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シャンパンとは?これさえ読めばラベルが読める!選べる!

ハレの日に一番似合うお酒といえばシャンパン。シュポンと抜かれるコルク栓の音に、シュワシュワと立ち上る泡と黄金の色合いに、そしてうっとりとするような味わいに、誰もが心躍らせ、気分が上がる。

 
クリスマスから忘年会、お正月とイベントが多い冬場はシャンパンを飲む機会がグンと増える季節だ。これを機に、このお酒に関する基礎知識を学んでおこう。

 
この記事では、

 
・シャンパンとは何か?
・ラベルの読み方
・造り手の分類とそれぞれの主要銘柄
・スパークリングワインとシャンパンの違い
・おいしく楽しむコツ

 
について詳述する。

 

シュワシュワすればすべてシャンパン……ではない。

 
まずはシャンパンとは何かを説明しよう。シャンパンは、フランス北東部シャンパーニュ地方で特定の工程で造られる発泡性ワイン(スパークリングワイン)のことである。

 
フランス国内のほかの地方でもスパークリングワインは造られているが、それらをシャンパンと呼んだり、ラベルに「シャンパン」と表記することはできない。外国産のスパークリングワインについても同様である。

 
シャンパンという呼び名は法律できちんと守られているのだ。その点については後に詳しく述べよう。

 

シャンパーニュ地方はパリから約140km

 
シャンパーニュとはパリから北東に約140kmのところに広がる丘陵地につけられた地名である(行政上の正式な名称は、シャンパーニュ・アルデンヌ地方)。

 
繰り返しになるが、このシャンパーニュ地方で、ワイン法で定められたルールに則って造られる発泡性の白ワインとロゼワインだけがシャンパン(シャンパーニュ)と呼ばれる。スパークリングワインならなんでもシャンパンだと思われているふしもあるが、それは間違い(シャンパン以外のスパークリングワインについては後述する)。

 
現地の生産者組織であるシャンパーニュ委員会は「シャンパーニュ」という呼び方を推奨しているが、この記事中で使っている「シャンパン」もフランス語由来の発音として許容されている。英語圏では「シャンペイン」という英語読みの呼び方がポピュラーだ。

 

シャンパンを名乗るためのルールとは?

 
“ワイン法で定められたルール”についてお話ししよう。このルールは原産地統制呼称(通常はフランス語表記Appellation d’Origine Contrôléeの頭文字をとって「AOC」と呼ばれる)という法律によって定められている。

 
これは、ワインの名称を守り、その品質を保証するために制定されたもので、有名な「ボルドー」や「ブルゴーニュ」もAOCの仲間だ。この法律があることで、シャンパーニュ地方以外の土地で造られたスパークリングや、シャンパーニュ地方で造られたスティルワイン(泡の出ないワイン)は「シャンパン」と呼ぶことができない。

 
AOCの規定は、おおまかに言って以下の三つから成っている。

 
1)特定地域内で栽培されたブドウを使っているか
2)使用を許されたブドウ品種を使っているか
3)栽培・剪定・醸造・熟成は定められた方法か

 
(1)については、シャンパーニュ地方とその周辺の定められた地域。(2)については、大半のシャンパンはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエを使って造られる。そのほかに、ピノ・グリ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、アルバンヌの使用が許されている。(3)については、専門性の高い話になるので、シャンパンの味わいを決定づける醸造の部分に絞って、後ほど説明する。

 

泡の出るワインはなぜ生まれたのか?

 
そもそもなぜシャンパンのように泡の出るワインが生まれたのだろう?この謎を解く鍵はシャンパーニュ地方の地理的な条件にある。

 

シャンパン誕生の裏には……

シャンパーニュ地方の中心都市ランスの緯度は北緯50度。日本付近の地図に当てはめると、サハリン島の中程に当たる。シャンパーニュはブドウ栽培の北限に近く、寒冷でブドウが容易には熟さない。そんなブドウで泡の出ないワインを造っても、酸っぱく、風味に欠けて、おいしくなかった。

 
また冬場の寒さは酵母の活性を奪ってワインの発酵を途中で止めてしまう。春になって再び酵母が活動を始めると、代謝によって出た二酸化炭素がボトルの中に閉じ込められた。発泡性になったワインは、口当たりが和らぎ、飲みやすくなることがわかった。

 
その後、「瓶内二次発酵」という、泡を安定的に作る技術が広まり、さらに補糖や熟成などさまざまなテクニックが加わって、今あるような優美で味わい深いシャンパンになったのだ。

 

シャンパンの父?

〈パリのレストランのテラスで、冷えたドン・ペリニヨンのグラスを手に、メローな秋の陽に染まる木々を眺めていると、世界で最も甘やかされた人間のような気分になる〉(マレーネ・ディートリッヒ)

 
高級シャンパンと言うと、多くの人が真っ先に思い浮かべるドン・ペリニヨンは、17世紀、オーヴィレール村の修道院でブドウ栽培とワイン造りを担当していた修道士ピエール・ペリニヨン(1638~1715)の名前を戴いている。

 
彼を「シャンパンの父」、つまりシャンパン製法の発明者だと言う人がいるが、この製法自体はもっと前からあり(イギリス人によって一足先にシャンパーニュ製法によるワイン造りが行われていたことを示す記録がある)、ドン・ペリニヨンの功績は、複数のブドウ畑の収穫をアッサンブラージュ(ブレンド)することで、シャンパンの品質を安定させたことだと言われている。

 

独特の醸造プロセスを知る

 
シャンパーニュ製法を工程に従って見ていこう。ここに登場するフランス語の専門用語に馴染んでおくと、シャンパン選びで役に立つし、“シャンパン愛好家”を気取るときの小道具になる。

 

収穫から発酵、そして泡が生まれるまで

ヴァンダンジュ(収穫)

ブドウの収穫は8月末から10月初旬にかけて行われる。時期に幅があるのは、品種や場所によって、ブドウが完熟に達する時期に違いがあるから。また、造り手によって「完熟」についての考え方が異なるから。機械による収穫はシャンパーニュでは不可。すべては昔ながらの手作業で行われる。

 

プレシュラージュ(圧搾)

収穫後のブドウは潰さず(破砕せず)、そのまま圧搾機に入れられる。果汁をどこまで搾るかは法律で定められている。いわゆる一番搾りのことをキュヴェという。各メーカーの上級銘柄はこのキュヴェだけを使って造られる。

 

デブルバージュ(清澄)

プレシュラージュで得られた搾汁の中の不純物を取り除く工程。

 

フェルマンタシオン・アルコリック(一次発酵)

伝統的な木樽や近代的なステンレスタンクによる発酵工程。ブドウの果糖を酵母が食べることによって、代謝が起こり、二酸化炭素とアルコールが生じる。

 
スティルワインはこの一次発酵のみで発酵工程を終えるが、シャンパーニュ製法では後に二次発酵を行う。それが醸造上の最大の特徴になっている。

 

アッサンブラージュ(一次発酵を終えたワインをブレンドする)

ドン・ペリニヨン修道士以来の伝統である、複数のブドウ畑からのワインのブレンド。さらには複数品種のワインのブレンドを行う。

 
収穫年をラベルに表示しない「ノン・ヴィンテージ」のシャンパンの場合は、この時に過去に収穫され熟成が進んだリザーヴ・ワインをブレンドする。それにより、風味が増し、メーカー特有の味わいが出る。

 
アッサンブラージュは、その年の気候条件などに左右されることなく、安定的に各社らしい味わいと品質をキープするために極めて重要なプロセスだ。アッサンブラージュによってベースワインが出来上がる(この時点では泡はない)。

 

ティラージュ(ショ糖を加えて瓶詰め)とドゥジエム・フェルマンタシオン(瓶内二次発酵)

この工程こそが、ワインがシャンパンに変わる分岐点と言える。ベースワインに「リキュール・ド・ティラージュ」という液体が添加され、瓶詰めされ、仮の栓が打たれる。

 
リキュール・ド・ティラージュは酵母とショ糖を混ぜたもので、これによりベースワインはボトルの中で2度目の発酵を起こす。この時に酵母の活動によって排出される二酸化炭素がシャンパンの泡の正体なのだ。

 

熟成から出荷まではどうなっている?

ルミアージュ(動瓶)

瓶内二次発酵を終えたワインは、酵母の死骸である澱と共にボトルの中で寝かせられる(澱はワインに旨味、まろやかさを与える)。シャンパーニュでは、ノン・ヴィンテージものでティラージュ後最低15カ月は出荷することができないと定められている。収穫年を表記する物については、この期間が3年間とさらに延びる。

 
熟成期間を終えたボトルは出荷時に不要な澱を取り除く工程に移される。伝統的には、ピュピトルという木製のラック(丸い穴が開けられている)にボトルの口を突っ込み、斜め倒立の状態でボトルが並べられる。澱をボトルの口の方に集めるためだ。

 
この時、効率よく澱を集めるため、ボトルを手回しする作業がルミアージュである。現在ではほとんどのメーカーで機械化されているこの工程だが、高級銘柄については今も手で行なっているところが多い。

 

デゴルジュマン(澱引き)

瓶の口に集まった澱を取り除く工程。伝統的には、ボトルの口を上にし、絶妙なタイミングで抜栓することで、中部のガス圧によって澱の部分だけを飛ばすという神わざのような方法が採られてきた。

 
しかし、現在では、機械式でボトルの口付近だけを凍らせ、抜栓して、澱を含んだ氷結部分を飛び出させる方法が採られている。

 

ドザージュ(リキュール添加)

デゴルジュマンでは氷結部分と共に少量のワインも飛び出してしまう。これを補うために「リキュール・デクスペディション(門出のリキュール)」が添加される。

 
このリキュールは、リザーブ・ワインとショ糖が混ざった液体である。ティラージュの時の糖分が泡を生み出すためのもので、甘味としては残らぬものであったのに対して、今回加えられる糖分はシャンパンに甘味を与える。この時の糖分の量によって、シャンパンの甘辛度が決まる。

 

シャンパンにも多様な味とスタイルがある

 

甘辛度による分類

ドザージュの多寡によってシャンパンの甘さ/ドライさが決まる。ワイン法では1リットル中の糖分の量(g/ℓ)によって以下のように分類されている。

 
ブリュット・ナチュール(超辛口) 3g以内
エクストラ・ブリュット(極辛口) 6g以内
ブリュット(辛口) 12g以内
エクストラ・ドライ(やや辛口) 12~17g
セック(やや甘口) 17~32g
ドゥミ・セック(甘口)32~50g
ドゥー(極甘口) 50g以上

 
最もよく目にするのは「辛口」のブリュットだろう。最近は嗜好のライト化、自然志向に合わせてよりドライなものが好まれる傾向があり、各メーカーもこぞって「ブリュット・ナチュール」(デゴルジュマン後に糖分添加をしない超辛口)を打ち出してきている。ブリュット・ナチュールは、ノンドゼ、ドザージュ・ゼロとも呼ばれる。

 
ちなみに1850年代までシャンパンは食後に飲む甘口ワインだった。その糖度は極甘口で知られるソーテルヌ(ボルドー南部で貴腐ブドウから造られるデザートワイン)にも引けを取らぬほどだったそうだ。

 

使用品種による分類

多くのシャンパンが三つの品種──シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ──をブレンドして造られる。これらの品種は寒冷地に強く、またシャンパーニュ地方独特の白亜質土壌でそのポテンシャルを発揮する。

 
三つのうち、シャルドネだけは白ブドウだが、後の二つは黒ブドウ、つまり一般的な方法でワインを造ると赤ワインになる品種だ。シャンパン(ロゼを除く)が赤くならず黄金色をしているのは、黒ブドウの果皮に含まれる色素を極力抽出しないようにするから。これをあえて少し抽出することでロゼ・シャンパンにすることができる。

 
三つ、あるいは二つのブドウの配合により、キレのあるもの、コクのあるもの、スケール感のあるもの、スレンダーなものなど、さまざまなスタイルが生まれる。

 
白ブドウだけで造るシャンパンは「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれる。優美でキレのある味わいが特徴。黒ブドウだけで造るシャンパンは「ブラン・ド・ノワール」。ベリー系の香りとコク、ボディが特徴だ。

 

 

グレードによる分類

複数の収穫年のワインを使うか、単一年で造るか、さらに瓶内熟成期間は長いかどうかでシャンパンのグレードが変わる。当然価格も変わる。

 

ノン・ヴィンテージ(NV)

その年に収穫したブドウから造るベースワインにリザーヴ・ワインをブレンドする。メーカーやブランドを代表する看板商品になる。複数のブドウ品種を使うのが一般的。

 

ヴィンテージ・シャンパン

ブドウの出来のよかった年に、単一年の収穫のみから造られる。この場合、ボトリング後は最低でも3年間は出荷することができない(熟成期間が長い)。ラベルにはヴィンテージ(年号)が記される。ヴィンテージによってキャラクターが異なるのも魅力。フランス語では「ミレジメ」。

 

プレステージ・シャンパン

特に優れたブドウで造ったベースワインだけを使って造る、最高級レンジ。ヴィンテージ・タイプが一般的だが、ノン・ヴィンテージ・タイプのプレステージもある。ドン・ペリニヨンはモエ・エ・シャンドン社のプレステージ・シャンパンだ。

 

造り手の業態による分類と主要銘柄

 
自社畑のブドウでシャンパンを造るか、栽培農家からブドウを買って造るか、独立経営か、協同組合か──業態によって生産者の呼び名が変わる。そしてそれはラベルにも記号で表記される。

 

ネゴシアン・マニピュラン(NM)

ブドウを一部、ないし全部栽培農家から購入する。大手のほとんどがこれ。「メゾン」とも呼ばれる。

 
・モエ・エ・シャンドン
・クリュッグ
・ルイ・ロデレール
・サロン
・ボランジェ
・ドゥラモット
・パイパー・エドシック
・ビルカール・サルモン
・ローラン・ペリエ
・ランソン
・G.H.マム
・ドゥーツ
・ポル・ロジェ
・アヤラ
・ゴッセ
・アンリオ
・テタンジェ
・ドラピエ
・フィリポナ
など

 

レコルタン・マニピュラン(RM)

自家栽培のブドウのみで造る。家族経営の小規模なところが多く、造り手の顔が見える個性的なものと出合えるが、生産量が少ないので入手困難なものもあり、マニアックな人気を博する。

 
・アンドレ・クルエ
・エグリ・ウーリエ
・ギィ・シャルルマーニュ
・クリストフ・ミニョン
・クロード・カザル
・ジャック・セロス
・ド・スーザ・エ・フィス
・タルラン
など

 

コーペラティブ・マニピュラン(CM)

協同組合。自社畑のブドウを使いながらも、協同組合の設備で醸造している場合も、これを名乗る。

 
・ニコラ・フィアット
・ボーモン・デ・クレイエール
・マイィ・グラン・クリュ
など

 

シャンパーニュ独特の格付けを知る

シャンパーニュではコミューン(村)ごとに格付けが行われている。これは、区画ごとに分けられているブルゴーニュなどと比べてわかりやすい。

 
シャンパンを造ることができる319のコミューン(村)のうち17がグラン・クリュ(特級)、42がプルミエ・クリュ(一級)である。グラン・クリュのブドウだけを使ったシャンパンは「グラン・クリュ」とラベルに表示することができる。

 
大手メゾンがノン・ヴィンテージをグラン・クリュのブドウだけで造ることはない。「グラン・クリュ」と銘打ったものはプレステージ・シャンパンか、グラン・クリュに格付けされたコミューンに自社畑を持つレコルタン・マニピュランのシャンパンと見て間違いない。

 

格付け村のあるエリアは大きく三つに分けられる

格付け村が多く集まり、シャンパーニュの心臓部と言えるのが、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランの3地区だ。村名までは覚えきれなくても、この三つの地区名は覚えておこう。

 

モンターニュ・ド・ランス

「ランスの山」の意味。中心都市ランスの南に広がる。特にピノ・ノワールの品質が優れた土地として知られる。

 

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ

「マルヌ渓谷」を意味する。エペルネの東に広がる。ピノ・ノワール、シャルドネ共に品質が高く、バランスの取れた土地。

 

コート・デ・ブラン

「白い丘」の意味。白亜質土壌が露出し、景観も白っぽい。シャルドネの産地として認知されている。

 

ラベルを読む

ここまで読んだあなたは、すでにシャンパンのラベルがある程度読めるようになっている。記載する事項が法律で定められているラベルはシャンパンを選ぶ際の確かな羅針盤だ。ラベルに記載される項目は以下の通り。

 
・原産地名称(Champagneと大きな文字で表示)
・醸造者/社(メゾン)名(例:モエ・エ・シャンドンなど。本社所在地であるコミューン名と「FRANCE」の文字も記載される)
・商品名(例:モエ・アンペリアルなどのワイン名)
・ヴィンテージ(西暦の記載がない場合はノン・ヴィンテージ)
・キュヴェの特性(必要に応じてロゼ、ブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワールなど)
・糖分含有量(ブリュット、ドゥミ・セック、セックなど)
・業態(例:NM、RM、CMなど)
・アルコール度数(%vol.=容量パーセンテージ)
・容量(リットル、センチリットル、ミリリットルで表示。フルボトルは750ml)

 

シャンパン以外のスパークリングワイン

シャンパンと同じように瓶内二次発酵を行って造るスパークリングワインに、フランス国内各地のクレマンがある。特にブルゴーニュやアルザスのクレマンにはシャンパーニュの名品にも引けを取らぬ銘柄がある。

 

同じ製法で造られる泡は各国にある

スペインのカバ、イタリアのフランチャコルタも瓶内二次発酵を採る。イギリス南部諸州、オーストラリアのタスマニアやカナダ東部のノヴァ・スコシアでもこの製法から高品質のスパークリングが生まれている。フランス以外の産地では「シャンパン製法」という言い方を嫌い、「伝統製法」という言い方をする。

 

人気のプロセッコなど、ほかの醸造方法は?

シャンパン製法よりも簡易にスパークリングワインを造る方法にシャルマ法がある。これはステンレスタンクに入れたベースワインに酵母と糖分を添加し、密閉した環境で二次発酵を行うもの。“世界で最も売れている泡”、イタリアのプロセッコはシャルマ法で造る泡の代表格だ。

 
メトード・アンセストラル(田舎方式)は、一次発酵で生じた二酸化炭素をそのまま瓶内に閉じ込める方法。発酵中のワインを低温下に置くことで一旦発酵を止める。温度が上がると再びワインが発酵を始め、泡を造る。つまり、初期のシャンパーニュの方法と同じ。ブドウが持つ果糖のみを使うので、ブドウ本来の風味が出る。

 
ペティアンは、一次発酵の途中で瓶詰めすることにより、微発泡にする方法。フランス・ロワール地方でよく見られる手法で、ブドウの果実感や個性、偶然による風味が素直に出ることから自然派の造り手が好んで採用する。

 

シャンパンを美味しく飲むには

 
まずは開け方。シュポンと抜いて、シュワシュワとボトルの口から黄金の液体が溢れ出る様は、その場を盛り上げる……。が、あなたがプロのソムリエなら、そんな派手な開け方をすると、嘲笑を買うことになる。

 
プロは音もなく抜栓し、一滴もこぼさずにグラスに注ぐ。しかし、シャンパンはあくまでも祝いの酒、歓喜の酒である。仲間と楽しむときは気分よくシュポンと抜こう!

 

温度管理やグラスの使い分けでより美味しく

上質のシャンパンほど冷やしすぎないことが肝要。10℃前後を目安に。逆に安価なシャンパンは6~8℃に冷やしてグイグイ飲めば、少々の欠点も気にならない。

 
グラスは浅くて広口のクープか、シュッと細長いフルートがお馴染みだが、香りと味わいを十分に楽しみたいなら、ボウル部分がふっくらと膨らみ、口の部分が適度にすぼまった白ワイン用グラスを使うべきだ。パーティー用とプライべート用、2種類のグラスを用意しておくことを勧める。

 
シャンパンを飲み残すと泡が消えてしまう?そんなことはない。きちんと造られたシャンパンの泡は、きちんと栓を閉じさえすれば、開栓後も2日間くらいは立つ。スパークリングワイン用のストッパーを一つ用意しておこう。

 

乾杯だけではもったいない!

 
先に述べたように、かつてシャンパンは甘口で食後に飲むデザートワインだった。現代のシャンパンは乾杯の酒というイメージが強く、パーティーや食事前のアペリティフとして飲むものだと思っている人が多いのではないだろうか?

 
しかし実際には、シャンパーニュは食事を通して楽しめるお酒である。ヴィンテージ・シャンパンならコッテリとした肉料理にあわせても決してワインが負けてしまうことはない。映画『プリティ・ウーマン』では、バスタブに入った主人公がイチゴをつまみにシャンパンを飲むシーンが印象的だが、デザートとシャンパンという組み合わせも捨てがたい。

 
あるワインライターが「シャンパンに合う最高のつまみは鰹節を使った出汁である」と書いていたことがある。熟成したシャンパンには強い旨みがあり、また石灰質土壌由来の潮の風味がある。これを出汁に合わせたくなる気持ちはよく理解できる。

 
つまり、シャンパンは日本食によく合うのだ。例えば、多くの食材を使い、味つけもさまざまなおせち料理には、シャンパンの持つ広範囲の守備力がモノをいうだろう。

 

知ればもっと美味しくなる

日本はシャンパンにとって世界第3位の輸出国だ(第1位はアメリカ、第2位はイギリス)。日本に輸入されるボトルの数は1,080万本(2020年)。どうせ飲むなら美味しいものを選びたい。少しの知識で、シャンパン選びは容易で楽しいものになる。何よりも、背景を知ることで、味わいが増す。

 
もどかしい日々が続いた今こそ、優美・繊細で溌剌とした黄金の泡に癒やされ、明日への活力をもらいたい。

 
 

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