とっておきの話

プラモデル作りで、きっかけ作り【キャプテンの航空教室】

文/小林啓良

▲札幌丘珠空港2階に展示されているジオラマ作品。整備士などはすべて手作りだ。

今から50年近く前、私が小学生だった頃プラモデルブームなるものがありました。家の近所だけでもお店が4軒あり、ショーウィンドーに飾ってある完成品を眺めては「自分もこんなリアリティーのあるものを作りたい」と思い、よく友達と自作品を見せあったものです。学校から帰宅した後は毎日のようにプラモデル店に遊びに行き、店のおばちゃんとおしゃべりしたことを懐かしく思い出します。

 
時は流れ、最近また飛行機のプラモデル作りにはまっています。今回は私のライフワークともいえる、プラモデル作りの面白さについてお話しします。

 
まず大切なのが、最初にどのようなものを作りたいのかイメージすることです。私の場合はできる限り実物に忠実かつ格好よく、自宅のスペースが許す限り情景も入れて作りたいので、さまざまな道具を使って再現性を高めます。

 
例えば、主翼や垂直尾翼は機体の形によってそれぞれ胴体につく翼の上向きの角度が決まっているので、いかに再現するかが腕の見せどころです。エポキシパテ(粘土状の成形材)を隙間に盛ってその前後をヤスリで整形し、こまめに左右の翼の角度と高さを測りながらミリ単位で慎重に調整します。

 
また、パイロットや整備士、牽引車や滑走路など既製品がないものは一から自作するため、完成までの労力は計り知れません。

 
しかし、このように苦労しながらも、無我夢中で製作しイメージどおりのものが完成したときは、何にも代えがたい達成感があります。これはプラモデルに限らず物を作るということに共通した魅力であると思います。

 
さて、これまでに私が乗務しているSAAB340B型機や北海道エアシステムで運航しているATR42-600型機、子どもの頃から憧れたジャンボジェット機などいろいろ作り、その一部の札幌丘珠空港ジオラマ作品を同空港の2階に展示させていただいています。

 
ショーウィンドーに飾られた作品に影響を受けた小学生時代の私のように、プラモデル作品をきっかけに飛行機に興味を持っていただけたら嬉しいです。本日のご搭乗、誠にありがとうございます。

 
小林啓良
小林啓良 Keisuke Kobayashi
北海道エアシステム
SAAB340B型機 機長
出身地:北海道
趣味:ゴルフ、バイクツーリング
座右の銘:物も人生も最後まで使いきる

 

(SKYWARD2020年10月号掲載)
※記載の情報は2020年10月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください

 
 

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