10月1日を4ケタの数字に置き換えると、1001となり、メガネの形に見えてくる。そう、毎年10月1日は「メガネの日」。メガネは視力を補う器具だが、顔の印象を変えてくれるファッションアイテムでもある。
今回はそんなメガネに焦点を当てよう。「めがねのまちさばえ」として、福井県鯖江市が手がけるまちづくりや、メガネにまつわるイベントを抜粋して取り上げる。
メガネをかけている人へ、そうでない人へも、知るほどに奥深いメガネの話をお届けしたい。
目次
10月1日、メガネの日を知っていますか?
10月1日はメガネの日。平成8(1996)年9月、「世界的視野に立ち、生活者の視生活の向上と業界の発展に貢献すること」を目的とし、メガネ業界の8団体すべてが加盟して日本眼鏡関連団体協議会を設立。
その活動の一環として、平成9(1997)年に、毎年10月1日をメガネの日と制定。目的は、メガネ愛用者に感謝の気持ちを表すことと、消費者にメガネに対する正しい認識と興味を持ってもらうことである。
10月1日を4ケタの数字で表すと、1001となる。両端の1がメガネのツル、内側の2つの0が2枚のレンズに見えるだろう。8という数字も、横倒しにするとメガネのような形になるため、8月8日がメガネの日と誤認している人も少なくないようだが、正式には、10月1日がメガネの日だ。
「めがねの聖地」、福井県鯖江市
北陸新幹線開業後は、北陸屈指の都市であり北陸の玄関口でもある金沢が賑わったが、お隣の福井県も存在感を増している。福井県といえば日本製メガネフレームの96%以上が生産されている。生産の中心は鯖江市であり、現在はイタリアや中国と並ぶ世界屈指の産地で、「めがねの聖地」として知られる。
鯖江のメガネ産業の歴史は、明治時代にさかのぼる。明治30年頃、活字文化の普及とともにメガネの需要が高まりつつあった。これを受け、鯖江の貧しい農村の状況を打破するために、雪に埋もれる農閑期でもできる副業としてメガネ作りが広まった。その後、戦後の高度経済成長を背景に産地として大きく成長。
1980年代には世界で初めてチタンフレーム量産化に成功するなど、突出した技術で世界的な評価をされ始める。
現在は、メガネフレームというとアセテートまたはセルロイドを素材とするセルフレームと、チタンなどを素材とするメタルフレームが定番となっている。手作りのものであれば、一つのフレーム完成までには、300以上もの工程を経るものもあるほど。
フレームだけでなく、肝心のレンズについても、鯖江の企業が最先端の研究を行い、多様な素材のレンズを製造・加工している。
鯖江に行ったら寄りたいメガネスポット
屈指のメガネ王国では、街全体がメガネ産業をバックアップ。「めがねのまちさばえ」として、県内外や世界に向けてアピールすべく、まちづくりやイベントなどを行っている。
ここでは、鯖江に行ったら訪れてほしいスポットを紹介する。
めがねミュージアム
「めがねミュージアム」は、メガネについての総合施設。県内約40社の最新モデルを展示販売する「アンテナショップ」、メガネフレーム作りが学べる「体験工房」、鯖江のメガネ作りの歴史や昔の生産道具など展示する「めがね博物館」などで構成される。日本有数のメガネコレクターでもある喜劇俳優の大村崑(こん)さんのコレクションも見所である。
メガネフレーム一大産地の鯖江のものづくりスピリットに触れ、手作り体験をしたり、お気に入りのメガネを選んだりと、楽しみ方はあなた次第。鯖江市内の名物や、メガネをモチーフにしたおしゃれなグッズなどもバラエティー豊かに取り揃えられ、お土産選びにも好適。
めがねミュージアム
電話:0778-42-8311
住所:福井県鯖江市新横江2-3-4 めがね会館
URL:www.megane.gr.jp/museum/
定休日:年末年始 ※適宜公式Webサイトにてお知らせ
メガネストリート
鯖江市では、「鯖江市を訪れた方々にメガネを身近に感じてもらえるように、メガネのテーマパークにしたい」という「メガネ〜ランド構想」が持ち上がり、「メガネストリート」の整備へとつながった。
JR鯖江駅から、めがねミュージアムまでの約900mとサンドーム福井までの約1500mの道がメガネストリート。意外なところに「隠しメガネ」があるので、あれこれと目を凝らしながら歩く楽しみがある。メガネをモチーフにした看板やベンチ、マンホールなどが設置されており、つい写真を撮りたくなる。SNS投稿にも楽しい所である。
めがねミュージアムまでの道のりで、たくさんのメガネを見つけたい。
メガネストリート
JR鯖江駅から、めがねミュージアムまでとサンドーム福井までの道路
人に話したくなるメガネの面白い話題
メガネの日は国民の祝日ではないが、制定の経緯を含め、遊び心に溢れた記念日である。日本眼鏡関連団体協議会だけでなくさまざまな団体や企業により、例年ユニークなイベントが開催されている。
過去には、蔵人が全員メガネを掛けている萩野酒造(宮城県)の「メガネのメガネによるメガネのためのメガネ専用ナイト」というイベントが話題を集めたこともある。
また、近年は開催されていないが、メガネの産地を県内外にアピールするために実施した「FUKUIめがねウイーク」というイベント内で、出場者が全員メガネ着用で走る「めがねマラソン」が実施された。
めがねフェス
平成25(2013)年にスタートしたメガネづくしのフェスティバルである「めがねフェス」。福井県・鯖江産メガネのほか、メガネにちなんだ雑貨や食品が販売され、毎年多くの人が訪れる。ライブなどのステージでもメガネを着用したアーティストが登場した。
過去には、メガネの作り手と直接触れ合えるイベントや、さまざまなワークショップや体験ブースなどが設けられ、手を動かしながらメガネについて学べるものも。メガネメーカーと消費者が出会う場を楽しくつくり出している点などが評価され、平成30(2018)年にはグッドデザイン賞を受賞した。
めがねフェス
会場:めがねミュージアム、鯖江市文化センター前駐車場特設会場
URL:https://meganefes.com/
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、令和2(2020)年6月13日、14日に予定していた「めがねフェス2020」は中止となった。
上野不忍池のめがね之碑(東京)
メガネというと鯖江ばかりが注目されるが、東京・上野不忍池のほとりにもメガネにちなんだ石碑がある。この石碑には、徳川家康が愛用したメガネがかたどられている。その名も、「めがね之碑」。メガネ業界の先人などの名前が刻まれているが、10月1日に愛用メガネを供養する「めがね供養会」が開催されているのは意外と知られていない。
めがね之碑
東京都台東区上野公園2−1 上野恩賜公園内
ドライブスルーのメガネ販売(群馬)
群馬といえば、運転免許取得率も自動車普及台数も上位の車社会だ。質屋やクリーニングなどのドライブスルー店舗があり、なんとメガネもドライブスルーで購入できる。その店は、アイウェアブランドの「JINS(ジンズ)」が運営する「JINS パワーモール前橋みなみ店」だ。車でドライブスルーの受付に行き商品を選んだら、試着も会計も車内で完了。度つきのメガネを購入する場合は、度数情報を提示し指定の時間に再度取りに来る方式だ。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、人との接触をなるべく減らす「3密回避」の動きが加速するなか、ドライブスルー方式のメガネ販売が拡大するかどうか注目される。
JINS パワーモール前橋みなみ店
電話:027-265-0167
住所:群馬県前橋市新堀町868
URL:https://store-jp.jins.com/b/jins/info/20217/
秋の夜長こそ目を労りメガネ生活を
スマホやタブレットなどを使う機会が増えた現代生活で、目は酷使される一方。メガネの日をきっかけに、ブルーライトをカットする効果のあるものなどを導入してはいかがだろう。目の疲れを自覚している、視力が落ちたような気がするという人は、定期的な視力検査や眼科への通院、メガネ着用などの対策を。
自分のライフスタイルに合ったメガネを選び、目を労りながら、秋の夜長を楽しもう。
※掲載情報は、令和2(2020)年7月6日時点のものです。天候や新型コロナウイルス感染症の感染状況などにより変更になることがあります。お出かけの際は、各自治体の要請に従ってください。
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