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エイプリルフールとは?意味や由来、過去の面白いネタを紹介

新年度の始まりである毎年4月1日は、「エイプリルフール」と呼ばれる日としてもよく知られている。子どもの頃、前日に「明日はどんな嘘をついてびっくりさせようか」などとワクワクした経験はないだろうか。そう、4月1日は嘘をついても許される日なのだ。

 
ところで、なぜそんなことが始まったのか疑問な点も多い。また、そこには最低限のマナーもあるはずだ。そこで今回は、エイプリルフールに関するモヤモヤを一挙解決。今年のエイプリルフールの参考にしてほしい。

 
この記事では、

 
・エイプリルフールの由来は?
・日本に広まったのはいつ?
・世界のエイプリルフール事情
・エイプリルフールのマナー
・過去に話題になった面白いネタ

 
などを紹介する。

 

エイプリルフールの由来

 
さて、広辞苑で「嘘」という言葉を引くと、真実でないこと、偽り、正しくないこと、適当でないことなどとある。小さい頃から、嘘をついてはいけません、と私たちは教えられて育った。道徳的心情としても、なかなか嘘はつきにくい。しかし、4月1日だけは、老いも若きも大手をふって嘘をついてもよい。それがエイプリルフールだ。

 
また、その意味を広辞苑で調べると「4月1日の午前中に、軽い嘘をついて人をかついでも許される風習」とある。ではそもそも、なぜそのような風習が生まれたのか? まずは、その由来をたどってみたい。

 
始まりはヨーロッパとされているが、エイプリールの由来には諸説あるようだ。

 

 

フランス説

1564年、フランスの国王シャルル9世が「ルシヨンの勅令」を発令した。これは暦の改変で、当時は3月25日からが新年とされ、4月1日までお祝いをしていたのだが、発令以降は1月1日が新年に。これに反発した国民が、4月1日を「嘘の新年」とし、騒動を起こしたとか。それは国王の怒りに触れ、多くの処罰者が出たという。その日の悲劇を忘れないためにも、そこからエイプリルフールが始まったとされる。

 
フランスではエイプリルフールを「ポワソンダヴリル」という。その日には、魚の形をしたお菓子が店頭に並び、子供たちは魚の形に切り抜いた紙を誰かの背中にこっそり貼り、見つかったら「ポワソンダリル」と叫ぶ遊びを行うそう。ちなみに「ポワソン」は魚、「ダヴリル」とは4月を意味する。4月の初めは禁漁とされていたため、「これはポワソンダヴリルだ!」といって、漁師が偽の魚を送ったという説も。

 

イギリス説

1660年の王政復古の記念日は5月29日。その日は、「オークアップルデー」または「ロイヤルオークデー」と呼ばれる。この日はイギリス国王に忠誠を誓い、その証としてオークの実や小枝を帽子、襟元につけるという。それをつけるのは、午前中だが、つけ忘れるとからかわれることも。それがやがてエイプリルフールに。

 

インド説

インドの仏教徒は春分の日から3月31日までの間、厳しい修行をするという。しかし、せっかくの厳しい修行で捨てた煩悩も、4月1日になって俗世界に戻れば、再び煩悩にさいなまれる……。修行の末、悟りの境地に達しても、無駄になって元の木阿弥になってしまう、ということから「揶揄節(やゆせつ)」と呼ばれ、修行僧たちは世間からからかわれたのだとか。それがエイプリルフールになったとされる。

 

ペルシャ説

古代ペルシャが発祥で、春分の日から数えて13日目となる4月1日前後にいたずらをする「シズダベダール」という祭がエイプリルフールになったという。

 

キリスト説

キリストが捕らえられ、ゴルゴダの丘で磔となり3日後によみがえったという伝承はご存じのとおりだが、ちょうどその時期が4月初旬だったという。ユダがキリストを裏切ったことを忘れないように、という説があるが、これは定かではない。

 
また、「ノアの方舟」で知られるノアが陸地を探すためにハトを飛ばしたが、ハトは陸地を見つけられず無駄足だったという意味で、旧約聖書に由来するという説も。

 

日本でエイプリールフールが広まったのはいつ?

 
大正時代に欧米から持ち込まれたという。日本では、初期の頃は「4月馬鹿」と言われた。江戸時代まで4月1日は中国から伝来したとされる「不義理の日」だったとか。日頃、ご無沙汰をして義理を欠いている人に、手紙などをしたため不義理をわびる日だったようだ。この日には、嘘をついていたこと、お金を返していないことなどをわびることもあったそうだ。それが時代を経て、エイプリルフールになったと考えられている。

 
江戸時代の人は、義理堅い、ということか。欧米での盛り上がりを横目に、日本人の真面目な国民性が垣間見えて興味深い。

 
SNSが普及している現代では、エイプリルフールが企業の戦略として使われ、毎年ユニークなネタを提供してくれる日にもなっている。SNSで話題になったネタは後ほどまとめて紹介する。

 

世界各国のエイプリルフール事情

 
さて、エイプリルフールがやはり欧米の風習であることは否めない。4月1日、世界各国ではさぞかし盛り上がりを見せるのだろう。どんなふうに? 興味のあるところだ。それぞれの国のエイプリルフール事情を見ていこう。

 

イギリス

イギリス人はジョーク好きだ。これはもはや国民性ともいえよう。それ故に、エイプリルフールも国を挙げての全力投球。公共放送のBBCなどテレビ局をはじめ、新聞社などのマスコミ各社が「まさか!」という大ネタを、こぞって発信する。まさに国民的なイベントだ。

 
なかでもBBCは、1950年代以降、大々的に嘘をつくのが恒例となっているとか。例えば、1950年代には木から生えたパスタが大量に収穫されたという番組を放送し、視聴者からの問い合わせが殺到した。

 
また1980年には、ビッグ・ベン(現エリザベス・タワー)の老朽化に伴い、デジタル時計に改修するので、使わなくなった長針、短針をオークションに出すなどと発信。こちらのオークションにも申し込みがあったとか。いやはや、イギリスの嘘は壮大だ。

 

アメリカ

アメリカはマーケティングの国らしく、PRの場として、特に企業広報として発信される場合が多い。よって、スケールが桁違いに大きいのが特徴だ。手の込んだ企画で、笑いを誘うネタも多い。テスラ、マイクロソフト、GAFAと呼ばれるテックブランドからマクドナルド、スターバックス、ディズニーまでアメリカを代表する主要企業が揃い踏みで、4月1日にSNSや動画を駆使して、本当のような嘘の話を発信するから面白い。今年もどんなネタが繰り出されるか、楽しみだ。

 

メキシコ

メキシコでは、エイプリルフールを「ディア・デ・ロス・サントス・イノセンテス」といい、その日は12月28日だとか。「イノセンテス」の意味は無実で、直訳すると「無実の人の日々」。キリスト誕生を知ったヘロデ王のストーリーに由来する。もともとはスペインの風習のようで、ベネズエラなどのラテン系の地域にもあるそうだ。

 

エイプリルフールがNGの地域

インドネシア、マレーシアなど、イスラム教徒の多い地域はエイプリルフールがNGだ。もともとその風習もない。コーランの教えでは「嘘をついてはいけない」ことから、固く禁止されている。

 

エイプリルフールにもマナーはある

 
「嘘も方便」など、嘘にまつわることわざは数多く存在する。それはどちらかというと、ポジティブなものだ。エイプリルフールの嘘もしかり。この日の嘘は、広辞苑にもあるように、「軽い嘘」に徹したい。ジョークやギャグ、いたずらなどで笑いを誘うような楽しくポジティブな嘘をついてみよう。

 
相手を不幸にしたり、傷つけたりするようなことは絶対にしてはならない。心配や不安をあおったりしてもいけない。混乱に乗じたデマや根拠のない噂など、このご時世の中では、新たな混乱を招く場合もある。あまりに行き過ぎて、過去には訴訟騒ぎになった事例もあるので注意したい。

 
イギリスでは、午前中に嘘をつき、午後にはネタをばらし、その場で盛り上がって一件落着となるのだとか。その後には嘘を一切持ち込まないというマナーを徹底している。できればそれに準じたいもの。みんなで笑ってハッピーエンドにすれば楽しいイベントになる。

 

過去に話題になった面白いネタを一挙公開

 
エイプリルフールに、世界中で壮大なスケールの嘘が仕込まれている。世間を騒がせたバズりネタから、ユニークなものまでを一挙公開。皆さんも「だまされた!」という記憶があるかもしれない。

 

ロンドンにUFOが。

ロンドン郊外にUFOが飛来し、周辺住民たちは大パニックに。1989年のことだ。警察まで出動し大騒ぎとなるが、近くで見ると、大きな風船で作られた偽物と判明。一体誰が? それを作ったのがヴァージンレコードのリチャード・ブランソンという人物だったとか。ちょっと悪ふざけしてしまった起業家は、その後おきゅうを据えられたに違いない。

 

空飛ぶペンギン?

BBCが空飛ぶペンギンの姿を放送した。この映像は、大変よくできていて、本当に空を飛んでいるように見えるからすごい。視聴者からの問い合わせが殺到したのもうなずける。2008年の放送だが、BBCのYouTubeにアーカイブが残されているので、興味がある方は要チェック。

 

Flying Penguins | World Penguin Day | BBC

 

子犬がテニスコートに

2019年、テニスの全米オープンが、公式Twitter上で試合中のボールを拾ったり、選手のサポートをしたりするボールパーソンに子犬を採用すると発表した。この可愛らしい嘘は、多くの反響を呼び、実現を望む声も多くあったとか。想像するだけで、ほほ笑ましい。

 

 

テレビにストッキング……

便利な裏技があると、試さずにはいられないのが人情だ。1962年、スウェーデンのテレビ番組が、テレビ(当時は白黒)にストッキングをかぶせるとカラーテレビになる!と紹介した。そのやり方など、デモンストレーションまで行うという凝りようだったという。当然、嘘なのだが、テレビを前に試す視聴者が続出したとか。

 

ネッシーの死体が発見された!

イギリスのヨークシャー州にあるフラミンゴパーク動物園の科学者チームがネッシーの死体を発見した、という記事が、1972年の4月1日に新聞に掲載された。巨大生物の死体が写真付きで紹介されたため「ネッシーか」と話題になったが、これはエイプリルフール記事だった。しかし、あまりにリアルだったので、専門家が検分に訪れる始末。写真で紹介された巨大生物は、実はゾウアザラシだったとか……。

 

笑える嘘でハッピーなエイプリルフールを

 
世界各国で、満を持して仕込まれるエイプリルフールネタ、企業のなかには、1年前から周到な仕込みを行うところもあるのだとか。いずれにしても、ここで紹介したように、クスッと笑えるネタを期待したいもの。2024年のエイプリルフールはいかに?

 
ところで、エイプリルフールのネタにした嘘は、その嘘がかなわない!という都市伝説があるそうだ。例えば「パートナーができました」とか……。実際に募集中の人は気を付けて。しかし、ナーバスになる必要はない。「嘘から出たまこと」ということわざもあるのだから。

 
 

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