旅の寸景

知夫里島 【しまそらたび】

文・撮影/加藤庸二

隠岐の起源を知る、地球時間の痕跡

島根半島沖の日本海には壱岐・対馬島や佐渡島とともに歴史的に由緒のある隠岐諸島がある。4つの有人島からなるその島々は古くは『古事記』に登場し、鎌倉時代には後鳥羽上皇が流刑となった島だ。美しい風光とその史実を訪ねて多くの人がやってくるなかで、近年はジオパークを目的にという人々が増えている。

 
ジオパーク。それは「大地の公園」と訳され、自然の成り立ちを見ながら人と生態系の関わりを地球的に捉えて考えてみようという場所のことである。分かりやすく言うと、そこに立てば悠久の地球時間の歴史が辿れるところということだ。ではなぜ隠岐がジオパークなのかというと、この島々が太古の火山活動や島の成り立ちを教えてくれる場所だからだ。

 
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▲隠岐は入り江が多く、変化に富んだ地形が魅力。

 
知夫赤壁という景観地がある。隠岐諸島の西側に固まってある3島(島前)は大昔には大きな一つの火山で、現在3島を分けている海はかつてカルデラだったという。その火山の外輪山の一部が知夫里島で、赤壁は隠岐が誕生したときの火山活動の痕跡。縦横に赤茶色の岩石を挟む岩盤の景観は、島の誕生で激しい地殻変動があったことを物語る。ここは隠岐の原初を感じられる場所なのである。

 
DATA|都道府県:島根県 島の周囲:50.8km(*1)人口:635人(*2)

*1 日本離島センター刊『SHIMADAS』調べ *2 平成28年知夫村役場調べ

 

知夫里島へのアクセス

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東京(羽田)・大阪(伊丹・神戸)・名古屋(小牧)・福岡・仙台・静岡から出雲縁結び空港へ、大阪(伊丹)・出雲より隠岐世界ジオパーク空港へ、JALグループ便またはコードシェア便が毎日運航。七類港、西郷港などから来居港へフェリーが運航。

 
加藤庸二
かとう ようじ/島フォトグラファー。国内の上陸可能な有人島すべてを踏破した島のスペシャリスト。著書に『日本百名島の旅』『島の博物事典』ほか多数。

 

(SKYWARD2019年11月号掲載)
※記載の情報は2019年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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