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安心して旅するために必ず加入したい海外旅行保険の基礎知識と注意点

文=前原利行

トラブルは自分では避けられない

みなさんは海外旅行に出かける際に、海外旅行保険に加入しているだろうか?もしかしたら「今まで何回も海外旅行に行っているけれど、病気やケガを一度もしたことがない」から、保険に加入せずに旅行にでかけている方もいるかもしれない。

 
しかし、いくら気をつけていても、いつ何が起こるかわからないのが旅行だ。ふだんは健康な人でも、環境の変化やストレスから思わぬ病気にかかってしまったり、交通事故に巻き込まれてしまう可能性もある。海外では日本の健康保険が使えず全額負担になる場合もあるので、医療費が高い国で入院すると数百万円かかることも……。

 
ここでは、万が一に備えて海外旅行に行くなら必ず加入してほしい、海外旅行保険の基本的な知識について紹介しよう。

 

海外旅行保険とは?

病室

 
海外旅行保険はその名の通り、海外旅行中に起きたトラブルに対応し、補償する保険のこと。基本的には掛け捨てだが、海外にいる間だけではなく、旅行から帰るまで保険の適用期間になるのが一般的。例えば帰国時、空港から家に帰る間にスーツケースが壊れた場合にも保険が適用されるケースが多い。

 
海外旅行保険には、いくつかの補償内容がセットになった「セットプラン」と、バラ掛けの「フリープラン」がある。保険の基本となるのは、「傷害死亡」「疾病死亡」「傷害後遺障害」の3つの契約。死亡の場合は契約内容に応じて定額が、「傷害後遺障害」は程度に応じて補償額の上限が支払われる。これをベースに、他の補償項目を足していくと考えればよいだろう。

 
必須なのは、実際に支払われた保険請求額の半分近くを占める「治療費用」と、次に多い「携行品損害」。つまり、この2つにお世話になる可能性が高いということだ。そのほかの契約項目には、偶発的な事故により他人や物に被害を及ぼした場合の補償の「賠償責任」、旅行中にケガや病気で入院した場合に家族が現地へ向かう費用を負担する「救援者費用」(治療費用と組み合わせになっているものもある)などがある。

 

海外旅行保険で補償件数が一番多いのは「治療費用」

医師と患者

 
治療費用の対象になるのは、現地でかかる費用だけではなく、例えば旅行中に発生したケガや病気の治療のために、日本で通院する費用が含まれることも。

 
以前、私はインド旅行中に階段で転倒し腕を痛めたことがあった。現地で簡単に診てもらったのだが、帰国後、整形外科に行きCTスキャンを撮ったところ、骨挫傷との診断が。この場合は海外旅行保険が適用できたので、検査も含め3カ月間の通院分まで全額保険でまかなうことができた。

 
また、友人は海外で交通事故に遭い、帰国後も半年間通院する大ケガを負ったが、これも保険で補償できたそうだ。

 
北米では、手術で何日も入院すると1,000万円以上かかることもある。もし余裕があれば保険金額は、「無制限」にすることをおすすめしたい。

 

持ち物の盗難や破損をカバーする「携行品損害」

旅行カバン
 
携行品損害は、契約金額を上限に、旅行中に持ち物が盗まれたり、壊れてしまったときに補償される保険のこと。例えば市場を観光中にバッグからカメラをすられたとか、携帯電話が雨に濡れて壊れてしまったときなどが適用対象となる。盗難の場合は、地元警察署に行って盗難証明書を発行してもらうと、保険の請求がよりスムーズだ。難しいときには、第三者の証明が取れるなら手持ちの紙でいいので一筆書いてもらうとよいだろう。ツアーの場合は、まずはツアーコンダクターやガイドさんにお願いするとよい。

 
持ち物が壊れた場合は、スマートフォンで証拠として必ず破損箇所の画像を撮っておこう。見た目にわからない内部の故障でも画像を撮っておくと、保険手続きがスムーズになるはずだ。また、レンタル品や人から借りたスーツケースなども携行品の対象になる。

 

カード付帯の旅行保険の落とし穴とは?

旅行保険

 
クレジットカードによっては海外旅行保険が付帯しているものもある。注意してほしいのは、カードによって利用条件がかなり異なること。ケガや病気でいざ保険を申請しようとしたときに、条件を満たしていないと適用されない場合があるからだ。

 
例えばカードを持っているだけでも保険が有効になる「自動付帯」ではなく、そのカードで旅行代金を支払わないと有効にならない「利用付帯」がある。また、治療費用の上限が200万円程度だと、北米や欧州では何日も入院すると軽く超えてしまうことも。さらにカード付帯の保険の多くは立て替え払いで、キャッシュレスサービスがないものも多い。そんな場合は、カード付帯の旅行保険があっても、有料の保険と併用しての利用をおすすめしたい。

 

補償されるもの、補償されないもの

旅行

 
損害を補償してもらうには、いくつかの条件がある。例として、代表的なルールを紹介しよう。参考までに基本を押さえておくといいだろう。

 

治療費用補償のルール

(1)旅行中の病気やケガはもちろんだが、「旅行中に発病した病気(ケガ)により、帰国後72時間以内に医師の治療を受けた場合」も補償対象に含まれる。

 
(2)少しぐらい調子が悪くても海外の病院は何となく不安で我慢し、帰国後にかかりつけの病院に行かれるという人も少なくない。その場合も「72時間以内にまず医者にかかる」という条件を満たせば保険を利用できる場合がある(特定の感染症で発症した場合は30日以内)。

 
ただし適用期間を過ぎてしまうと、補償されなくなる場合があるので注意しよう。

 

携行品損害補償のルール

(1)現金やクレジットカード、コンタクトレンズ、入れ歯、補聴器の故障などは補償されない。

 
(2)メガネや補聴器の破損は補償される。

 
(3)補償金額は基本的には、持ち物ひとつに対して最大10万円までの時価額。ただし保険会社や特約によっては補償金額が時価ではなく、「再調達額」としている保険もある。

 
例えば買ってから5年経ったメガネが壊れた場合、同じものを買ったとしても時価評価の保険は半額だが、再調達額なら全額補償される(最大10万円)。

 
何が補償されるかわからない場合は、電話で保険会社に問い合わせるのが一番。もしも何かあったら迷わず相談しよう。

 

旅行保険に入って安心して海外旅行へ

これも筆者の経験だが、旅行中のパリで子どもが熱を出したことがあった。週末だったのでどこの病院が開いているかわからず、現地のサポートデスクに電話をしたところ、休日でも開いている病院に予約を入れてくれ、しかも病院の支払いはキャッシュレスで済み、大変助かった。有料の旅行保険は、日本語対応の電話によるサポートやキャッシュレス治療、日本語医師の案内などが充実していることが多く安心だ。

 
保険料は、同じ補償条件でも会社によって違う。また申し込み条件も会社により、年齢制限のないものもあれば、50歳から値段が変わったり、70歳以上は条件が付いたりする場合もあるので注意してほしい。

 
何もトラブルが起きないのが一番だが、安心して旅を楽しむためにも、またもしものときに家族に負担をかけないためにも、海外旅行保険には必ず加入することをおすすめしたい。

 

※保険会社によって補償内容や条件は異なります。以前加入したことがある保険会社でも、それ以降のお申し込みに関しては、もう一度規約を確認することをおすすめします。

 
 

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