山口県下松市、笠戸大橋で本州と結ばれている笠戸島は風光明媚な海岸風景が続く。瀬戸内海に突き出た細くて長い島は釣り人も多い。夕日岬から望む笠戸湾と松、打ち寄せる波の浸食により穴が開けられた笠戸島のシンボル「はなぐり岩」の背景の周防灘に、ゆっくりと夕日が沈む。島々をシルエットに、天空と海面までも茜色に染めあげる落日の風景は、息をのむほどに美しい。夕日の名所で残照が消えるまで撮影を続け、自然との出合いの素晴らしさに感動した。
瀬戸内海国立公園
東に大阪湾、西に関門海峡を擁し、海域を含めると面積90万haにもなるという国内で最も広い国立公園。一帯は豊かな漁場に恵まれ、古くから人々が定住し文化を育む舞台となってきた。農村、漁村、潮待ちの港など、自然と調和した人の営みが感じられる風景が魅力だ。桜の名所も多く、海を背景に薄墨色の花びらが舞う光景は、国内外から多くの旅人を惹きつけている。
DATA|指定:昭和9(1934)年3月16日 面積:66,934ha(陸域のみ)
地域:大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県
環境省 日本の国立公園Webサイト
今月の一景へのアクセス
山口宇部空港から新山口駅…空港連絡バスで約30分。新山口駅から下松駅…JR山陽本線で約1時間。下松駅から笠戸島の夕日岬…車で約10分。
森田敏隆
もりた としたか/風景写真家。1946年、大阪府生まれ。国立公園の四季折々の絶景、棚田や桜などの日本の原風景を50年以上にわたり撮影し続け、80冊の写真集を発表している。
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