とっておきの話

チャーター便って一体どういうもの?~JAL機長たちが教えるコックピット雑学②~

JALグループの飛行機の操縦かんを握るキャプテンたち。コックピットの中からしか見えない景色、キャプテンだから知っている意外な事実など、あっと驚く雑学をキャプテン自身がご紹介します。

 

チャーター便運航の準備

JALグループでは、世界各地に定期便を運航していますが、その他に夏季繁忙期や年末年始など、通常は運航していない空港へチャーター便を飛ばしています。アラスカ、パラオ、クロアチアなど、私たちパイロットにとっても普段なかなか行くことができない場所なので胸が高鳴るのですが、楽しいことばかりではありません。

 
チャーター便の準備は、運航の1年前から始まります。機材の調整、現地空港の確認、実際のオペレーションまで、延べ数百人のスタッフが関わり、当日のフライトを迎えます。 
パイロットにとっても、これまでに運航経験のない航空路や空港となるため、事前の調査や準備を計画的に進めなければなりません。特徴的な進入方式、複雑な滑走路や誘導路の形状などの注意点を確認し、予想される特異な気象現象や管制指示などを繰り返しイメージします。

 
私は以前、羽田からマカオへのチャーター便に乗務しました。
マカオ国際空港は、中国・香港の西、タイパ島の東側の埋め立て地にあります。空港北側には、マカオの住宅街や山があるため、風向きによっては、低い高度で機体を旋回させながら着陸をしなければなりません。旋回を開始するポイントが少しでもずれた場合、着陸をやり直さなくてはならないこともあるため、準備は入念に行いました。

 
また、滑走路が空港東側の海上人工島にあるため、離着陸の際、航空機は駐機場があるタイパ島との誘導路を渡る必要があります。午前0時過ぎに羽田を出発し、午前4時ごろにマカオに到着。まだ夜明け前、暗く狭い誘導路を渡りきるまで、緊張が続いたのを覚えています。
到着後すぐに機体を引き返さなければならず、後ろ髪を引かれる思いで、関西空港へ向かいました。滞在時間はわずか2時間でしたが、駐機場から見たマカオの街のネオンは煌びやかで、今でも記憶に残っています。

 

(JALカード会員誌AGORA 2017年1・2月号掲載)
※記載の情報は2017年1月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
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