とっておきの話

パイロットの仕事の特殊性と多様性【キャプテンの航空教室】

文/堀口 正尊 イラスト/高橋 潤

本日はご搭乗いただきまして、ありがとうございます。当便は2名ないし3名のパイロットが運航を担当しております。機長と副操縦士の組み合わせはフライトごとに異なり、初めての場合もありますし、何年ぶりかの再会なんてこともあります。

 
私たちの仕事は、所定の場所に出勤し、自分と同乗するクルーと挨拶するところから始まります。もちろん、あらかじめ同乗するクルーの名前は調べられますし、社内システムで顔を見ることもできますが、ワクワクと多少のドキドキが入り混じった仕事前のこの感覚は、パイロット独特のものかもしれません。

 
毎回、チーム編成が変わってきちんと仕事ができるの?とか、ギクシャクしないの?と疑問を持たれるかもしれませんが、ご心配には及びません。機長と副操縦士は、職位による役割や、操縦を担当する「PF(パイロット・フライング)」と主にモニタリングを担当する「PM(パイロット・モニタリング)」など、業務による役割分担が明確化されています。各クルーがそれぞれの役割でリーダーシップを発揮しながら、チームとして機能するように十分な訓練を積んでいますので、どのようなペアでも品質の高い安全運航を皆さまにご提供できるのです。

 
さて、操縦室内でチームを編成するパイロットは年齢、性別、出身も異なり、気質、性格、趣味、特技などタイプはさまざま。これといって決められた型はありません。ですから、各クルーが個性をそれぞれ出し合ってそのチームの色を創るのです。その個性豊かなパイロットの安全運航に対する考え方は、教育や訓練、経験を重ねることで洗練され高い極みに収束していきます。

 
一方で具体的な運航の方法は天候や機材、路線などの環境を考慮したそのチームの判断によるところとなり、答えは色の数だけあります。チームの色の基となるパイロットの個性を大切にする文化、また仲間の個性を尊重しながらフライト業務に当たる風土が、JALの操縦室には根付いています。

 
そんなJALのパイロットになる方法は複数あります。その一つが自社養成制度で、私もこの制度でパイロットになりました。フライトに関する知識や操縦経験がなくても、入社後に必要な教育や訓練を受けライセンスを取得できるシステムです。前述のとおり、パイロットは個性豊かな多様性の集まりです。「超越した能力が必要」「こういう型でなければダメ!」といったものはありません。JALの自社養成パイロット採用にご興味のある方は、ぜひJAL Webサイトの採用情報をご覧ください。

 
仲間を思いやり尊重できる独自性を兼ね備えた方々と、いつか大空を舞台にたくさんのチームの色を創作できますよう、JALパイロット一同お待ちしております。

 

堀口 正尊 Horiguchi Masataka
JAL
ボーイング767型機 機長
出身地:神奈川県
趣味・特技:スポーツ観戦、美味しいもの巡り、自然と遊ぶ
座右の銘:四方八方塞がっても、まだ上があるなと空を見上げる人でありたい

 

(SKYWARD2023年5月号掲載)
※記載の情報は2023年5月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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