール・エステート「エルミタージュ・ブリュット」
「エルミタージュ・ブリュット」
税込価格:7,700円
ロデレール・エステートはシャンパーニュの名門ルイ・ロデレールが1986年にアメリカ・カリフォルニア州の冷涼地アンダーソン・ヴァレーに開いたワイナリー。ルイ・ロデレール前社長のジャン・クロード・ルゾー氏は「理想の土地」を見つけるのに2年の歳月を費やした。栽培と醸造は“本家”のディレクター、ジャン・バティスト・レカイヨン氏が携わっている。
このワインは、最上級の畑のブドウだけを使った特別なスパークリングで「幻のキュヴェ」ともいわれている。シャルドネ52%、ピノ・ノワール48%。リザーヴワインを全体の4%程度ブレンド。約5年間、フレンチオークの樽で熟成してから2次発酵のプロセスへ。
クリーミーな泡、ブリオッシュやアプリコット、ラズベリー、スパイスなどの香りが優雅に漂い、ミネラル感が後口を引き締める。
カ・デル・ボスコ「フランチャコルタ ヴィンテージ コレクション ブリュット 2015」
「フランチャコルタ ヴィンテージ コレクション ブリュット 2015」
税込価格:8,800円
カ・デル・ボスコは、北イタリアのロンバルディア州で造られるスパークリングワイン、フランチャコルタを代表する造り手。最新設備と醸造技術、発信力、アーティストやファッション界とのコラボレーション……あらゆる点で業界をリードする存在だ。
このワインは樹齢30年を超えたシャルドネ、同20年超えのピノ・ネロ、ピノ・ビアンコを使い、伝統方式で造られる。瓶内熟成期間は平均48カ月と破格の長さ。
精緻なハーモニーと深遠な奥行きの感じられる名品。このクオリティーで1万円以下とは信じがたい。ちなみにフランチャコルタの最大の輸出先は日本である。
ナイティンバー「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」
「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」
税込価格:8,800円
エリザベス女王在位60周年式典の乾杯にも使われたイングリッシュ・スパークリングの代表格。イギリス南部、ウエスト・サセックス州の自社畑で栽培されたシャルドネ種を主体にピノ・ノワール、ムニエをブレンド。マーマレードやドライフルーツのリッチな香りにトースティなヒントが落ち着きを加える。
虚飾を排し、端然とした印象のボトルデザインにも、シャンパンの向こうを張って、もう一つの価値を創っているのだという、イギリスのプライドを感じる。
シュラムスバーグ「ジェイ・シュラム ノース・コースト 2011」
「ジェイ・シュラム ノース・コースト 2011」
税込価格:15,400円
シュラムスバーグはカリフォルニア州ナパ・ヴァレーにある約150年の歴史を持つワイナリー。1965年からシャンパーニュと同じ製法でスパークリングワインを生産し、そのワインは歴代のアメリカ合衆国大統領の公式晩餐会で幾度となく供されてきた。
このワインは、シャルドネ90%、ピノ・ノワール10%のブレンド。毎年300ロット生産されるベースワインのなかの最上のものだけを使い、瓶内熟成を7年以上も行うという破格の造り。同ワイナリーの生産量のわずか3%しか造らない特別な銘柄である。
洋梨やレモンメレンゲの香りに蜂蜜や生姜糖のコクが加わる。味わいは極めて複雑。滑らかな舌触りで、余韻も非常に長い。
グレイス「ブラン・ド・ブラン 2015」
「ブラン・ド・ブラン 2015」
オープン価格
日本ワインの躍進を牽引する山梨・勝沼の中央葡萄酒「グレイスワイン」。日本固有の品種「甲州」で造るワインは海外のコンクールでも数々の賞を受賞している。
シャルドネ100%で造られたこのブラン・ド・ブラン(白ブドウのみで造るスパークリングワイン)は、醸造家・三澤彩奈氏が「甲州と向き合う緊張感から離れ、スパークリングも造ってみたい」との“遊び心”から造ったワイン。その2014年ヴィンテージが、19年に「世界トップ10 ワイン」(米ブルームバーグ)に選ばれ、世界を驚かせた。
2015年ヴィンテージはレモンや和柑橘、青リンゴといった爽快な果実の香りに、白い花、ブリオッシュ、ナッツ、蜂蜜のトーンが交じる。
スパークリングはとにかく楽しい!
シャンパン以外にも、世界にはたくさんの素晴らしいスパークリングワインがあることがわかっていただけたことだろう。その場を明るく、飲む人すべてを幸福にしてくれるスパークリングを、もっともっと気軽に楽しもう!
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