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二十四節気の一つ「立秋」の由来とその文化

春は桜、夏は蝉、秋は紅葉、冬は雪。日本ほど四季の移ろいがはっきりと感じられる国は世界でも珍しい。

 
この四季の移ろいを、暦のうえで明確に区切ったものが「二十四節気」。もとは古代中国で農業の目安として作られたものが、平安時代に日本でも広まったとされる。

 
夏至や冬至などよく耳にする二十四節気もあるが、その一つに立秋がある。

 
秋が立つという言葉からは秋の訪れを感じさせるが、実際にはどのような日なのだろうか。「立秋」までは少し時間があるが、新型コロナウイルス感染症により外出が難しい今だからこそ、その由来や風習を知って思いを馳せてみたい。

 
今回はその二十四節気の一つ「立秋」についてひもといていく。

 

「立秋」の由来

植物イメージ

 
立秋は二十四節気のなかでも特に大切な「八節」の一つとされる。

 
夏至と冬至を「二至」、春分と秋分を「二分」、そしてそれぞれの中間に存在する立春・立夏・立秋・立冬の「四立(しりゅう)」。これらをあわせて「八節」と呼び、季節を区分する言葉として古くから日本において重要な役割を果たしてきた。

 
また、四立の前日は「節分」と呼ばれ、各季節の始まりの日と呼ばれる雑節の一つ。2月の節分は日本の定例行事としてよく知られているが、本来節分は年に4回存在するという。

 
では立秋にも、何か由来や風習が存在するのではないかと思えてくる。

 

「立秋」はいつ?

カレンダー
立秋は、ほかの二十四節気同様、その年によって日にちが異なる。2020年は8月7日とされるが、これもまた正確ではない。

 
二十四節気はそもそも期間を指す言葉である。しかしカレンダーやニュースではもっぱら日にちの意味として使われている。そのため2020年の立秋は、日にちの意味であれば8月7日、期間であれば8月7日~22日というのが正しい。

 
年によって日にちが異なるのは、うるう年の存在とも大きく関わる。周知のとおり、地球の公転周期がぴったり365日ではないため、そのズレを調整するために設けられたのがうるう年である。4年に一度1年が366日となるため、立秋などの二十四節気も同様に、およそ4年に一度日にちが変わる。

 
このうるう年だけを考慮して二十四節気を定めるのであれば、毎年の日にちはわかりそうなものであるが、実際には直前まで確定されない。

 
その理由はさまざまある。太陽が春分点を出発し、次の年の春分点を通過する時間は、365.24日程度であることが挙げられる。さらに、地球の公転運動は、地球の自転軸の変動、月の引力や他惑星の影響などによって毎年一定ではないことが関係している。そのため、何十年も先の二十四節気の日にちは確定されていないのである。

 

「立秋」は暦上の秋の始まり

立秋は秋の始まり。夏の暑さが極まり、秋に向け季節が移り変わり始める日という意味である。つまり暦のうえでは立秋が夏の暑さのピークであるとされ、立秋の翌日からの暑さは「残暑」と呼ばれる。

 
しかし暦上では秋の始まりといっても、実際にはまだまだ暑さの厳しい日は続き、どちらかというと夏真っ盛りという印象を持つ人も少なくないだろう。暦上の季節と実際の季節感が異なるのには理由がある。

 
そもそも二十四節気は、昼が最も長い夏至、最も短い冬至、そして昼夜の時間がほぼ同一の春分と秋分など、春夏秋冬の4つの季節に分けて1年を24等分したもの。

 
二十四節気は、古代中国の特に黄河流域の寒い気候にあわせて作られたといわれている。当然現代の日本と気候が異なるので、季節感が異なるのは当然である。

 
それでも立秋を過ぎれば日を追うごとに空や雲の様子が秋を匂わせ、スズムシやマツムシなどの美しい鳴き声も耳にするようになる。少しずつ秋を感じられる目安になるのが立秋であることは、間違いなさそうだ。

 

「立秋」にまつわる文化や風習はある?

景色

 
暦をご覧のとおり、立秋は学生であれば夏休み真っただ中。立秋の期間中にはお盆もあるためか、立秋にまつわる行事というのはあまり見慣れない。

 
そもそも二十四節気が日本に広まったのは平安時代(延歴13(794)〜)。お盆は飛鳥時代の606年に推古天皇が行事を行ったのが始まりだといわれている。日本文化に古くから根づいていたお盆の陰に隠れてしまい、立秋にまつわる行事は特段行われなかったのかもしれない。

 
では実際に、日本には立秋にまつわる文化や風習はどれほど存在するのだろうか。

 

「立秋」と「暑中見舞い」「残暑見舞い」

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「立秋」にまつわる日本特有の文化といえるのが「暑中見舞い」と「残暑見舞い」。先にも述べたように、「立秋」以降の暑さは「残暑」と呼ばれる。そのため日頃お世話になっている方などへ送る挨拶文は、「立秋」までは「暑中見舞い」、「立秋」の翌日からは「残暑見舞い」となる。

 
また「立秋」の期間は8月23日頃までだが、「残暑」という言葉自体は暑さが残ることを指すため、“この日までしか使用できない”という終わりの期限は設けられていない。残暑見舞いは8月中に送るのが一般的とされているが、暑さが長引く年であれば9月に入っても「残暑見舞い」を送ることができるといわれている。

 

「立秋」の期間に行われる行事

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一部では7月をお盆とする地域もあるが、全国的には8月のお盆が一般的で2020年も8月13日~15日と立秋の期間に当たる。そのため立秋にまつわるものではないが、このころはお墓参りやお盆祭りなど、行事は全国各地でさまざま催される。

 
なかでも京都の「五山送り火」は、毎年8月16日の立秋の期間に行われるお盆の伝統行事として古くから親しまれている。

 
一方、七夕は一般的には7月7日に行われるが、もともとは旧暦の7月15日ごろに行われていたため、お盆と関係が深い。

 
新暦が導入されてお盆が月遅れの8月に行われるようになったことから七夕との関連性は薄れたが、現在でもお盆と同様に月遅れの8月7日に七夕を行う地域はある。

 
特に名が知られているのは「仙台七夕まつり」だろう。毎年8月6日~8日に開催されている。

 

梅雨と「立秋」の意外な関係

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6月から7月中旬の長雨を指す梅雨。実は梅雨と立秋にも、ちょっとした関係がある。まず梅雨は、気象庁では「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義されているのだが、まれに梅雨明け宣言がされない年がある。その基準となるのが立秋なのだ。

 
日本の上空にある梅雨前線が北上しきれずに、そのまま立秋を迎えると、その前線は秋雨前線となり次第に南下していく。そのため、立秋までに梅雨が明けない場合は梅雨明け宣言がされず、その年は“梅雨明けなし”となる。

 

季節の変わり目として生活に根づいている「立秋」

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二十四節気の一つである「立秋」。日本における立秋にまつわる風習をみてきたが、残暑や梅雨の基準となる季節の変わり目としても、私たちの生活に思っている以上に根づいていた。

 
まだまだ夏の暑さを残すことが多い立秋であるが、少しずつ高くなる空には巻雲(けんうん)、夕暮れ時にはコオロギの鳴き声など、残暑のなかに潜む小さな秋の気配を探してみてはいかがだろうか。
 
 

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