とっておきの話

いろんな人と関わったツギハギな人生は最高! ~On My Journey 東京スカパラダイスオーケストラ~

30年間、飽きずに仲間と旅をしています

デビューから30年、ジャマイカ生まれの“スカ”という音楽をベースに独自のジャンルとして“トーキョースカ”を築き、世界31カ国で公演するなど日本が世界に誇るスカバンド・東京スカパラダイスオーケストラ(通称・スカパラ)。「30年たってもまったく飽きないですね」と語るのは、バリトンサックスと作詞を担当している谷中敦さん。遊びの延長線上に音楽活動があったとのこと。

 
「ボーカルを入れないインストゥルメンタルのバンドで、ドラムやパーカッションの“リズムセクション”とトロンボーンやサックスなどの“ホーンセクション”、そしてギターやキーボードといった楽器でカッコよく演奏する。そういう音楽は30年以上前の日本にはあまりなく、新鮮だったかもしれません。そしてそこに集まったメンバーは個性的な人ばかり。当時は音楽スタジオに張り紙をしてメンバー募集をしている時代だったのですが、自然とセンスのよい面白い人たちが集まってきていました。そんな彼らと音楽や映画の話をしながら過ごすのが楽しかった。インターネットがなく自分の知らないことを教えてくれるのは友達という時代、学生だった僕たちにとって友達は自分を豊かにしてくれる財産そのものでした。そんな友達の一番“濃い”部分がスカパラメンバーです」

 
その気持ちは今も同じとのこと。

 
「グループで活動していると軋轢が生じることもあるかと思いますが、僕らは常に外の世界に興味があって、メンバー間の関係性が変わらないんですよ。常に飽きない状態になっている。バンド自体がこの地にとどまらず旅をすることで、自分たちの協力体制が保たれていると思います。いつになってもバンド全体でいろんな景色を見て、それを共有して楽しんでいます」

 
tokyoskaparadiseorchestra

 
常に前を向いている彼ら。それを象徴するように、2001年からゲストボーカルを招き入れた“歌モノ”に挑戦。スカパラの音楽に言葉を誕生させた。

 
「ヨーロッパツアーで手応えを感じて、新たな一歩としてスカパラの世界にボーカルを迎え入れました。僕が作詞、メンバーが作曲というスタイル。もともと詩を書きためては友人・知人の迷惑を顧みずにメールで詩を送っていたんです(笑)。それを知ったメンバーから『作詞もしてみたら?』と勧められたのがきっかけ。子どもの頃から映画音楽が好きで、歌詞がない音楽を聴いてはいろいろ想像を膨らませていたのですが、その延長線上にあるのかも……。僕は曲に歌詞を乗せていくタイプなのですが、リハーサル中にメンバーの表情を見ながら書くのが好きですね。楽しい作業です」

 
“歌モノ”は、スカパラのもう一つの顔として浸透。これまで、日本を代表するボーカリストが参加してきた。
「スカパラとコラボしていただくからには、いつもとは違った一面を引き出したいと思っています。その人が書きそうな世界観だけど書かないような絶妙なフレーズを入れることを意識したり。Mr.Children の桜井和寿くんに作った『リボン』では、『哀しみはデタラメに塗り潰せ / そのために来たんだ / 大騒ぎしよう』という歌詞に対して、『スカパラさんだから説得力がある音と言葉。そこに自分の声で、身体ごと飛び込んでいけた!』と桜井くんが言ってくれました。スカパラを通して、新たな魅力の発見になればうれしいです」

 

旅に出て周りを見ると内なる宝に気づかされる

tokyoskaparadiseorchestra

<上段左から>北原雅彦(Trombone)、谷中敦(Baritone sax)、川上つよし(Bass)、大森はじめ(Percussion)、茂木欣一(Drums)、<下段左から>NARGO(Trumpet)、GAMO(Tenor sax)、加藤隆志(Guitar)、沖祐市(Keyboards)

 
昨年発売されたデビュー30周年記念オリジナルアルバム『ツギハギカラフル』。このタイトルにはさまざまな思いが詰まっている。

 
「ツギハギでない人間はいないと思っています。人は皆、いろんな人やものから影響を受けてできている。外部からの影響の重なりが今の僕たちなんです。そう考えると人間ってすごく愛おしいと思います。そして、それはスカパラも同じで。いろんなタイミングでいろんな人とたちと夢を見たツギハギで紡いでいる。ツギハギだらけの人生は勲章なんですよ」

 
そんなスカパラのツギハギの大きな一つが、メンバーのクリーンヘッド・ギムラさんと青木達之さんの死。

 
「かなり大きな出来事でしたが、このときも“解散”という二文字は浮かびませんでした。逆に立ち止まってはいけない!という思いのほうが強くて……。立ち止まったら空中分解してしまう気がしたんです。そしてスカパラがなくなったらこんな形のバンドはもう二度と生まれてこないかもと考えると、前に進むことのほうが大事だと思えました。それはほかのメンバーも同じ。それ以降、ここにいないメンバーのことを思うと、立ち止まることなんて考えられない。みんなが描いた夢の跡を僕らが継いで描いているんです」

 
そんな彼らが力を入れているのがライブパフォーマンス。近年では国内だけでなく、アメリカのCoachella(コーチェラ)やメキシコのVIVE LATINO(ビベ・ラティーノ)など、ミュージシャンなら誰もがうらやむ世界最大級の音楽フェスに呼ばれることも多い。

 
「海外でライブをすると新たな発見が多いです。日本だと聴き入る人が多いバラード調の曲も、海外の人は情熱的に踊ったりして……。自分たちのなかではそれまで特別でなかったものも、海外のお客さんのノリ具合によっては特別になっていく。何気ないものも海外に行くとすごく価値のあるものだと気づかされたりするので面白いんですよ。旅をすることは自己発見ができる大事な機会。それはバンドだけでなく個人としても同じで。自分たちが持っている“内なる宝”を知ることが、旅に出る意味なのかもしれないですね。これからも旅に出て自分を知っていきたいです」

 
tokyoskaparadiseorchestra

 
昨年は、メキシコ最大の音楽アワードで、優れたライブパフォーマンスを披露しているミュージシャンに贈られる賞を受賞。世界でもその活動が認められている。

 
「この賞をいただけたのはすごくうれしかったです。僕たちがやっているスカに国境がないことをあらためて感じることができました。メキシコで初めてライブをしたのは2011年の東日本大震災のすぐ後の4月。自分たちにできることは何か?を考えていた最中だったのですが、お客さんがパフォーマンス中に国旗を振ったり『ハポン(日本)』とかけ声を出してくれたりと、音楽の力を再確認してすごく勇気づけられました。そのとき感謝の意を込めて、ステージ上で『WE ARE WITH YOU』と言ったのを今でも覚えています。その気持ちは変わらないですね。音楽は国境も距離もなく、常にそばに居続けているものだと思っています」

 
31年目に突入するスカパラ。これからどんな姿を見せてくれるのだろうか。

 
「常にボーダレスでありたいと思っています。音楽もこれまで通り“スカ”が基本にありながらいろんなジャンルが混じり合っているツギハギ状態でありたい。これが僕たちのオリジナリティーです。3月には集大成のベスト盤も発売されましたが、これを聞いたら僕たちの音楽はひと言では語れないと感じてもらえるはず。“常に進化して前進していく”、その思いを持ってこれまで通り楽しんでいきたいです。若い人には負けてられません(笑)。今は挑戦したいことがたくさんあって時間が足りないくらい。スカパラはまだ旅の途中です」

 
東京スカパラダイスオーケストラ
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1989年インディーズデビュー。幾度となるメンバーチェンジを乗り越えて、現在のメンバーは計9人。アメリカ最大の音楽フェス「Coachella」では日本人バンド初となるメインステージに出演。2019年にはメキシコ最大の音楽アワード「Las Lunas del Auditorio 2019」で優れたライブパフォーマンスを披露するミュージシャンに贈られる賞を受賞するなど、国内にとどまらず世界でも活躍の場を広げている。
オフィシャルHP:https://www.tokyoska.net/

 
 
ベストアルバム
『TOKYO SKA TREASURES 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』発売中
Album
ゲストボーカルを迎えた“ 歌モノ” と、メンバー自身による“ 歌モノ” 、インストナンバーが存分に楽しめるベストアルバム。新たなゲストボーカルとしてaikoを迎えた新曲「Good Morning〜ブルー・デイジー」を含む、スカパラが奏でてきた“トーキョースカ”の“宝物”全47曲を収録。CD+Blu-ray 盤には39曲のMusic Videoとライブ映像とスペシャル映像、CD+DVD盤にはライブ映像とスペシャル映像が収録されている。
CD3枚組 CTCR-14991~3 ¥3,500+税

 
 

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