目の前の大きな水槽を見上げるとキラキラと太陽光を反射しながら泳ぐマダイやコショウダイの姿に目を奪われる。刻々と姿を変える水槽は、まるで万華鏡のよう。世界でも稀に見る水族館大国・日本の心癒やされる水族館を巡る旅へ。さぁ、青の世界を堪能しよう。
直径約4.5mの丸窓からアカシュモクザメを見上げていると、まるで海底探査船に乗っているような気分になる。ゆらゆらと変化する青の世界は、いつまでも見ていたくなってしまうから不思議だ。
香川県の宇多津町、瀬戸内海の目の前に立つ「四国水族館」は、2020年6月1日に開業した水族館。その特長は“四国の水景”をテーマにした展示コンセプトだ。
「穏やかな瀬戸内海や黒潮が流れる太平洋はもちろん、四万十川のような清流や溜池など、四国には多種多様な水の風景が点在しています。当館ではこれらを“水景”と呼び、大小70の展示を行っています」と教えてくれたのは、同館広報の片山豊心(とよみ)さん。
鳴門の渦潮の潮流を再現した水槽でマダイなどの力強い遊泳行動を展示する「渦潮の景」から、数え切れないほどのクラゲが浮遊する「海月(くらげ)の景」を経て、瀬戸内海を背景に7頭のマダライルカが泳ぐ「夕暮れの景」へ。順路のない館内では、四国の多様な“水景”を自由に巡ることができる。
なかでも圧巻なのが、幅11m、高さ5.5mの巨大水槽をスマやマサバなどの回遊魚が泳ぐ「綿津見の景」だ。この展示では、水槽の手前に照明を当て、奥をあえて暗くすることで、太平洋の無限の広がりを表現。闇のなかからふっと現れた魚たちが、再び闇のなかに消えてゆく幻想的な光景に思わず目を奪われてしまう。
約400種類の生き物を展示する同館だが、テトラポットの間をコブダイが泳ぐ「瀬戸内のヌシの景」など、人の暮らしと関わりの深い展示も多数。滝壺にアマゴが泳ぐ「魚止めの景」に四万十川から採取した本物の石を敷き詰めるなど、リアルな環境を再現するのも、四国の自然にとことんこだわる同館らしい試みだろう。
四国には多様で美しい“水景”がある─。「四国水族館」は、そんな発見を与えてくれる。
四国水族館
住所:香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4
アクセス:高松空港から車で約40分
営業時間:9:00~18:00(時期により変動)
休日:冬季にメンテナンス休館あり
URL:https://shikoku-aquarium.jp
Photo:四国水族館
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