日本列島、さすがに広い! 雪のなかで春の3月もあれば、海開きを済ませた南国の3月もある。そんななかでは季節の年中行事「節句」も、北や南の特徴が表れてなかなか興味深い。とりわけユニークなのがこの島の旧暦3月3日の初節句・浜くだりだ。
初節句とは、生まれた子どもが初めて迎える節句のこと。健やかな成長を祝い、厄除け祈願などをする行事である。温暖な奄美群島最南端のこの島では、赤ちゃんたちは親に連れられて浜辺に下り、足を海水に浸けて海を初体験する。
その日は朝から、家族はもちろん一族総出で海辺に出かける。おじいちゃん、おばあちゃんは主役となる孫を抱っこし、子どものお父さんは貝や魚を捕りに海に潜り、お母さんは海辺で魚のウロコ落としなどしながら祝いの準備、親戚はそのお手伝いである。
さて主役の赤ちゃんたち。ちっちゃな手作りの草履を履かせてもらい、男の子は腰に魚籠を下げ、女の子には笊を持たせ、お母さんが抱っこして足を海に浸ける。さすが島の子どもたち、泣く子は少なくみんな大喜びでした。※2020年の旧暦3月3日は3月26日です。
DATA|都道府県:鹿児島県 島の周囲:23.7kmz(*) 人口:5,327人(*)
与論島へのアクセス
沖縄(那覇)、鹿児島、奄美大島から与論島の与論空港へ、JALグループ便が毎日運航。
加藤庸二
かとう ようじ/島フォトグラファー。国内の上陸可能な有人島すべてを踏破した島のスペシャリスト。著書に『日本百名島の旅』『島の博物事典』ほか多数。
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