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「霜降」の日に星空を。秋の夜長の天体観測ガイド

10月も半ばを過ぎると気温や湿度がすっかり低くなり、暑かった夏が嘘のようだ。そして、寒い冬の気配も濃厚になる。

 
そんな季節にやってくる、「霜降(そうこう)」。文字どおり「霜が降りる頃」という意味で、年によって日は変わるが、令和2(2020)年は10月23日。霜降の由来と、この頃にぴったりの過ごし方として、秋の夜長を楽しむ天体観測スポットを紹介しよう。

 

霜降を知ろう

霜とは、氷点下に冷却した地表面に水蒸気が昇華してできる氷の結晶。針や板のような形など霜の形状はさまざま。地面だけでなく、草や木の葉にもつく。

 
10月後半ともなれば寒い地方では霜が見られるが、まだ暖かい気候が続くこともある。とはいえ、暦が知らせるとおり、霜が降りずとも日に日に風が冷たくなるのに気づくのもこの季節だ。

 
あまり馴染みがないかもしれないが、霜降は「二十四節気(にじゅうしせっき)」の一つ。秋を表す節気には「立秋(りっしゅう)」「処暑(しょしょ)」「白露(はくろ)」「秋分(しゅうぶん)」「寒露(かんろ)」「霜降(そうこう)」の6つがある。霜降は秋の終わりを表す節気である。カレンダーに霜降の文字があれば、間もなく冬の到来だ。

 

霜降の頃に吹く木枯らし

霜降の頃には、天気予報で「木枯らし」という言葉が聞こえてくる。

 
木枯らしとは、10月半ばから11月末までに吹く、強い風のこと。「凩(こがらし)」と漢字一字で書くこともある。気象庁はこの期間に毎秒8m以上で吹く北寄りの風のことを木枯らしと呼び、東京地方と近畿地方でこのような風が初めて吹くと木枯らし1号として発表する。

 

秋の夜長に行きたい天体観測スポット

すっかり寒くなって、身が縮こまってしまうものだが、この時季だけの楽しみは少なくない。野山では紅葉が美しくなり、木の実を目にすることもあるだろう。銀杏などの食べられるもの、ドングリなどの食べられなくても形が愛らしいものなど、秋の実りは多種多様。涼しげな秋の虫の声も楽しみだ。

 
秋の愉楽は、木の実や虫などの地上だけにとどまらない。空気が爽やかに澄み渡り、空気のため星がよく見える日が増える。ここでは、全国のお薦め天体観測スポットを紹介したい。

 

姫沼(北海道)

姫沼イメージ

 
北海道北部の離島、利尻島。「姫沼」は、この利尻島にある人工の湖である。淡水魚の漁業を推奨するために、大正6(1917)年に堤防を建設し、利尻山の湧き水をせき止めて造られた。姫沼の名は、ヒメマスを放流したことにちなむ。

 
姫沼は周囲を原生林に囲まれ、「利尻富士」という愛称で親しまれる利尻山が眺められるため、島内では屈指の観光スポットとなっている。姫沼湧水も名水として知られている。

 
周囲約800m弱と、湖の周りに設けられた姫沼深勝路を歩いたり、展望台からは礼文島を眺められたりと、日中の楽しみも多いが、夜は圧巻。周囲に人工的な明かりがないため、満天の星を独り占めにできるのだ。しかも、湖面に映る星空が美しいと評判だ。夜の利尻富士も昼とは違った様子で静かにそびえている。

 

姫沼
住所:北海道利尻郡利尻富士町鴛泊湾内
URL:www.rishiri-plus.jp/shima-place/356/(利尻島観光ポータルサイト)

 

奥多摩湖(東京都)

奥多摩湖イメージ

 
日本の首都、東京でも奥多摩地域まで行けば、きれいな星空を見ることができるポイントが点在する。

 
お薦めは「奥多摩湖」。東京都西多摩郡奥多摩町原にある人口の湖である。春は桜、夏は新緑など、四季折々に美しい景色が見られる所。秩父多摩甲斐国立公園内に位置しており、自然が豊富に残されている。1年を通して観光客の多い場所だが、空の澄み渡る日には本格的な機材を携えて星空撮影に訪れる人もいる。

 
秋の湖畔に月が映る様子は、思わずカメラを向けたくなる幻想的なシーンだ。周辺には遊歩道や展望台、ビジターセンターなどがあるため、昼に訪れてももちろん楽しい。

 

奥多摩湖
住所:東京都西多摩郡奥多摩町原
URL:www.okutama.gr.jp/site/sightseeing/(奥多摩観光協会・奥多摩町観光案内所)

 

国立天文台 野辺山宇宙電波観測所(長野県)

国立天文台野辺山宇宙電波観測所

 
長野県南佐久郡南牧村野辺山(みなみまきむらのべやま)には、「野辺山宇宙電波観測所」という国立天文台の観測所がある。この観測所は野辺山高原に属し、標高が高く水蒸気量が少ないという電波の観測によい立地条件。また、周囲を山に囲まれていることから人工的な光が遮られる。さらに、寒冷地でありながら雪が少ないことも理想的である。

 
観測所には一般向けに公開されている構内の見学コースがあるので、事前に情報収集をしてから出かけてみてはいかがだろうか。また、年1回特別公開日があり、施設内部を見学できる日がある。夜の星も美しいが、日中に訪れても高原ならではの澄んだ空気が美味しい魅力的なスポットである。

 

国立天文台 野辺山宇宙電波観測所
住所:長野県南佐久郡南牧村野辺山462−2
URL:www.nro.nao.ac.jp/

 

鳥取砂丘(鳥取県)

鳥取砂丘イメージ

 
鳥取県東部の日本海沿岸に広がる「鳥取砂丘」。中国山地から流れ出た千代川(せんだいがわ)の水と風が砂を運んできて、それが10万年もの歳月をかけて少しずつ積み上がり今のような砂の丘になった。

 
南北約2.4km、東西約16kmと広大で、視界を遮るもののない砂丘の夜は漆黒の闇夜に浮かぶ星を眺められる。天体の景色ファンや星空撮影愛好家には知られたスポットだが、撮影目的でなくとも、星を眺めながらのナイトハイクも楽しめる。昼ももちろん素晴らしいが、夕景や夜景もため息が出るほどの絶景だ。

 

鳥取砂丘
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2164−661
URL:www.torican.jp/sandhill(とっとりし観光案内)

 

VERA石垣島観測局(沖縄県)

VERA石垣島観測局イメージ

 
亜熱帯気候に属し、周囲をサンゴ礁の海に囲まれた美しい沖縄の離島、石垣島。石垣島はジェット気流の影響が少なく大気が安定し、南十字星やケンタウルスα、β星など21個の一等星がすべて見えることから、天体観測ファン憧れの地でもある。

 
石垣島の天体観測スポットとしては、「VERA石垣島観測局」が有名。VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry)とは、VLBI(Very Long Baseline Interferometry)という電波干渉計の技術を用いて銀河系の三次元立体地図を作る計画のことである。平成14(2002)年に完成したVERA石垣島観測局は、日本のVERA観測局のなかで最も南西に位置するため、本土では見られない星が観測できる。

 
平成18(2006)年には、国立天文台と石垣市が共同で石垣島天文台を建設。ここでは観測的研究を行う傍らで、天体観望会などを実施し、天文学の普及に努めている。

 

VERA石垣島観測局
住所:沖縄県石垣市登野城嵩田2389−1
URL:www.miz.nao.ac.jp/content/facility/vera-ishigakijima-station

 
石垣島天文台
住所:沖縄県石垣市新川1024-1
URL:www.miz.nao.ac.jp/ishigaki/top

 

紅葉に天体観測と、秋の喜びは盛りだくさん

霜降の頃は、朝晩の冷え込みと1日の寒暖差が厳しくなり、いよいよ冬の到来を感じさせる。何かと物悲しい気持ちになりやすいが、野山に目をやれば紅葉や木の実などが穏やかな色を見せてくれる。また、サンマや根菜、新米など秋の味覚が揃う。

 
このような秋の味覚やレジャーを楽しんだ後、ぜひ夜空を見上げてほしい。宵の口には夏の星座が西に見え、深夜になれば冬の星座が昇ってくる。家でも出先でも、秋の夜長こそ星を眺めて過ごしたい。

 
※掲載情報は、令和2(2020)年7月14日時点のものです。天候や新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより立ち入りが禁止となることがあります。お出かけの際は、各自治体の要請に従ってください。
 
 

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