旅ごはん

「海老芋」静岡県【旬を味わう、野菜市場】

構成/森麻衣佳 撮影/角田進

海老のように先が湾曲し、体にぐるりと縞模様が入っているこの芋は、その名も「海老芋」。片方の手の平におさまらないほど大きく、ずっしりと重い。正月など祝い事の際や、京料理にかかせない高級食材で、関西を中心に消費されています。サトイモ科の芋の一種です。

 
里芋が縄文時代に熱帯アジアから日本に伝播したと言われる一方で、海老芋の祖先となる芋が京都に伝わったとされるのは江戸時代以降。のちに他地域でも栽培されるようになりました。現在の主な産地は静岡県。全国の生産量の8割ほどを占めています。野菜は環境に合わせて味や形を変化させますが、芋類は特にその力が強いように思います。南アルプスと駿河湾に挟まれた土壌で土寄せ(培土)をしながら手間暇をかけてつくられる海老芋は、きめが細かく、上品な味わい。縞模様は年輪のようなもので、成長の過程の印です。

 
繊細な味わいが特徴ですから、煮ころがしのような濃い味つけにしてはもったいない。料理するなら京言葉でいう「たいたん」、つまり出汁をベースに炊いた煮物が一番でしょう。豚汁の具にしても美味しいし、ふかして田楽味噌と合わせてもいい。食感はホクホク、ねっとり、そしてふんわり。里芋とはひと味違うなあと実感できるはずです。

 
体を温め、滋養たっぷりの、冬が旬の根野菜。新年を迎える際に味わいたい、少し贅沢な野菜です。(談)

 
●食べ頃:12~2月
●大きさ:10~15cm
●選び方:節目(白と茶)がはっきりしている

 

(SKYWARD2018年12月号掲載)
※記載の情報は2018年12月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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