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11月26日は「いい風呂の日」。世界のサウナをピックアップ

11月も半ばを過ぎると、冷え込む日が多くなる。コートなどの防寒着を着込んでも、時折強く吹き抜けていく風により、一気に体温を奪われてしまうことがある。

 
四季の移ろいといえば風情があるが、季節の変わり目は体調を崩しやすい。そんなときこそ、風呂が頼りだ。冬を健康に過ごすために役立ち、楽しめるのだからありがたい。

 
凍えた体をじわっと芯から温める、汗や汚れを落としてさっぱりさせるなど、風呂の効用は多種多様。今回は「いい風呂の日」である11月26日にちなんで、世界のサウナの文化と風習を紹介したい。

 

11月26日は「いい風呂の日」

いい風呂の日は、日本浴用剤工業会が「イイフロ=1126」の日として制定し、日本記念日協会が正式に登録したものだ。制定の経緯は、語呂合わせであるだけでなく、「11月下旬になると、お風呂でゆっくり温まって疲れを取りたい人が増える」という理由もある。

 
制定したのが日本浴用剤工業会なので、「入浴剤の効用と普及拡大をアピールするのが目的」と定められてはいるものの、全国的に温泉地や銭湯も独自でキャンペーンを行うなど、入浴剤にとどまらない風呂カルチャーが発信されている。

 
これとよく似た「テルマエ・ロマエ よい風呂の日」もあり、こちらは4月26日となる。風呂がテーマの大ヒット映画『テルマエ・ロマエ』の続編『テルマエ・ロマエⅡ』製作委員会が2014年に制定した。

 

風呂(ふろ)の語源を知っていますか?

風呂と書いて「ふろ」。馴染みのある言葉だが、そういえばなかなかの難読漢字である。なぜ、風呂は「ふろ」と呼ぶようになったのだろうか。

 
まず、江戸時代中期までの町風呂は蒸し風呂が主流であった。蒸し風呂は石を積み上げた窯や洞窟のようなスペースで枯れ葉を焚き、上に海水を含ませたむしを敷いて発生させた蒸気で全身の垢をふやかしてこすり落とすというものだ。

 
そのため、広い場所や密閉性のない空間では蒸すことができず、この蒸し風呂用の狭い洞窟のような空間を「室(ムロ)」と呼び、転じて「風呂」になったという説がある。現在のような浴槽のある浴場が広まったのは、江戸時代中期以降のことだという。

 

世界のサウナ文化を見てみよう

ここでは、蒸し風呂の一種であるサウナに焦点を当てたい。温泉やスーパー銭湯の流行を経て、現在の日本はサウナブーム。日本国内だけでも独自の文化が生まれている。では、世界に目を向けると、どのようなサウナの風習があるのだろうか。以下では、海外のサウナ文化をピックアップしてご紹介する。

 

フィンランドのサウナ

フィンランドのサウナ

 
フィンランドは、蒸し風呂の一種であるサウナの発祥の地。フィンランドのサウナのなかでも原点といわれるのが、「スモークサウナ」である。

 
スモークサウナとは煙突のない小屋で薪ストーブに火をつけ、サウナストーンと室内を熱して、煙を小さな開口部からすべて逃がすもの。冬のフィンランドは、場所によってマイナス30℃にもなるため、小屋の中を数時間もかけて暖める日もあり、とても手のかかるものである。

 
室温が100℃近くまで上がったら、扉を開けっ放しにして煙を放出。ここから、フィンランド語で「ロウリュ(löyly)」と呼ばれるサウナストーンへの水かけを行い、発生させた蒸気を浴びる。サウナをお好みの温度に調節する。シラカバの枝葉を束ねたもので体を打ち、肌を刺激し活性化させる。その後、サウナに出たり入ったりを繰り返す。

 

ロシアのバーニャ

ロシアのバーニャ

 
同じく凍える寒さのロシアで、フィンランドに似たスタイルのサウナ「バーニャ(Баня)」が親しまれている。サウナストーンに水をかけるロウリュや、シラカバやユーカリなど香りのする葉で体を打って刺激するなど、フィンランドと共通する点は多い。

 
しかし、温度や湿度、風習が異なる。フィンランド式サウナではストーンにかける水の量があまり多くなく乾式で、温度が100℃の高温から40℃ほどの低温までと幅がある。その点、ロシアのバーニャでは温度は60℃程度のものが多いが、湿度が80~100%と高湿式である。

 
バーニャでは、高湿により髪や頭皮を傷めないよう、フェルト製の「サウナハット」が必須である。

 
また、池も凍る真冬でもバーニャ後にはフィンランドと同じように、露店水風呂に飛び込む風習もある。公共のバーニャ場には水風呂が設置されていることもあるが、個人経営の貸し切りバーニャなどでは、雪に囲まれた露天の水風呂へ飛び込む体験ができる。興味があれば、ツアーガイドに尋ねてみよう。

 

韓国の汗蒸幕(ハンジュンマク)

韓国の汗蒸幕(ハンジュンマク)

 
今回紹介するなかでも温度の高い空間に身を浸すのが、韓国の「汗蒸幕(ハンジュンマク)」。伝統的なスタイルは、「黄土(ファント)」という土で作った窯のような密閉空間の中で松の木などを燃やし、高くて150℃ほどまで室温を上げる方法。肌や髪を高温から保護するため、麻布をかぶって中に入る。

 
このように紹介すると、いかにも暑そうだが、蒸気を使用しないため普通のサウナより快適に過ごせるという声もある。数分すると全身の毛穴が開き、汗がどっと流れ出してくるのが快感。ただし、5分を目安に退出。退出後は休憩をして、また入室するというのを数回繰り返すのがその楽しみ方だ。

 
フィンランドやロシアのような寛ぎより、美容や健康づくりも目的とする側面が強いのが特徴。古くは15世紀の文献に出てくるほどの歴史を持つ。

 

日本のサウナ

現在、日本でもサウナが大人気だ。スーパー銭湯に行けばサウナ室が常設されているし、さまざまなサウナが楽しめる施設もある。日本のサウナは一体いつから始まったのだろうか。

 
日本のサウナは、昭和31(1956)年、銀座の温浴施設「東京温泉」内に乾式サウナを作ったのがその始まりだという。昭和39年(1964)年の東京オリンピックで、フィンランド選手団が選手村にサウナ室を設置したことがきっかけで、全国的なブームになっていった。

 
しかし、蒸気で温浴をする蒸気浴の文化は古くから日本にあった。江戸時代中期から浴槽に身を浸す温湯浴に移行し始め、今ではこれが当たり前となった。

 
昨今では、エンターテインメント要素を取り入れたサウナや、自然のなかで楽しむアウトドアサウナなど、サウナの多様化が進んでいる。

 
施設に行く場合は、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを遵守する必要があるが、家でもサウナ傘を用意するなど、サウナに似たような環境を作ることもできる。本格的な冬に向けて、一度試してみるのもよいだろう。

 

世界のサウナ文化の多様性を感じながら、いい風呂の日を過ごす

日本の風呂文化といえば、家風呂でも銭湯や温泉でも、温かいお湯に浸かる入浴が真っ先に思い浮かぶが、今ではサウナも人気だ。またこれまで見てきたように、世界にはさまざまなサウナのスタイルがあることに驚かされる。

 
傾向として、ヨーロッパとアジアとでは意味合いが少し異なり、ひと言では言い表せない多様性に満ちている。フィンランドやロシアなどでは、体を温め寛ぎ、ときには社交の場でもあるのに対し、韓国や日本は美容や健康づくりの要素が強い。

 
体の汚れを落とす、季節を快適に過ごすために体温調節をするなどといった機能を越え、サウナには人類の知恵が詰まっている。サウナの入り方を知るだけでも、その国の歴史が見えてくるだろう。

 
いい風呂の日は風呂について考えるきっかけになる。この機会に自分をいたわる方法としてのお風呂の入浴方法を見直してみるのもよいかもしれない。
 
 

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