日本の食文化に深く根づいているお茶が、この国に伝わったのは約1,300年前。奈良・平安時代に、中国に渡った留学僧や遣唐使によってもたらされたといわれています。
当時、お茶は、皇族や貴族、僧侶など、限られた人々のみが口にすることができる大変貴重なものでした。また、鎌倉時代には禅宗の一派である臨済宗の開祖・栄西が、お茶の健康へもたらす効能を説いた『喫茶養生記』を記しています。
その後、室町時代に、村田珠光が侘茶を生み出し、安土桃山時代、千利休によって「茶の湯」が完成し、武士や豪商に浸透していきました。
ここまでは、日本史の教科書にも載っている、お茶の歴史のおおまかな変遷ですが、江戸時代に、京都の東山や東福寺、三十三間堂、聖護院などの景勝地に、自由自在に簡素な茶店を設け、人々に煎茶を振る舞った、肥前(現在の佐賀県)生まれの僧、売茶翁が現れ、煎茶の祖とも仰がれました。
その彼が最期を迎えた「幻々庵」の名を今に引き継ぐ、東京・渋谷の茶房で出合ったのが、今回、ご紹介する「EN TEA」の水出し柚子緑茶です。
特筆すべきは、美味しいのはもちろん、とても気軽にお茶が楽しめること。ボトルに500mlの水と、九州産の茶葉が入ったティーバッグを加え、30秒間振れば、有機栽培された柚子の香りが爽やかな、瑞々しい緑茶ができ上がります。また、ティーバッグ自体も、植物のデンプンを原料にした素材を使用することで、環境にも配慮がされており、非の打ち所が全くありません。
最近では、日々、飲むお茶として、日常使いはもちろんのこと、近年、緑茶人気の高い、海外への日本土産として、個人的な定番となっています。
EN TEAボトル + ゆず緑茶 ティーバッグセット
2,200円(税込)
URL:https://en-tea.com/
山田遊
やまだ ゆう/バイヤー、監修者。2007年、method(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして、空港内のショップも含め、国内外で数多くの店づくりに携わる。著書に、『デザインとセンスで売れる ショップ成功のメソッド』(誠文堂新光社)など。
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