旅のスタイルや週末の楽しみの選択肢として、ここ数年で人気が爆発した「グランピング」。でも、グランピング未体験の人にとっては、どんな所に泊まるのか、何ができるのか、何を持っていけばいいのか、そもそもグランピングとキャンプは何が違うのか、不安も多いことだろう。
そこでこの記事では、
・グランピングとは何か、その全貌
・グランピングのバリエーション
・サイト選びのポイント
について解説する。
これを読めば、グランピングのすべてがわかる!
目次
グランピングって何?キャンプと何が違うの?
グランピング、その言葉の意味は?
グランピング(glamping)は「グラマラス(glamorous)=魅惑の、ワクワクさせる」+「キャンピング(camping)」から生まれた言葉。端的に言うなら「手ぶらで行けるキャンプ」だ。
宿泊はテント、コテージ、トレーラーハウスなど。なかにはホテルで宿泊し、エクスカーションとしてバーベキューや焚き火を楽しむという施設もある。
「アウトドアアクティビティーを体験したいけれど、テント設営、料理や火おこしの準備に自信がない」「大自然を満喫したいけれど、就寝時は快適に過ごしたい」。そんなわがままをかなえてくれるのがグランピングなのだ。
キャンプと何が違うの?
従来のオートキャンプ場では、宿泊用のテントやタープ、寝袋などの専用グッズ、アウトドア用のテーブルやチェア、食材、バーベキューコンロや燃料など、ほぼすべてを自分たちで調達し、組み立てなどの設営もしなければならなかった。
しかしグランピングなら、テントも、寝袋も、バーベキューセットも施設側が用意してくれる。風呂やトイレは完備。ケータリングやレストランがついて料理すら不要の施設も。
つまり、至れり尽くせりのホテルと、自然のなかに身を置くキャンプ、両者の「いいとこ取り」ができるというわけだ。これならテント設営の予習も不要。アウトドア初心者でも気軽に出かけられる。
いつ、どこで始まったの?その歴史をおさらい
グランピングの源流は、ヨーロッパ貴族が嗜んだ狩猟にある。1800年代後半、イギリス、フランス、イタリアの上流階級の人々は狩猟を目的に、当時の植民地だったアフリカを訪れるようになった。彼らはルイ・ヴィトンのトランクに身の回りのものを大量に積み込み、邸宅暮らしをアフリカの地に再現したのだ。
時代はくだり1960~1970年代、アフリカ観光は一般人まで広がり、現地には観光客向けのロッジが多く作られたという。
2000年代初頭には、すでにラグジュアリーキャンプといった言葉が使われており、富裕層向けに豪華なサファリロッジが登場した。ケニアやタンザニア、南アフリカなどのラグジュアリーロッジは、現在のグランピングの先駆けの一つと言えるだろう。
なお、「グランピング」という言葉は、2005年頃にイギリスで誕生したと考えられている。(「一般社団法人日本グランピング協会」参照)
日本におけるグランピング
日本では数年前から認知が広まったグランピングという言葉。2012年7月に東京・新豊洲に開業した「ワイルドマジック」は、手ぶらで気軽に、しかも都心のウォーターフロントでグランピングやバーベキューが楽しめる施設として話題となった。
また、西伊豆に1日1組限定の“大人の秘密基地”「REN VILLAGE」といったプライベートキャンプ場が登場したのも2012年。この頃から、非日常を仲間や家族と一緒にアウトドアで楽しむ「グランピング」に熱い視線が注がれ始める。
2015年秋には、星野リゾートが「グランピングリゾート」をコンセプトに掲げた「星のや富士」を河口湖畔に開業。グランピングが、ラグジュアリーリゾートと結びつく時代の到来だ。
2020年以降、コロナ禍で不特定多数の人と接したくないというニーズもあって、グランピングは瞬く間に少人数グループや家族連れに人気のアクティビティーになった。2021年も日本各地でグランピングリゾートの開業が続いている。
グランピングのバリエーション、選ぶポイントは?
一口にグランピングと言っても、今は趣味嗜好にあわせたさまざまな選択肢が存在する。バリエーションを知って、己の求めるグランピングを探したい。
豊富な宿泊スタイル、どれに泊まる?
テントやパオ、トレーラーハウス、コテージ、ツリーハウスなど、グランピングサイトが用意する宿泊スタイルはさまざま。施設によっては、複数バリエーションを展開しているところもある。
テント
テントといっても、円錐形にキャンバス生地を張ったベルテント、球体の家のようなドーム型テント、丸みを帯びた形で居住空間が広いタマネギ型テントなど、形も規模もさまざま。
一つ言えるのは、自然の気配が最も色濃く感じられる設備は、テントだということ。鳥の声をはじめとする周囲の音を拾いやすく、太陽の光も感じやすい。アウトドアを満喫するなら、テント泊がイチオシだ。
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トレーラーハウス
トレーラーハウスは、レトロでアメリカンな雰囲気を楽しみたい人におすすめ。コテージよりもコンパクトでフォトジェニックなトレーラーハウスは、非日常の雰囲気もたっぷりだ。また、流線型の車体がシルバーに鈍く輝く「エアストリーム」は、一度は泊まってみたい人気のトレーラーハウス。
トレーラーハウスは堅牢で風雨に強いため、守られた環境の中で適度にアウトドアを楽しみたい人にオススメだ。
コテージ
コテージは、バスルームや空調などが充実し、設備の衛生面でも安心感があるため、アウトドア初心者や小さい子ども連れのファミリー向き。プライベート空間を大切にしたい人は、防音の観点からもコテージがオススメ。
コテージとは言っても単なる宿泊小屋にとどまらず、温泉付きだったりウッドデッキでのんびりできたりと、施設によってさまざまな工夫を凝らしている。
ツリーハウス
ツリーハウスはその名の通り、木の上のおうち。トムソーヤの冒険を読んで、いつかは泊まってみたい!と憧れた人も多いのでは?宿泊用ツリーハウスを備えたグランピングサイトなら、長年の夢をかなえられる!
階段で簡単に登れ、ガラス窓のあるツリーハウスなら安心して宿泊可能。食事は敷地内にあるカフェやレストランで、というケースが多いので、施設環境を事前に調べてサイトを吟味したい。
食事はどんなものが楽しめる?
グランピングの楽しみ、いや、旅の楽しみの最たるものが食事の時間。アウトドア気分を満喫するなら、やはりバーベキューが王道。バーベキューセットと食材は施設側が用意してくれることがほとんどなので、予約時にプランの詳細を確認しよう。
自分で調理をするのが面倒、という人は、サイト内にレストランやカフェがある施設を選ぶといい。予約必須の場合がほとんどなので、うっかり忘れないようにご注意を。また、夜は自分たちでバーベキュー、翌朝はレストランで手軽に、という使い分けもオススメ。
そのほか、ケータリングやピクニックセットを注文することができたり、自分たちが泊まるテントに料理人がやってくる「出張料理プラン」などが用意されているところも。食事はグランピングのハイライトでもあるので、思い出に残る旅のためにも、どんな食事が楽しめるのかを基準に施設を選ぶといいだろう。
バスルームとトイレ事情
グランピングで気になることの一つが、お風呂やトイレがどうなっているのか?ということ。水回りの設備の良し悪しに、宿泊の快適さは大きく左右される。
共用のバスとトイレという場合もあるが、ラグジュアリーを謳う施設の多くはバスとトイレを個別に配備している。バスルームのあるキャビンにテントが連結しているタイプの施設もあり、こうした施設を選べばテント泊を楽しみながらも、外に出ることなくバストイレを利用することができる。
電源はある?
テント泊と聞いたときに、まず頭をよぎるのが、「充電はできるのか?」という疑問。スマホが手放せない現代人にとって、電源の有無は死活問題だ。最近はテント内にAC電源を配備した施設も多数あるので、予約時に確認しよう。また、Wi-Fi完備の施設も増えている。
アクティビティーの有無
グランピングを楽しむなら、アウトドアアクティビティーも一緒に楽しみたいもの。施設によって多彩なプログラムを用意しているので、事前にチェックしよう。カヌーやカヤック、フィッシング、乗馬、トレッキング、バードウォッチング、星空観察など、アウトドアならではの体験がグランピングをより豊かなものにしてくれる。
そして、アウトドアやキャンプの楽しみに欠かせないのが「焚き火」。火をおこす場所があるかどうかも、念のため予約時に確認したい。
また、サウナや温泉などの付属施設が充実している所を選んで、ゆっくり湯治気分を味わうといった楽しみ方もある。なかにはグランピングサイトへのアクセス自体が、ヘリコプターや船での移動という個性的なタイプも。
ペット同伴は?
すべてのサイトがペットフリーというわけではないが、ペット同伴可の施設ももちろんある。
予約サイトなどによっては、以上の諸条件を絞り込み検索機能で確認できる。泊まってみたい施設が絞り込まれてきたら、これらのポイントを事前に確認してみることをお勧めしたい。現地で「こんなはずではなかった」という事態を避けるためにも、できれば事前に電話ですべての疑問をクリアにしてから、満足のいく施設を予約しよう。
あなたの理想のグランピングは?
グランピングの成り立ちと、そのバリエーション。いかがだっただろうか?
大人の秘密基地の夢をかなえたいのか、みんなでワイワイとバーベキューを楽しみたいのか、テントに泊まりながらも優雅にレストランで食事をしたいのか。グランピングのスタイルは、ホテル選びよりも実は多彩。ぜひ、自分好みのスタイルを見つけて、グラマラスなキャンプ時間を過ごしてほしい。
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