本日もJALグループのフライトにご搭乗いただきまして、誠にありがとうございます。今回は鹿児島に本拠地を置く日本エアコミューター(JAC)と鹿児島大学との産学連携による地域活性化プロジェクト「SKYCAMP」についてお話をしたいと思います。
SKYCAMPとは、飛行機の操縦訓練を実際に体験していただく“超”実践型インターンシップです。参加を希望する鹿児島大学ならびに同大学院の学生の中から、飛行機の操縦に必要な航空身体検査や心理適性検査などの条件をクリアした8名に2週間、このプログラムを提供します。
期間中、飛行機を飛ばすために必要な座学、FTD(Flight Training De-vice;簡易型シミュレーター)訓練を4回、小型訓練機を使用した飛行訓練を4回実施します。その他にJACのさまざまな職種の職場見学や座談会、実際に訓練・審査で使用するフルフライトシミュレーター体験、運航便の操縦席への同乗などを通して、パイロットの仕事のみならず、航空業界への理解を深めてもらうことを目的としています。
この取り組みの実現に尽力した鹿児島大学の出身で、JAL名誉顧問である故稲盛和夫の言葉に「強く、美しい『思い』を持ち続け、努力と工夫を重ねていくならば、『思い』は必ず実現する」とあります。パイロットになりたいという強い思いと、地域に根差して貢献したいという思いを抱く人財の受け皿になるべく、適性があると認められた最大2名の学生には、大学もしくは大学院卒業後、エアラインパイロットに必要な資格取得を鹿児島大学・JAL・JACの三者でサポート。取得後はJACの一員として活躍する道を用意しています。2020年度からこの取り組みがスタートして、第一回の学生は資格取得のため2年に及ぶ訓練を開始しています。
このプログラムを通して学生の皆さんに学んでいただきたいのは、空を飛ぶことの楽しさ、そして仲間と支え合うことの大切さです。空の世界は競争社会ではありません。皆で協力して目標を達成し、自分の得意分野を活かして支え合い、成長していくことをJALグループのパイロットは大切にしています。
飛行機の操縦という非日常の体験に目を輝かせた学生たちが、純粋に空を飛ぶことを楽しみ、皆で成長する喜びを感じ、プログラムが進む度にパイロットらしくなっていく姿を見ると、学生の皆さんには無限の可能性を感じます。そして時には鋭い質問が飛んできて、私たちが新鮮な気付きや学びを得ることも多くあります。
本日ご搭乗いただいているフライトの目的地はどちらでしょうか。この2月から3回目のSKYCAMPを行います。鹿児島上空で奮闘するSKYCAMPERたちに、心の中でエールを送っていただけますと幸いです。また、数年後にはSKYCAMP出身の副操縦士も誕生します。私は彼らと共に、皆さまを安全に目的地までご案内できる日が来ることを心待ちにしています。本日のご搭乗、誠にありがとうございます。
廣枝 丈人 Hiroeda Takehito
JAC
ATR42/72-600型機 機長
出身地:神奈川県
趣味・特技:野球、ゴルフ
座右の銘:Don’t be afraid to fail.Be afraid not to try.
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