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11月19日解禁!ボジョレー・ヌーヴォーで秋の到来を感じよう

秋も深まる11月。世界中のワイン愛好家が心待ちにしている1日がやってくる。そう、11月の第3木曜日、「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日だ。特に今年、2020年はボジョレー・ヌーヴォーにとって特別な年となるだろう。

 
ボジョレー・ヌーヴォーは、その年の解禁日にあわせて船や飛行機で輸送され、世界各地に届けられる。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で航空機の運航便数が減ったことにより、フランスから海外へ輸出できる日が昨年よりも18日も早く前倒しされる異例の措置が講じられる予定だ。

 

ボジョレー・ヌーヴォーは、なぜ毎年話題になるのか

今や日本においても、秋の風物詩となっているボジョレー・ヌーヴォー。近年はコンビニエンスストアなどでも購入でき、気軽さが増しているように感じる。「よく知らないけど、話題になっているから手に取ってみる」という方もいるのではないだろうか。どのようなワインなのか、今一度おさらいしてみよう。

 

ボジョレー・ヌーヴォーが生まれた経緯

乾杯

 
ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)とは、フランス・ブルゴーニュ地方にある「ボジョレー地区」で造られた新酒のワインのことを指す。「ヌーヴォー」は、フランス語で「新しい」という意味。

 
ボジョレー地区で、その年の9月ころから収穫されたブドウを使って造られたフレッシュな新酒。もともとは、地元の人々がブドウの収穫を祝って楽しむためのワインで、地元でしか流通していなかったそうだ。また、その年のブドウの出来をチェックするために造られる、試飲用のワインだった。

 

なぜ11月の第3木曜日に解禁される?

カレンダー

 
もともと、ボジョレー・ヌーヴォーはボジョレー地区の地酒だったが、美味しいとの評判が少しずつ広まり、やがて世界中で愛飲される人気のワインとなった。

 
人気に火がつき始めた当時は、現在のような解禁日が設けられていなかったため、どこよりも早くボジョレー・ヌーヴォーを売り出そうと、ワイナリー同士の競争が激化。販売開始を早めたいがために、熟成していない品質の悪いワインが数多く出回ることになってしまった。

 
この状況を憂えたフランス政府が、1967年、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日をボジョレー地区で新酒ができあがる頃の11月11日に設定した。その後、11月15日に解禁日を移されることもあったが、解禁日の日付を固定することで、この日が土曜日や日曜日に当たることもある。その場合、ワイナリーや流通業者、出荷先の店舗などが休みとなり、売上が落ちてしまう。

 
そのため、曜日に左右されずスムーズに流通・販売するため、11月の第3木曜日に設定。1985年のことである。こうして11月の第3木曜日がボジョレー・ヌーヴォー解禁の日として定着し、今日に至る。

 

ほかのワインと何が違う?

ボジョレー・ヌーヴォーと、一般的な赤ワインの大きな違いは、醸造方法にある。通常、赤ワインに使用されるブドウは収穫後、実をつぶしてから発酵させる。

 
一方、ボジョレー・ヌーヴォーは「マセラシオン・カルボニック」という方法を用いて、ブドウをつぶさず、皮ごとタンクに入れる。タンクの下部にあるブドウが、上に重ねられるブドウの重みでどんどん潰れていき、自然に発酵し始めるのだ。

 
自然に発酵することにより、発生した炭酸ガスがタンク内に充満。酵素によってブドウの実の成分が分解され、アルコールが生成される。味は酸味や渋みが少なく、フルーティーで口当たりのよさに特徴を持つ。これがボジョレー・ヌーヴォーである。

 

日本とボジョレー・ヌーヴォーの関係

世界中に熱狂的なファンを持つボジョレー・ヌーヴォーだが、なんと全生産量のおよそ半分は、日本に輸出されているという。近年輸入量は減少傾向にあるが、まさにボジョレー・ヌーヴォー消費大国日本とでもいうべきだろう。

 
だが実は、1980年代の日本では、渋みの強い赤ワインはあまり人気がなく、ワインといえば、甘めの白ワインが主流だった。

 
既にヨーロッパ各国に出回り人気を博していたボジョレー・ヌーヴォーが、1970年代に日本に上陸した。渋みが少なく飲みやすいボジョレー・ヌーヴォーは、新しいもの好きの若者を中心にすぐに広まり、バブル期の日本でブームになった。

 
その後、1990年代後半に、赤ワインブームが到来。ボジョレー・ヌーヴォーは、日本での地位を確立した。

 

ボジョレー・ヌーヴォーの産地、ボジョレー地区とは

ボジョレー地区

 
ボジョレー・ヌーヴォーが有名になったことで、その名を世に知らしめたボジョレー地区。フランス語で「美しい高台」という意味の「ボージュ(Beaujeu)」がボジョレーの起源だとされている。

 
日本から遠く離れてはいるが、日本で身近に愛されるワインの産地、ボジョレー地区。毎年美味しいワインを生み出すその場所には、どんな景色が広がっているのだろうか。

 

ボジョレー地区の特徴

ボジョレー地区は、フランス東部ブルゴーニュ地方の南部に位置する。なだらかな丘陵地帯が続き、斜面に並ぶブドウの木が美しい景観を成す。この斜面が、美味しいブドウの育成に一役買っているといわれている。

 
傾斜によってもたらされるのは、日当たりと水はけのよさ。これが糖度と酸味のバランスがよいブドウを生み出す。

 
気候は、寒暖差のある大陸性気候。土壌は場所によって異なるが、南側は粘土石灰質の比率が多く、北側は砂混じりの粘土に覆われた花崗岩質の比率が多い。いずれもボジョレー・ヌーヴォーで使われるブドウの品種ガメイと相性がよい土壌だ。

 

ボジョレー地区で栽培されるガメイ種

ボジョレー・ヌーヴォーの大ヒットにより、一躍有名となったガメイ種。ボジョレー地区で主に栽培されている、赤ワイン向けのブドウ品種の一つだ。正式には「ガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン」、「白い果汁を持った黒い果皮のガメイ」の意味。そんなガメイだが、実は大きな転換点があったようだ。

 
14世紀ころまで、ガメイ種はコート・ドールという地域で栽培されていた。この地域の土壌との相性から酸味が強く味は薄いものだったといわれている。

 
当時、コート・ドールを含むブルゴーニュ公国を統治していたフィリップ2世は、酸味の強いワインを嫌い、この地域でのガメイ種の栽培を禁じ、なんと栽培中のブドウの木を全て引き抜くことにしたという。

 
行き場を失ったガメイ種は、ボジョレー地区に移植され、栽培されることになった。偶然にも移植先のボジョレー地区の土壌が、ガメイ種の栽培に適しており、ワイン界を代表する品種となったのである。

 

今年のボジョレー・ヌーヴォーは?

ボージョレ・ヌーヴォー

 
ボジョレー地区の昨年から今年にかけての冬は穏やかで、春も暖かく天候に恵まれた。そのため、ブドウの成長が早く、8月下旬には収穫が予想されているとのこと。8月時点では、よい品質が見込めると予想されている。

 
今、世界中がかつて経験したことのない不安な日々を過ごしている。そんななか、今年もはるばる海を越えてやってくる美味しいワインが今から待ち遠しい。

 
2020年のボジョレー・ヌーヴォーは、いつも以上に特別なものとなりそうだ。このようなときだからこそ、楽しんで味わいたい。
 
 

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