とっておきの話

パイロットを育てる教育現場とは?【地上のお仕事図鑑】

子どもの頃から飛行機に興味がありました。また、空を見ること、天気を知ることが好きでした。そんな私は、大学卒業時にJALの航空機関士の募集を見て応募し、航空業界に入りました。

 
転機が訪れたのは、乗務していた航空機が退役すると決まった、11年前のこと。私は教官への道を希望し、運航本部運航訓練部の所属となりました。今年でパイロット養成や訓練に携わって10年になります。今回は、その運航訓練部の業務を紹介します。

 
業務は大きく分けて二つあります。一つ目は未経験の訓練生を養成して、パイロットにすることです。現在の訓練では約2年半にわたる訓練を経て副操縦士に昇格します。

 
二つ目は、パイロットの機種移行訓練です。既にパイロットであっても、すべての旅客機を操縦することはできません。旅客機ごとに必要な資格が異なるためです。例えば、ボーイング777型機のパイロットがエアバスA350型機のパイロットになるには、新たにエアバスA350型機の訓練が必要です。その訓練も行っています。

 
講習イメージ

▲座学で気象学を学ぶ訓練生たち。運航にとって正しい基礎知識を身につけることが、パイロットへの第一歩です。

 
訓練には座学と、シミュレーターや機材を使用する訓練の2種類があります。座学では、航空法規、気象学、航空力学といった飛行機を安全に運航するための基礎科目を教えます。訓練生はとても自発的で、自分が正しく理解できているか前に出て図を描いたり、わからない部分があれば休憩時間にも積極的に質問をしてきてくれます。

 
機材を使用しての訓練では、旅客機のシステム、性能などの訓練を担当しています。この準備のために、訓練以外の時間は授業の資料作成などをしています。ほかにも新しい訓練に活用できそうな国内外のIT関係の情報収集やシンポジウムなどの視察もしています。

 
運航の最終責任者であるパイロットを目指し、訓練生は長期にわたる厳しい訓練を乗り越え、副操縦士に昇格します。副操縦士への昇格は辞令交付式で発令されてわかるのですが、初めは飛行機のことを全く知らない訓練生だった彼らが、自信に満ち溢れたいい顔になっているのを見たとき、とても嬉しく、そして頼もしい気持ちになります。

 
運航を支えるパイロットをしっかりと養成するのが私の仕事です。今年もパイロットを目指し、みずみずしい訓練生たちがやってきます。いつか、この文章を読んでパイロットを目指された方と出会えるのを楽しみに、日々業務に努めてまいります。本日のご搭乗ありがとうございました。

 
mr.shiji
志治勲 Isao Shiji
運航本部運航訓練部
地上教官グループ
MPL主席学科教官
出身地:神奈川県
趣味:読書・写真撮影

 

(SKYWARD2020年5月号掲載)
※記載の情報は2020年5月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
※最新の運航状況はJAL Webサイトをご確認ください。

 
 

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