クリスマスやお正月のある年末年始はシャンパンの季節。コルクがシュポンと抜かれ、ゴールドに輝く液体がシュワシュワと泡立てば、お祝い気分がさらに高まる。
でも、ワインショップやECサイトにずらりと並ぶたくさんの銘柄のなかからどうやって選べばいい?大丈夫、シャンパンのタイプや格など、基礎知識を学べば、簡単に、賢く選べる。おすすめメゾンの定番や通好みのロゼなど、テーマ別に紹介しよう。
この記事では、
・シャンパンとは何か?
・どんな種類があるか?
・テーマ別おすすめメゾン、おすすめ銘柄
について詳述する。
目次
シャンパンの定義をおさらい
フランス北東部シャンパーニュ地方で、フランスのワイン法で定められたルールにのっとって造られる発泡性の白ワインとロゼワインだけが、シャンパン(シャンパーニュ)と呼ばれる。
フランス国内のほかの地方でもスパークリングワインは造られているが、それらをシャンパンと呼んだり、ラベルに「シャンパン」と表記することはできない。外国産のスパークリングワインについても同様である。
スパークリングワインを指して、むやみに「シャンパン」と言ってはならない。シャンパンという呼び名は法律できちんと守られているのだ。
シャンパンにはどんな種類があるの?
シャンパンには、白とロゼの2タイプのほかに、甘辛度による味の違い、使用するブドウ品種やブレンド比率による違い、そして使用するブドウを栽培する村(クリュ)による違いなどがある。これらを理解しておくと、ワインショップで銘柄を選ぶ際に大きな手がかりとなる。
ブリュット(辛口)など甘辛度の種類
ワインが含有する糖分量によってシャンパンの甘さ/ドライさが決まる。最もよく目にするのは「辛口」のブリュットだろう。最近は嗜好のライト化、自然志向にあわせてよりドライなものが好まれる傾向があり、各メーカーもこぞって「ブリュット・ナチュール」「ノン・ドサージュ」(最終工程で糖分添加をしない極辛口)などを打ち出してきている。
甘辛度は必ずラベルに表記されるので、以下の表記を目安にするといい。
ブリュット・ナチュール/ノン・ドサージュ(超辛口)
エクストラ・ブリュット(極辛口)
ブリュット(辛口)
エクストラ・ドライ(やや辛口)
セック(やや甘口)
ドゥミ・セック(甘口)
ドゥー(極甘口)
ブドウ品種やブレンド比率による種類
多くのシャンパンが三つの品種──シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ──をブレンドして造られる。三つのうち、シャルドネだけは白ブドウだが、後の二つは黒ブドウ、つまり一般的な方法でワインを造ると赤ワインになる品種だ。
三つ、あるいは二つのブドウの配合により、キレのあるもの、コクのあるもの、スケール感のあるもの、スレンダーなものなど、さまざまなスタイルが生まれる。
なお、白ブドウだけで造るシャンパンは「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれる。優美でキレのある味わいが特徴。黒ブドウだけで造るシャンパンは「ブラン・ド・ノワール」。ベリー系の香りとコク、ボディが特徴だ。
ブドウの収穫年やグレードによる種類
複数の収穫年のワインを使うか、単一年で造るか、さらに瓶内熟成期間は長いかどうかでシャンパンのグレードが変わる。当然価格も変わる。
ノン・ヴィンテージ(NV)
その年に収穫したブドウから造るベースワインにリザーヴ・ワインをブレンドする。各メゾンを代表する看板商品になる。「スタンダード・キュヴェ」と呼ばれる定番アイテムの大半がこれ。
ヴィンテージ・シャンパン
ブドウの出来のよかった年に、単一年の収穫のみから造られる。この場合、収穫後最低でも3年間は出荷することができない(熟成期間が長い)。ラベルにはヴィンテージ(年号)が記される。ヴィンテージによってキャラクターが異なるのも魅力。
プレステージ・シャンパン
特に優れたブドウで造ったベースワインだけを使って造る、最高級レンジ。ヴィンテージ・タイプが一般的だが、ノン・ヴィンテージ・タイプのプレステージもある。ドン・ペリニヨンはモエ・エ・シャンドン社のプレステージ・シャンパンだ。
もう迷わない!タイプ別おすすめメゾンと銘柄
シャンパーニュ地方には5,000軒ものメゾン(ワイナリー)がある。そして、日本ほど多彩なシャンパンが買える国はそれほど多くはない。輸入されているシャンパンは約360銘柄(うち、大手メゾンのものが約120銘柄)といわれる。そのなかから、選りすぐりをタイプ別に分けて紹介しよう。
これだけは押さえておきたい定番7銘柄
モエ・エ・シャンドン
「モエ アンペリアル」NV
ブドウ品種:シャルドネ20~30%、ピノ・ノワール30~40%、ムニエ30~40%
税込価格:7,150円
「世界で最も飲まれているシャンパン」。同社のオフィシャルサイトに記されたキャッチフレーズは「毎秒1本、世界中のどこかでモエ・エ・シャンドンのボトルが開けられています」だ。
1743年、シャンパーニュ地方第2の都市エペルネで創業。フランス王ルイ15世の妃ポンパドゥール夫人にも愛され、「飲んだ後、女性を美しくするのはシャンパンだけ」の名言が残る。スタンダード・キュヴェの「モエ アンペリアル」の名は3代目ジャン・レミー・モエの旧友だった皇帝ナポレオン1世に由来している(アンペリアルは「皇帝」の意味)。
シャンパーニュ全域に1,150haの自社畑(そのうち50%がグランクリュ)を所有。323の畑のうち、実際にモエ・エ・シャンドンに使われるのは約200の畑で収穫される良質のブドウだけという厳格ぶりを貫き、自社の製品の品質とスタイルを守っている。同社のプレステージ・シャンパンが「ドンペリ」こと、ドン・ペリニヨン。
ポメリー
「ブリュット・ロワイヤル」NV
ブドウ品種:シャルドネ34%、ピノ・ノワール33%、ムニエ33%
税込価格:7,480円(ボックス付き)
1836年創業当時の主要ビジネスは羊毛取引だった。20年後、ルイ・アレクサンドル・ポメリーが後継者となるが、すぐに逝去。夫人のマダム・ポメリーが引き継ぐ。
甘口が主流だったシャンパンに、辛口のブリュットを打ち出して、食後酒のポジションから現在のような食前酒、食中酒の位置にシャンパンを導いたのがマダム・ポメリーだった。
メゾンの象徴である「ブリュット・ロワイヤル」は、柑橘類や白い花のようなやわらかな香りと、フレッシュ感のある1本。
ルイ・ロデレール
「コレクション 242」NV
ブドウ品種:シャルドネ42%、ピノ・ノワール36%、ムニエ22%
税込価格:8,250円(ボックス付き)
1819年以来、一族による家族経営と丁寧な造りを堅守、そのシャンパンは「手仕事の芸術品」と称される。瓶詰め前に目減りした分を補う「門出のリキュール」も古い木製の大樽で長期熟成させている点はユニーク。
1876年にロシア皇帝アレクサンドル2世の要望に応えて生まれた最高級シャンパン「クリスタル」はこのメゾンのプレステージ・キュヴェ。シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(メドック格付け2級)など、ボルドーのシャトー数社も傘下に置いている。
2021年、ルイ・ロデレールは35年ぶりにスタンダード・キュヴェをリニューアル。ブレンドによって異なるヴィンテージやテロワールを表現するというコンセプトのもと、「コレクション 242」を発表した。ピノ・ノワール36%、シャルドネ42%、ムニエ22%の比率。リザーヴワインによる熟成感とヴィンテージの個性が引き出された、エレガントで力強い味わい。
ヴーヴ・クリコ
「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット」NV
ブドウ品種:シャルドネ28~33%、ピノ・ノワール50~55%、ムニエ15~20%
税込価格:8,470円(ボックス付き)
イエローのエチケット(ラベル)が目印。英国女王エリザベス2世の御用達となるなど、世界有数のシャンパン・ブランドとして君臨している。1772年、シャンパーニュ地方の中心都市ランスで「クリコ」として創業。主なビジネスは金融と毛織物だった。
2代目のフランソワ・クリコが病死した後、未人のマダム・クリコ(当時27歳)が亡き夫の後を継ぐと、1810年には社名を「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン」(ヴーヴは「寡婦」の意味)と改称、シャンパン造りに特化する方向に大きく舵を切った。
ルミュアージュ(=動瓶、シャンパンの澱を集めて除くことで濁りをなくす工程)を考案したのもマダム・クリコだった。
「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット」は、1772年以来メゾンのシンボル。力強さとフィネスとの間の完璧なバランス、その複雑な味わいは、ピノ・ノワールの卓越した存在感によって醸し出される。
テタンジェ
「ブリュット レゼルヴ」NV
ブドウ品種:シャルドネ40%、ピノ・ノワール35%、ムニエ25%
税込価格:6,908円(ボックス付き)
1932年に初代ピエール・テタンジェがブドウ畑に囲まれた美しいマルケットリー城に惚れて購入した年が創業年とされている。上質なシャルドネを中心に据えたエレガントなスタイルが特徴。自社畑の面積はシャンパーニュ地方でも屈指の288haを誇る。
国際料理コンクール〈ル・テタンジェ〉やテタンジェ・コレクションなど、美食やアートとの強いつながりもこのメゾンの特徴。
良作年にのみ造られ、毎回気鋭のアーティストがボトルデザインに起用されるプレステージ・シャンパン「テタンジェ・アート・コレクション」にはその精神が最もよく表れている(初ヴィンテージとなった1978年以来、リリースは12回のみ)。
「ブリュット レゼルヴ」は果実やブリオッシュ、桃や白い花、バニラなどを思わせるアロマと、生き生きとしたフレッシュでクリスピーな味わい。
メゾン マム
「マム グラン コルドン」NV
ブドウ品種:シャルドネ30%、ピノ・ノワール45%、ムニエ25%
税込価格:5,083円(ボックス付き)
ボトルを斜めに横切る赤い帯がトレードマーク。2000年から2015年までF1の表彰式でのシャンパンファイトで使われていたので、そのイメージでこのメゾンを記憶している人も多いのでは?
1827年、ドイツ出身のマム家によって創業。赤い帯は1802年にナポレオン・ボナパルトによって制定されたレジオン・ドヌール勲章を模したもの。また、画家・藤田嗣治(1886~1968)はこのメゾンと親交があり、ロゼの王冠には、藤田が描いたバラがデザインされている。
求めやすい価格も魅力の主力銘柄「マム グラン コルドン」はフレッシュで力強い味わい。100を超えるクリュ(村)から集めたブドウで造られ、桃やパイナップルのアロマに、バニラ、ペストリー、ドライフルーツ、蜂蜜の香りを秘めている。リサイクルガラスを75%使用し、ほかのボトルと比べて軽量なのも特徴だ。
ローラン・ペリエ
「ローラン・ペリエ ラ キュベ」NV
ブドウ品種:シャルドネ50~55%、ピノ・ノワール30~35%、ムニエ15~20%
税込価格:6,556円
1812年、樽職人だったアンドレ・アルフォンソ・ピエルが興したネゴシアン(買い付けたブドウを醸造して販売する)が起源。醸造責任者だったウジョーヌ・ローランが後継し、妻のマティルド・エミリー・ペリエの姓とあわせて、ローラン・ペリエとした。
世界恐慌の影響もあり、一時衰退したメゾンだったが、1939年にマリー・ルイーズ・ランソン・ドゥ・ノナンクールが救いの手を伸ばし、再建。さらにマリー・ルイーズの次男ベルナールの時代に大きく発展。以降、家族経営に徹することでメゾンの独自性と固有の価値観を守っている。
第2次世界大戦中、ドイツ軍の収奪を逃れるために、400樽のワインをカーヴの壁に塗りこめて守ったエピソードは有名。
メゾンのスタイルは「フレッシュさ」「エレガントさ」「バランスの良さ」。その性質を余すところなく体現するのが、スタンダードクラスの「ローラン・ペリエ ラ キュベ」。メゾンが選び抜いた100以上の畑の厳選されたブドウが使用されている。
人に語りたくなるストーリー性ある5銘柄
ポル・ロジェ
「キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル 2012」
ブドウ品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
税込価格:37,400円(ボックス付き)
粋人として名高い英国の元首相ウィンストン・チャーチルに愛されたシャンパンメゾン。1849年創業。以来家族経営を続け、「気品と優美」を哲学として格調高いシャンパンを造り続ける。2004年には英国王室御用達に。
発酵に木樽を一切使わずステンレス槽のみを用いることで、ブドウのピュアな味わいを引き出すのが特徴。プレスティージュの「キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル」は、チャーチルに捧げられた銘柄。デリケートでありながら、底知れぬパワーを感じさせる低重心の味わい。
ボランジェ
「スペシャル・キュヴェ」NV
ブドウ品種:シャルドネ25%、ピノ・ノワール60%、ムニエ15%
税込価格:9,350円(ボックス付き)
1829年創業。1884年には英国王室御用達となる。さらにボランジェのイメージを強固にしたのが映画『007』シリーズとの関わりだ。スクリーンに度々登場し、英国車アストン・マーチンと共に、ジェームズ・ボンドを彩るマスト・アイテムとなっている。
本拠地のアイ村は良質なピノ・ノワールの実る土地として知られる。ボランジェのシャンパンはピノ・ノワール比率が高く、そこから来るふくよかで力強いスタイルが、またジェームズ・ボンドのキャラクターと重なる。
シャルル・エドシック
「ブリュット レゼルヴ」NV
ブドウ品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
税込価格:8,800円(ボックス付き)
1851年創業、シャンパーニュで4番目に長い歴史があるメゾン。創業者のシャルル=カミーユ・エドシックは伊達男、旅行家、企業家として広く世に知られた人物だった。メゾンを立ち上げたのは29歳の時。1859年ボルドー万博で金賞を受賞、イギリス王室をはじめ多くの王室の御用達になった。
ほかのメゾンに先駆けて、アメリカ市場に挑戦。スーツケースにシャンパンを詰め込んで営業に回ったシャルルは“シャンパン・チャーリー”と呼ばれ、アメリカでも大成功を収めた。
「シャルルのワインは、いつも飲めばそれとすぐにわかる」と評されたリッチな味わいは今も健在。その最大の特徴は、リザーヴワインをたっぷり使うことだ。スタンダードな「ブリュット レゼルヴ」でも、10年以上熟成させたリザーヴワインを40%も使い、深みのある味わいを生み出している。
ゴッセ
「グランド・レゼルヴ・ブリュット」NV
ブドウ品種:シャルドネ45%、ピノ・ノワール45%、ムニエ10%
税込価格:9,240円
シャンパーニュ最古のメゾンは後述のルイナールだが、ワイン造りではゴッセのほうが早く、1584年から始まっていて、こちらが「最古」であると主張している。ただし、当時のワインはスパークリングではなく、現在のロゼに近いような淡い赤ワインだった。
シャンパーニュ地方のど真ん中、アイ村が本拠地。創業者のピエール・ゴッセはアイ村の市長だった人物だ。自社畑も所有しているが、ブドウの大半は約200軒の栽培農家と契約して入手している。
醸造においては、マロラクティック発酵(乳酸をリンゴ酸に変えることで酸味をまろやかにする工程)を行わず、フレッシュさとピュアなブドウの風味を表現。またスタンダード・キュヴェの「グランド・レゼルヴ・ブリュット」でも最低3年以上の瓶内熟成を行うことで、滑らかな泡とシームレスな味わいを生み出している。
ルイナール
「ブラン・ド・ブラン」NV
ブドウ品種:シャルドネ100%
税込価格:12,210円(セカンド・スキン カバー付き)
1729年創業。最古のシャンパン・メゾン。創業者の伯父である修道士ドン・ティエリー・ルイナールはあのドン・ペリニヨンからシャンパン造りを学んだとされている。
古参メゾンでありながら、時代の先端をいく取り組みを行うことで知られ、1896年には広告ポスターにミュシャ(アール・ヌーヴォーを代表する画家)を起用、2020年にはサステナビリティに配慮した画期的なウッドファイバー製パッケージを発表するなどしている。
代表アイテムはシャルドネ100%の「ブラン・ド・ブラン」。滑らかでバランスのとれた味わい。繊細で長く続くパールのような泡立ちとともに、ブリオッシュやローストアーモンドなどの芳醇な香りが広がる。
通好みのロゼ・シャンパーニュ2銘柄
デュヴァル・ルロワ
「ロゼ・ブリュット プレスティージュ プルミエ・クリュ」NV
ブドウ品種:シャルドネ30%、ピノ・ノワール70%
税込価格:10,780円
当主キャロル・デュヴァル=ルロワ氏、シェフ・ド・カーヴのサンドリーヌ・ロジェット=ジャルダン氏と女性が率いるメゾン。1859年創業。その理念は「女性的、繊細、気品」で表される(今のご時世「女性的」の解釈には議論の余地があるが)。
シャンパンと合うデザートをテーマとしたコンテスト「デザート・オブ・ザ・イヤー」のスポンサーとなるなど、食文化全体に貢献している。
「ロゼ・ブリュット プレスティージュ プルミエ・クリュ」は、ワイルドチェリー、ドライトマト、ゼラニウムなどの香りがあり、味わいにはコクがあって、コースのメインディッシュにふさわしい、堂々たるロゼ・シャンパン。
ビルカール・サルモン
「ブリュット・ロゼ」NV
ブドウ品種:シャルドネ40%、ピノ・ノワール30%、ムニエ30%
税込価格:13,200円(ボックス付き)
1818年の創業以来約200年にわたってクラフトマンシップを守り、少量で秀逸なシャンパンを世に送り出し続けてきた家族経営のメゾン。伝統を遵守し、醸造はブルゴーニュの小樽で行う。
「キュベ・エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ」は、創業者ニコラ・フランソワ・ビルカールの妻エリザベス・サルモンに捧げられた甘美な味わいのロゼ・シャンパン。スタンダードの「ブリュット・ロゼ」は、エレガントでセクシーな味わい。フランスの権威あるワイン評価誌で、ノンヴィンテージ・ロゼ・シャンパンの第1位に輝いた。
贈り物に最適!祝い事に華やぎを添える3銘柄
ペリエ ジュエ「ベル エポック」
「ベル エポック 2013」
ブドウ品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ
税込価格:27,830円(ボックス付き)
アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家エミール・ガレが描いたアネモネの花がボトルを優雅に彩る、唯一無二のエレガンス。ペリエ ジュエは1811年創業。その味わいも、ボトルデザインと呼応するように繊細優美で、「シャンパーニュの芸術品」と称される。
「ベル エポック」はメゾンのスタイルを最も端的に物語るヴィンテージ・キュヴェ。100%グラン・クリュの畑のブドウを用いて、完璧なブレンドのもとに生み出される。白い花、洋梨、レモンの香り織りなす妙なるハーモニー。爽やかさは余韻にまで残る。
アンリ・ジロー「ブラン・ド・ブラン」
「ブラン・ド・ブラン 2011」
ブドウ品種:シャルドネ100%
税込価格:77,700円(ボックス付き)
ヨーロッパの上流階級でひそかに愛飲されてきたアンリ・ジローは、かつて「幻のシャンパン」といわれた。その歴史は1625年にまでさかのぼる。アメリカのワイン評論家ロバート・パーカーは「ほとんど人に知られることのないこのメゾンは、最高のシャンパーニュ・メゾンであろう」と述べている。
「ブラン・ド・ブラン」(白ブドウのみで造るシャンパン)にはアイ村の自社畑のシャルドネを使い、アルゴンヌ産の新樽で仕立てている。香りは芳醇かつ繊細。厚みのある酸とミネラル感が特徴。透明でスタイリッシュなフォルムのオリジナルボトルも“特別な気分”を大いに演出してくれる。
パイパー・エドシック「レア・シャンパーニュ」
「レア・シャンパーニュ 2006」
ブドウ品種:シャルドネ70%、ピノ・ノワール30%
税込価格:27,500円(ボックス付き)
パイパー・エドシックは1785年創業。「王妃にふさわしいシャンパンを」という創業者フローレンス=ルイ・エドシックの強い思いが実り、王妃マリー・アントワネットに献上され、宮廷で人気を博すという栄誉に浴した。
カンヌ国際映画祭の公式サプライヤーとしても有名で、マリリン・モンローもこのシャンパンを愛し、「毎朝欠かさないのはパイパー・エドシック。私の目覚めの一杯よ」との名言が残る。
そんな煌びやかなイメージを纏うパイパー・エドシックのなかでもさらに強い輝きを放つのが「レア」。ボトルには厚さ0.5mmのティアラが貼り付けられている(2006年の日本発売分はティアラが取り外し可能)。
初ヴィンテージは1976年。それ以降、10回しかリリースされていない(2007年はロゼ)。45年間で11ヴィンテージという希少さ。王妃や名女優と同等の扱いを受けて嬉しくない女性はいないのでは?
いつかは飲みたい高級3銘柄
ドメーヌ ジャック・セロス「シュプスタンス・ブリュット」
「シュプスタンス・ブリュット」
ブドウ品種:シャルドネ100%
税込価格:49,500円
シャルドネ栽培の好適地として知られるコート・デ・ブラン地区に本拠を置くレコルタン・マニピュラン(自社畑で栽培したブドウのみを使い、醸造、瓶詰め、販売するシャンパンメーカー)。
畑はすべてグラン・クリュ。年ごとの平均生産量はわずか4,000ケース。その芸術的とも称される品質と相まって、入手が極めて困難な造り手として知られる。
当主アンセルム・セロス氏は、ビオディナミ(ルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法)を実践、またアルコール発酵をオーク樽で行うなど、当時は“異端”だといわれていた手法を次々と導入、世評を覆す素晴らしい味わいのシャンパンを生み出して名手の地位を固めた。日本の自然農法の第一人者である福岡正信氏の農法も取り入れている。
「シュプスタンス・ブリュット」はアヴィーズ産のシャルドネのみで醸されるブラン・ド・ブラン(白ブドウだけで造るシャンパン)の逸品。人生の本質(シュプスタンス)に迫ることができるかも?
シャンパーニュ サロン「サロン」
「サロン 2007」
ブドウ品種:シャルドネ100%
税込価格:110,000円(ボックス付き)
シャルドネという高貴品種のポテンシャルの極地を極めたブラン・ド・ブラン(白ブドウのみで造るシャンパン)。サロンの生みの親ウジェーヌ=エメ・サロンは、毛皮商として成功した人物。シャンパン好きが高じて、自分と友人が飲むためのシャンパンを造ることにしたのが発端。1900年代初頭のことだ。
エメ・サロンはシャルドネの栽培好適地コート・デ・ブラン地区のル・メニル・シュール・オジェ(後述するクリュッグの「クロ・デュ・メニル」のセラーもここにある)に「サロンの庭」と呼ばれる畑を購入、この小さな区画から獲れる最上級のシャルドネのみでシャンパンを造った。これが高い評価を受け、当時パリのセレブが集ったレストラン「マキシム」のハウスシャンパンになった。
サロンにふさわしい良作年にしか造らないというポリシーを堅守しており、20世紀の100年間にリリースされたのは33回だけ。21世紀に入ってからは2002年、04年、06年、07年、08年、の5回のみ。年ごとに造られる本数は約6万本(その半分の年もある)。その希少さもサロンの地位を高めている。
味わいは、華やぎとフィネス(上品さ)があり、デリケートでありながら、極めて力強い。まるで絶景の谷を渡るタイトロープのようだと評する人もいる。
ルイ・ロデレール「クリスタル」
「クリスタル 2013」
ブドウ品種:シャルドネ40%、ピノ・ノワール60%
税込価格:41,800円(ボックス付き)
ロシア皇帝アレクサンドル2世の肥えた舌を満足させるために生まれたルイ・ロデレールのプレステージ・キュヴェ。良作年のみ造られる。日本でもITビジネスが興隆した21世紀初頭、このシャンパンを開けることが成功の証だった。
1876年、皇帝はルイ・ロデレールに自分専用のメゾン最高キュヴェを造るよう依頼。同メゾンは出来あがったシャンパンを平底の透明クリスタルガラス製のボトルに詰めた。このボトルの素材から「クリスタル」の名が付けられた。
セラーで6年間熟成を経てデゴルジュマン(澱抜き)、さらに8カ月間静置されたのちにリリースされる。2013年ヴィンテージは瑞々しく熟したミラベルやネクタリンのフレッシュな果実香、柑橘類のピールや、ほんのりローストしたヘーゼルナッツが織り成す力強く複雑なブーケ。余韻には塩味を帯びた旨みが感じられる。
死ぬまでに一度は飲みたい超高級2銘柄
ドン ペリニヨン「ヴィンテージ 2003 プレニチュード 2」
「ヴィンテージ 2003 プレニチュード 2」
ブドウ品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
税込価格:62,480円(ボックス付き)
2021年7月に発売が始まったばかり。17年間という破格に長い熟成を経てデゴルジュマンされた。
プレニチュードは充実・豊かさを表す言葉。シャンパンにおいては熟成の過程で段階的に起きるエネルギーの凝縮、熟成のピークを意味する。「プレニチュード 2」とは、2度目の熟成ピークのことだ。
収穫年の2003年はヨーロッパを記録的な猛暑が襲い、収穫にもダメージが出た年だったが、生き残った果実は見事に熟した。このイレギュラーな年にヴィンテージ・シャンパンを造るのは極めて冒険的なこと。
ドン・ペリニヨンはこの挑戦に、斬新な手法──収穫したブドウをあえて酸化させてから発酵させる、ピノ・ノワールの割合をかつてない比率に高めるなど──をとることでチャレンジした。
その味わいは肉感的で豊満。ビターな余韻が長く続く。新たな高みへ、未知の次元へ、飲む者を誘ってくれるシャンパン。
クリュッグ「クロ・ダンボネ」
「クロ・ダンボネ 2002」
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%
税込価格:454,000円(ボックス付き)
1843年の創業以来、6世代にわたって職人的な伝統製法を忠実に守り続ける最高峰のメゾンで、「シャンパンの帝王」の異名を取るクリュッグ。
ファンのなかには信者のように熱狂的にクリュッグを信奉する人がおり、「クリュギスト」なる言葉もある。ココ・シャネルやアーネスト・ヘミングウェイもクリュギストといわれる。英国王室御用達、フランス・エリゼ宮でVIPに供されるのもクリュッグだ。
同社のトップ・キュヴェがアンボネ村のわずか0.68haの区画のピノ・ノワールだけで造られる単一畑&単一年収穫のブラン・ド・ノワール(黒ブドウのみで造るシャンパン)、「クロ・ダンボネ」。
最初に造られたのが1995年。以来、良作年にのみ造られ、最新の2002年が5作目となる。熟成期間は15年以上に及び、そのスケール感とフィネス(上品さ)は別格。
なお、もう一つのトップ・キュヴェである「クロ・デュ・メニル」は、単一畑&単一収穫年のシャルドネだけで造るブラン・ド・ブラン(白ブドウだけで造るシャンパン)。
気軽に開けたい1本から生涯の思い出になる1本まで
日本にはシャンパンを好む人が多く、その輸入量は世界第3位だ(第1位はアメリカ、第2位はイギリス)。さまざまな種類のシャンパンが手に入る日本は、シャンパン好きにとってパラダイスだといえる。
だからこそ、基本的な知識を得て、賢く選びたい。何よりも、背景を知ることで、味わいが増すだろう。もっと気軽にシャンパンを開けたい。そして、いつかは“生涯の思い出になる1本”と出合いたい。
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