旅の寸景

潜水漁師のルーツ —福岡県・小呂島 【知られざる日本の離島】

文・撮影/加藤庸二

海に潜りアワビやサザエを獲る漁師を“あま”と呼ぶ。海女、海士、海人と書き、いずれも同じ呼び方だ。

 
潜水漁を行う場所は日本各地にあり、例えば石川県舳倉島、長崎県の壱岐島、対馬島や玄界灘の小さな島々などでも盛んである。

 
古くから九州北部の沿岸一帯などに、潜水漁を専門とする海の民が暮らしていた。民俗学の世界では、この地方で海に潜り獲物を獲った人々のことを“海人”と呼び、とりわけ鐘崎(現在の福岡県宗像市)の潜水漁師たちのことを“鐘崎海人”と名づけて、卓越した潜水技術を持つ集団として一目置いていた。

 
小呂島全景

▲左/小呂島全景。右/航海安全と大漁祈願の七社神社。

 
九州北部の潜水集団だった彼らがどうして各地に広まったのだろうか。それは、鐘崎海人が潜水技術とともに航海術にも長けていたからだった。たくましい漁場開拓の精神は日本海の島々へと広がり、遠く能登半島沖の舳倉島にまで及んだのである。

 
小呂島はその鐘崎海人を始祖とする島。夏の潜水漁解禁の日、磯からは海人の声が聞こえてくる。それは夏の到来を告げる島の風物詩でもある。

 
DATA|都道府県:福岡県 人口:192人(*)
*日本離島センター刊『SHIMADAS』調べ。

 

小呂島へのアクセス

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日本各地から福岡空港へ、JALグループ便またはコードシェア便が毎日運航。姪浜渡船場から小呂島へ船で約65分。

 
加藤庸二
かとう ようじ/島フォトグラファー。国内の有人島で上陸可能な430余島のすべてを踏破した島のスペシャリスト。著書に『日本百名島の旅』など。

 

(SKYWARD2020年6月号掲載)
※記載の情報は2020年6月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
※最新の運航状況はJAL Webサイトをご確認ください。

 
 

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