とっておきの話

歌で届ける感謝の想い【キャプテンの航空教室】

文/織田直行 イラスト/高橋潤

私は普段ボーイング787型機で機長をしています。また、『JAL空飛ぶ合唱団』では指揮者を務めています。本日はこのJAL空飛ぶ合唱団についてご紹介します。

 
私たちパイロットの使命は、お客さまの命をお預かりし、皆さまを目的地へ、より安全に、より早く、より快適にお運びすることです。しかし、そんな私たちパイロットには、お客さまとの接点がほとんどありません。そのため日ごろより、どうしたらお客さまに感謝の気持ちを伝えることができるか考え、その想いを形にしたものがJAL空飛ぶ合唱団です。毎年羽田空港で開催されるクリスマスイベントにて、私たちのこの想いを、合唱を通じてたくさんのお客さまへお届けしています。

 
JAL空飛ぶ合唱団は、電子オルガン演奏も含めて15名全員が現役パイロットで構成されています。その内2名の演奏・合唱経験者以外、私を含めほとんどのメンバーは未経験者です。そのため、ゴスペルディレクターと呼ばれるプロの歌の先生を迎え、厳しくご指導いただきながら、毎回全力でステージに立っています。

 
毎年のクリスマスイベントでは3曲ほど披露しています。その内訳は、JALのCMソングにもなった定番の「浪漫飛行」と、毎年入れ替えている新曲に加え、オリジナル曲の「君と描く空」になります。このオリジナル曲は、JALグループのさまざまな職種の仲間からキーワードとなるフレーズをもらい、合唱団で集めて歌詞にした、グループ社員の真心を詰め込んだ曲となっています。私たち合唱団一人一人も空港の景色と飛行機をイメージし、心を込めて歌っています。

 
このように、JAL空飛ぶ合唱団のメンバーをはじめ多くのパイロットは、さまざまな形でお客さまに最高のサービスを提供したいと考えています。私たちはどんなに困難なときでも、JALの翼をお選びくださるお客さまへ、感謝の気持ちを伝えたいと常に願っています。皆さまがこの記事を読んでいらっしゃるこの瞬間も、操縦室の扉の向こうでは安全で快適なフライトに努めています。そんな私たちパイロットの、操縦以外による皆さまへの感謝の気持ちを受け取っていただけましたら幸いです。

 

織田直行 Naoyuki Oda
JAL
ボーイング787型機 機長
出身地:神奈川県
趣味:野球、ウインドサーフィン、少林寺拳法
座右の銘:実るほど頭を垂れる稲穂かな

 

(SKYWARD2020年11月号掲載)
※記載の情報は2020年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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