旅ごはん

山口宇部空港から車で5分!「虎月堂」で買いたい宇部土産

文/佐々木ケイ 撮影/宮濱祐美子

ロングセラーのシュークリームを筆頭に、店の歴史を物語る「オランダ焼」、温故知新の焼き菓子「宇部サブレ」と名物多数。創業から67年、地域に愛され、街に人を呼ぶ洋菓子店「虎月堂」は、山口宇部空港から車ですぐの場所に。山口を旅したならば寄らずには帰れない、旅土産を買うのにも絶好の店だ。

 
看板

▲駐車場からの道案内。遠方からのお客も多い。

 
本州最西端の地・山口県で、下関市、山口市に次ぐ人口を擁する宇部市。県南西部の瀬戸内海側に位置し、明治以降に炭鉱で栄えた新興の街だ。「虎月堂 本店」は、工業地帯と市街地、住宅街が連なる海岸沿いの地域の一角に立つ。1953年に和菓子店として創業し、現代表で二代目の坂田淳一さんが店を継いだ1990年に洋菓子店に転向した。

 
シュークリーム

▲包装シュークリーム1個220円(税込)。

 
地域で愛されていた店の名を、一躍全国区にしたのが「包装シュークリーム」。生地にたっぷりのカスタードクリームを隙間なく詰めたそれは、小ぶりながらずしりと重く、薄く柔らかな生地を通じてふるふるとしたクリームの食感を手のひらに伝えてくる。発売から40年、今も1日約1,000個が昼過ぎには売り切れるぶっちぎりのロングセラーだ。実際、午前中に店を訪れると、包装シュークリームを5個、10個と買う近所の常連客がひっきりなしに訪れる様子に圧倒される。

 
坂田さんとオランダ焼

▲二代目の代表で菓子職人の坂田淳一さん。焼き上がったオランダ焼を手に。地元の日本酒を使った新作「山猿の栗拾い」も自信作。

 
虎月堂の歴史を語るうえで欠かせない一品が、オランダ焼。卵のコクとはちみつの甘みを感じるシンプルなカップケーキは、戦後間もない創業時に「1個で腹がふくれ、栄養のあるお菓子を」と、創業者の坂田義則さんが考案したものだ。「時が流れ、“もっとおいしいもの”は世の中にたくさんある時代だけれど、受け継ぐべき素朴な味もある」と、淳一さん。一方で、宇部市のお隣、山陽小野田市の老舗酒蔵「永山酒造」の純米吟醸酒を使ったパウンドケーキ「山猿の栗拾い」のような新作も。キャラメルのほろ苦さと栗の甘み、日本酒が香るリッチな味で、洋菓子を通じ、地域の食の魅力を広く発信している。

 
宇部サブレ

▲小麦粉ではなく米粉を使ったグルテンフリースイーツ。宇部サブレ。1個175円(税込)。

 
現在は、坂田さんの長男の龍太さんも厨房に加わり、店の味をアップデートさせている。龍太さんが考案した一品が、宇部産のモナカの皮に米粉のサブレを合わせた宇部サブレ。一瞬「サブレとモナカ?」と驚くも、発酵バターの風味が効いたサブレ生地とモナカの層が生み出すサクサクの食感が軽快で、斬新なのに、どこか懐かしい。店のルーツと古くからの馴染みのお客を大切に、新しい表現を盛り込んだ次代の味は、山口の旅土産にもぴったりだ。

 
坂田ロール

▲坂田ロール。2020年のホワイトデーには1日100本を売り上げた。1本1,600円(税込)。

 
シンプルなロールケーキ、坂田ロールも必食。職人の名を冠した自信作で、シュークリームと並ぶ店の看板だ。「素材をより素材らしく」という店のモットーにならい、形は変えず、生地、クリームを都度見直し、ベーシックな味を磨き続けている。ほかにも、とびきりのピスタチオを使ったモンブランや、アプリコットの甘みを利かせたティラミスなど、龍太さんの創意が光る生菓子も魅力的で、ショーケース越しの誘惑を前に立ち尽くすことに。空港からすぐとはいえ、帰りのフライトの時間だけは入念にチェックを!

 

KOGETSUDO(虎月堂) 本店
電話:0836-21-3543
住所:山口県宇部市昭和町3-1-9
営業時間:9:30~18:00(祝日10:00~18:00)
休日:日・第4月
※宇部サブレやオランダ焼など、生菓子以外の商品は取り寄せも可能。
URL:https://kogetsudo.jp

 
 

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