旅の+one

11月22日は「小雪」。寒さに負けず咲く花を観て、冬を楽しもう

立冬から15日目ごろからは、二十四節気では「小雪」である。寒くなって雨が雪に変わる地域もある、この時季ならではの自然の風物に注目し、季節の移ろいを楽しもう。

 
今回は小雪の頃に咲いている花を紹介したい。

 
日に日に寒くなる頃は草木に目を向ける余裕もなく、また、日々の忙しさから自然に目を向ける時間もないかもしれないが、季節の花を観る暮らしを意識してみよう。

 

二十四節気「小雪」とは

思わず「こゆき」と読んでしまいそうになるが、二十四節気では「しょうせつ」と読まれる。二十四節気はもともと古代中国で作られ、日本に伝わったものである。さて、小雪とはどのような時季なのだろうか。

 
小雪は、毎年11月23日ごろに巡ってくる。2020年は11月22日だ。今年の小雪は11月22日から12月6日まで15日間である。次の二十四節気は「大雪(たいせつ)」となる。小雪には、「冬になったものの、まだ大雪が降るほどではなく雪が降ってもさほど積もらない様子」といった意味合いがある。

 
二十四節気をさらに5日ずつ区切った「七十二候」によれば、小雪は「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」の3つの期間に分けられる。

 
11月後半にかけて日の光が弱まって虹が見えにくくなり、12月へ突入するあたりでは北風が木々の落葉をはらう。そして、12月初旬からはいよいよ柑橘類の実が黄色を深めていくという描写を見事に表している。

 

小雪の頃に咲いている花

だんだんと寒くなってくる季節であるが、それに負けず美しく咲く花もある。ここからは、小雪の頃にも観ることができる花々を紹介したい。なかには開花時期に幅がある花も入っているが、冬へ向かっていく季節に彩りを与えてくれるものばかりだ。

 

シクラメン

シクラメン

 
「シクラメン」はサクラソウ科の多年草。11月になると、開花株がお店に並び始める。また、お歳暮などのギフトとして好まれるため、年末に出荷が盛んとなる。その意味では、日本の秋冬を象徴する花の一つといえそうだ。比較的馴染みのある花でもある。

 
シクラメンの種類は豊富で、葉は緑のハート型が一般的だが、色変わりの葉や班などの模様が入ったものもある。また、花もバラエティーに富む。色は赤・白・紫色・ピンクなどが存在。また、八重咲きや花びらがフリル状になったもの、香りのあるものなど実に多彩だ。

 
具体的な品種としては、妖精が葉の上に小さくはばたいているような「フェアリーピコ」、深紅の花弁が桜のように見える「冬桜」、ユリのように長い花びらの「ハーレーカイン」、たった1本の茎を気高くのばした先に一つだけつぼみをつける「アフロディーテ」などがある。

 
サイズは大鉢用に仕立てられたものから花壇用まであり、花自体のサイズも大輪・中輪・小輪がある。さらに花の咲くタイミングも早生から晩生まで存在する。一般的には、10月から4月ごろまでと長い花期を持ち、室内では日の当たる窓辺で育てるのがお勧めとされている。

 

カンツバキ

カンツバキ

 
冬に咲く花というと、低木の常緑樹に咲く真っ赤な花を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。住宅街などでも多く見かけ鮮烈な印象を残す花の多くは「カンツバキ」か「サザンカ」のどちらかだろう。

 
カンツバキとサザンカの見分け方は難しいといわれる。種類としてはどちらもツツジ目ツバキ科ツバキ属に属するからだ。さらに、カンツバキは、ツバキとサザンカを掛けあわせた品種だとする説が有力である。

 
実は、花の落ち方ですぐに見分けがつくようだ。また、咲き方も違い、カンツバキのほうが肉厚な花びらを持つため、花全体が筒状になり立体感がある。

 
カンツバキは、江戸時代に品種改良が進められ、寺社や屋敷の庭などに植えられた。枝が上ではなく横に広がって低木となるため近縁の植物に比べて小ぶりとなるものが多い。これは品種改良によりコンパクトに育てやすくした「矮性(わいせい)」と呼ばれる特徴。

 
カンツバキの花は、紅色で八重咲きのものが一般的だ。小ぶりながら花はしっかりしており、鳥がとまっても崩れないほど。また、花の付け根もがくで守られている。ちなみに、関西では「獅子頭(シシガシラ)」という名前で呼ばれることが多い。

 
サザンカとの違いを正確に見分けられなくても十分に花の美しさを楽しむことができるが、種類の違いを見分けて観賞するのもまた楽しいだろう。

 

サザンカ

サザンカ

 
サザンカは晩秋の花として親しまれ、10月から12月ごろに開花する。色は白や赤、ピンクの花をつけるものがあり、多種多様だ。前述したように、カンツバキと混同されがちだが、比べると花の立体感が薄く、花びらが一枚一枚散っていくことで見分けられる。

 
昭和10(1935)年の目録『茶梅(ちゃばい)』によれば、118もの品種が記録されていたようだ。例えば、「東雲(シノノメ)」は花の直径が12~15cmにもなる大輪の品種で、淡紅色で八重咲きの香りのよい花をつける種類。「富士の峰」は白色の花を咲かせ、花弁は25~30枚もあるが直径6~8cmと東雲よりも小さい。ほかにも多くの品種が存在する。

 
冬でも見事に咲き誇る姿や厳しい山の環境でも咲くことなどを理由に、サザンカ全般の花言葉としては「困難に打ち克つ」「困難に立ち向かう」などがある。また、最も人目を引く深紅のサザンカには、その鮮やかさとは対照的に「理性」や「謙譲」「純粋無垢」などの花言葉が添えられている。ほかにも、「あなたが最も美しい」というロマンチックな花言葉もある。

 

ビワ

ビワ

 
高価な果物の一つとされる「ビワ」。手で皮を剥くことができ、よい香りと甘い味が楽しめる。産地は、長崎県や千葉県、香川県など温暖な地域が中心。だが、冬の寒さには気をつけて摘果をすることで、ビワは家庭でも育てられるという。

 
葉が楽器の「琵琶」に似ていることから、ビワと名付けられた。栽培が盛んになったのは江戸時代からで、葉を使った「びわ茶」も人気だったとされる。

 
6月ごろに実の収穫の時期を迎える。ただし、近年はハウス栽培も盛んで、1月ごろからビワが市場に出回る。

 
12月から2月に花を咲かせるが、ビワの木が高くなった場合に見えにくいことや、こぢんまりと咲くことなどから、あまり馴染みがないかもしれない。枝の先に黄白色の5弁の綺麗な花が咲き、やさしい香りが漂う。一度注意深く観察してみるとよいだろう。

 

身近な草花にあらためて注目してみよう

紅葉の見頃が終わりを迎え、外の景色に色彩が失われ始めるのがちょうど小雪の頃である。しかし、自然界では寒さにも負けず鮮やかな花をつける草木がある。そんな花は私たちの生活にも彩りを与えてくれるだろう。

 
寒い季節を彩る植物を見かけたら、二十四節気や七十二候を手掛かりに、気候の移り変わりにほんの少し思いを馳せてみるのもよさそうだ。忙しい日々にこのような彩りのある花々を楽しむことで、ちょっとした幸せを感じることにつながるかもしれない。

 
しかも、今回挙げた植物は家庭でも育てることが可能なものだ。自分で育てた花を寒い冬に観賞するという楽しみを味わうのもよいだろう。
 
 

関連記事

EDITORS RECOMMEND〜編集部のおすすめ〜

キーワードで記事を探す