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7月2日は「うどんの日」。その誕生の由来と過ごし方をひもとく

白くつるつると光る長く太い麺。シンプルでありながらも食欲をそそるその見た目に、“安い・早い・旨い”の三拍子を兼ね備えたうどん。少しずつ気温や湿度が上がるこの時期、冷たいうどんが楽しめる季節になってきた。外出が難しい今、子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されるうどんに注目してみよう。

 
小麦そのままの味わいやのど越しが楽しめる麺の美味しさはもちろん、ネギやとろろ、天ぷらなどさまざまな薬味や副菜との相性も抜群で、一つの器で食事が完成するバランスのよさも、うどんの魅力の一つと言えるだろう。

 
暑い日でも寒い日でも、日本全国どこへ行っても気軽に食べられる国民食とも言うべきうどんに、「うどんの日」という記念日が存在する。今回はその誕生の由来から過ごし方まで詳しく紹介していこう。

 

「うどんの日」とは

「うどんの日」は7月2日である。きっかけは、うどん消費量日本一で知られる香川県。「うどん県」の異名を持つだけあり、実に粋な記念日を制定したものだ。
しかし、なぜ7月2日なのか。その由来は夏の訪れを告げる「半夏生(はんげしょう)」が深く関係している。 まずは「うどんの日」の誕生の秘密をひもといていこう。

 

40年前に誕生した「うどんの日」

まだ聞き慣れない方も多いと思われる「うどんの日」。てっきり制定されてまだ日が浅いのかと思いきや、40年の歴史が存在した。

 
誕生したのは1980年。「讃岐うどんをもっとたくさんの人に食べてもらいたい」と、うどんの消費をさらに拡大するべく香川県生麺事業協同組合によって40年も前に制定された。

 
7月2日である理由には、香川県讃岐地方の農家のうどんを食べて農作業の労をねぎらうという、古くからの風習が関係している。

 

「うどんの日」と「半夏生」の関係

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「うどんの日」である7月2日は、「半夏生」と呼ばれる季節の節目、雑節の一つである。夏至から数えて11日目にあたる日で、正確には7月2日頃から5日間を半夏生と呼ぶ。

 
この半夏生、特に日本で農業が盛んだった時代は、農家の人々にとって畑仕事や田植えを終える目安や区切りとなる日として大変重要視されていた。半夏生には天から毒が降ると信じられ、毒が入らないよう井戸に蓋をしたり、この日に収穫した野菜は食べてはいけないなどと言われる地域もあったという。

 
考えてみれば、この時期は梅雨真っただ中。カビが生えやすい時期ということもあり、食あたりや水あたりなどの増加がこの半夏生の物忌みを生み出したのかもしれない。

 
こうして、田植えは半夏生前までに終わらせなければ収穫が半減するという「半夏半作」という言い伝えまで生まれ、農家たちは毒が降るとされる半夏生の前までに何とか農作業を終えようと必死に働いた。そうしてたまった疲れを取り、暑くなる夏に備えなければならない。そこで、7月2日ごろのこの半夏生で農作業の労をねぎらう風習が誕生したというわけだ。

 
半夏生にまつわる風習は全国各地にさまざまに存在するが、とりわけ香川県では“皆で美味しいうどんを食べながら田植えの疲れを癒やす”という半夏生の風習が、風化することなく現在も受け継がれている。

 
そのため毎年7月2日には、「うどんの日」にまつわるイベントが香川県では目白押しだ。地元の神社「中野天満神社」にうどんを奉納する“献麺式”という儀式をはじめ、さまざまなお店や団体が無料でうどんを提供する“うどん接待”、小学生や保護者向けの手打ちうどん教室などの体験学習が県内各地で催される。

 
またうどんだけではなく、うどんによく合う「さぬきの青ネギ」、「さぬき蛸」、「徳島県産すだち」など、地元食材の地産地消を推進する活動としても「うどんの日」は一役買っているようだ。

 

半夏生にまつわるうどんの食材

香川県のうどんに限らず、半夏生にまつわる食材は地域によってさまざま。農作業の労をねぎらうためとあって、栄養価の高いものも多い。

 
せっかくなので、半夏生にまつわる代表的な食材をうどんの副菜として食卓に取り入れて、迎える夏を前に英気を養ってはいかがだろうか。

 
「うどんの日」に一緒に食してもみるのも一案だ。ここでは3つの食材を紹介しよう。

 

タコ

octopus

 
関西地方では植えた稲がタコの吸盤のように大きく実をつけ、また大地に吸い付きしっかり根を張って立派に育つようにと願いを込め、半夏生にタコを食べる習慣があった。そして商売気溢れる関西商人がこの風習にあやかろうと、あの手この手でタコを盛んに売り出すようになったともいわれている。

 
さて、うどんの副菜にタコ、というのはいささか想像しがたいが、食欲増進効果のあるキムチや体の熱をとってくれるきゅうりと和え、冷やしうどんにのせていただくと、意外にもさっぱりと美味。素材それぞれの歯応えも楽しめそうだ。

 
タコにはタウリンや亜鉛が多く含まれており、体のバランスを整えて血圧を正常に保ち、新陳代謝を活発にしてくれる作用があると言われる。疲れを溜め込まず、夏に向けて英気を養うには絶好の食材のようだ。

 

サバ

saba

 
福井県大野市を中心とした地域では、半夏生に丸ごと焼いたサバを一人一匹ずつ家族全員で食べる半夏生鯖(はげっしょさば)と呼ばれる風習がある。その由来は、大野藩主が令書を発した江戸時代。

 
当時、サバの漁獲量が多かった大野地域では、年貢の奉納や畑仕事で疲れている農民にサバを食べて栄養補給するように藩主からお達しがあった。そこに目をつけた町の魚店が半夏生に焼きサバを売り始めたことがきっかけで、庶民もせめて半夏生ぐらいは高価なサバを食べて栄養をつけようと、今日まで続く風習となったそうだ。

 
タコに負けずとも劣らず、うどんの副菜としてアレンジするのは難しいように感じるが、意外にも「鯖うどん」というメニューは存在していた。

 
例えばサバ缶と、食べる日焼け止めと呼ばれるトマトを和え、冷え冷えのうどんにトッピング。低カロリーながらしっかり栄養補給できる、美容に気を使う女性にもお薦めの逸品に仕上がる。

 
サバは栄養価の高さから、21世紀のスーパーフードともいわれるほど、強い体を作るために必要な良質な脂をたくさん含んでいる。その上、疲労回復や傷ついた細胞の再生を助けるのに必要なビタミン類も豊富だ。

 

きな粉・きな粉餅

kinako

 
香川県には、うどんと並んで半夏生に食される食べ物がもう一つ存在する。「はげだんご」と呼ばれる、小麦粉で作られたお団子である。名前の由来は、小麦粉で作られたお団子はお米で作るものと比べ、絡めたあんこがすべり、うまくお団子に付かないためにそう呼ばれるようになったというから面白い。

 
一方、奈良県や大阪府、和歌山県の一部地域に伝わるのは、半夏生餅(はんげしょうもち/はげっしょうもち)。田の神様や田んぼへの感謝の気持ちとして供え豊作を祈るためのもので、もち米と小麦を合わせて餅をつき、きな粉をまぶした通称きな粉餅だ。

 
その年に収穫した新鮮な小麦で作った半夏生餅を供え食べることで、神様と同じものを人間もいただいて少しの休暇として、農閑期を迎えたといわれている。特に奈良県では室町時代から存在する風習で、夏の始まりを知らせる行事として現在も大切に受け継がれている。

 
うどんの副菜というよりは、食後のデザートとして優しい甘さのきな粉餅をいただくのが乙であろうか。きな粉はビタミンや亜鉛などに加え、食物繊維も多く含まれ、体のさまざまな働きを助ける作用がある。

 
きな粉の原料である大豆は「畑の肉」とも呼ばれるほど栄養価の高い食材だ。タンパク質が不足しがちなうどんに、植物性のタンパク質を効率よく摂取でき、食べ合わせとしてもよさそうだ。

 

「うどんの日」にかみしめる感謝

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うどんのさらなる消費拡大を目指して始まった「うどんの日」。その歴史を振り返ると、日本の農業を支えていた昔の方々が私たちに残してくれた、四季の移ろいを感じさせる美しい食文化に触れることができる。

 
今年の「うどんの日」は美味しいうどんをすすりながら、農業者や農作物への感謝をかみしめるというのも風情があってよい。
 
 

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