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姫路城とは?白鷺城が国宝で世界遺産の理由、秘密、見所まで

「城」と聞いてイメージするのはどんな姿だろうか?

 
幾重もの掘に囲まれ、白い壁、高くそびえる天守閣にはお殿様……歴史ドラマや時代劇で見てきた、壮大なお城を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

 
そんなイメージを満たし、さらに想像を超えるかもしれない「城」が、日本には残されている。

 
兵庫県にある「姫路城」は、400年以上の歴史を誇る国宝であり、世界文化遺産。その美しく雄大な姿は「白鷺城(しらさぎじょう・はくろじょう)」と呼ばれ、現存する最高レベルの木造建築物として、世界でも注目されている。

 
本記事では

 

・姫路城ってどんなお城?

・姫路城は何がすごい?

・姫路城でやりたいこと

 
を解説していく。

 
実際に訪れることができる、日本が誇る「姫路城」の魅力に迫りたい。

 

姫路城ってどんなお城?

 
かつて日本には数万をこえる「城」があったといわれる。

 
「城」とは、敵を防ぐために築かれた軍事的な構造物といわれるが、はっきりとした定義はない。

 
古代は石垣や土塁、山などの地形を利用したものが多かったが、戦国時代以降は、戦闘のための機能だけではなく、城に居住したり、権勢を誇るような「城郭」が増えていった。

 
「姫路城」のはじまりは、鎌倉幕府が滅んだ1333年。赤松則村(あかまつ のりむら)が姫山に砦を築いたことがはじまりといわれている。以降、13氏48代が城主を務めたという。

 
室町時代の1346年には本格的な城が築かれ、応仁の乱があった1467年には本丸が築かれた。

 
その後、1580年に羽柴秀吉へ城が献上され、秀吉によって3層の天守閣が築かれた。

 
1601年には、関ヶ原の戦いで功績をあげた池田輝政が城主となり、大改築がはじまる。そして1609年には大天守が完成した。

 
1617年には本多忠政が城主となり、三の丸、西の丸などを増築。私たちが現在見ることができる「姫路城」はこの頃にほぼ完成したといわれる。

 
以来、奇跡的に、戦や近代の戦争からの大きな損壊を免れ、現在まで保存されているのだ。

 

姫路城は何がすごい?城に着いたらココをチェック!

 

国宝で世界遺産!

1609年の大天守の完成から400年以上の歴史を持つ「姫路城」は、日本の国宝であり、世界遺産でもある。

 
1951年6月、姫路城の大天守、西小天守や乾小天守、東小天守、渡櫓(わたりやぐら)など、8棟が国宝として指定。

 
1993年12月には、奈良の法隆寺とともに、姫路城は日本で初めて世界文化遺産に指定された。世界遺産に登録されている世界の「城」のほとんどは石造りやレンガ造りであり、姫路城は希少で秀でた木造建築として評価された。

 

 
姫路城の外壁は、白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)という手法でできている。その白く美しい姿は「白鷺」に例えられ、「白鷺城」とも呼ばれている。

 
それまで、城といえば「黒」を多用したものが多かったが、姫路城は屋根瓦の目地まで白漆喰を施し、輝くような「白」の城であった。戦国時代の終わりを告げ、新しい時代を感じさせる美しさだったともいわれる。

 
城に着いたら、まずはその圧倒的な白漆喰の白さ、まばゆさを堪能したい。

 

現存建築の美しさと規模の大きさ

 
姫路城の面積は、お城の内側のエリア・内曲輪(うちぐるわ)だけで、約23ヘクタール(=23万㎡)。これは東京ドームが約5つ入る大きさ。

 
姫山を中心に内曲輪、中曲輪、外曲輪が同心円状に広がり、外曲輪以内の大きさはなんと、233ヘクタールにもなる。

 

 
大天守は、外から見ると屋根が5層あり5階建てのように見えるが、実は地下1階を含む5重(層)6階。この大天守と東、西、乾(いぬい)の3つの小天守が渡櫓でロの字につながる「連立式天守」が特徴だ。

 
屋根に取り付けられた千鳥破風(ちどりはふ)や軒唐破風(のきからはふ)の巧みな配置がリズムを生み、立体的に組み合わさった天守群が、見る角度によって趣を変える。

 
天守などに向かう縄張(設計)は、他に類を見ないほど複雑な構造になっており、観光ルートに沿って歩いていくと、どちらの方角を向いて進んでいるか分からなくなることがある。

 

 
城の防御上重要な箇所に建てられている櫓は現在27、門も21現存しており、こうした保存のよさも特筆すべきポイントだ。

 
城に着いたら、近世城郭建築の最高峰をじっくりと眺めてほしい。

 

戦う天守

 
ところで「天守」とはそもそも何のためにあるのだろう?

 
天守とは、城の中心部である本丸で最も高い場所に建てられることが多く、戦での司令の拠点となったり、城主の権力を示すために築かれることも多かった。

 
現在、日本で天守が現存しているのは12の城だけ。なかでも最大級の規模を誇る姫路城の天守は、戦うための仕掛けが多く残っている。

 
天守に至るまでには「いの門」「ろの門」「はの門」など、いくつもの重厚な門が築かれ、門を抜けようとすると上から攻撃される3重の櫓門や、銃や弓で攻撃するための穴があいた壁が巡らされている。

 

▲西の丸南の武者溜り(むしゃたまり)。

 
さらに天守閣にたどり着いても、大天守を囲むように小天守があるため、大天守へ直接行くことはできない。

 
大天守の最上階へ向かうには、急な階段があったり、武具掛けなども残り、ここが戦うための砦であったことが感じられる。

 
戦国時代の武将になった気分で、大天守の最上階を目指してみてはいかがだろう。恐ろしい仕掛けに気がついたり、お殿様の脱出ルートを探しながら、想像をふくらませるのも楽しい。

 

江戸時代から続く修理の歴史

 
姫路城は、築城以来何度も修繕と補強を重ねながら今日まで保存されてきた。

 
江戸時代には、築城50年未満にして腐りかけの柱の修理や補強がなされた。その後も歪みが大きくなった大天守に支柱を加える補強や、洪水被害の修繕を行った記録が残っている。

 
1873(明治6)年には廃城令により、国内各地の城が次々と壊されたが、姫路城は「解体費用がかかりすぎる」とかろうじて残された。

 
しかし1882年には火事で城の一部が焼失。日清戦争後には廃墟同然で、天守の傾きも酷かったという。この状況を憂いた市民運動などにより、1910年から国費9万3,000円をかけて、「明治の大修理」が行われた。天守の傾きの進行を食い止めるため、地下から6階まで筋交が挿入されたという。

 
1931(昭和6)年に、大天守をはじめ82棟の建物が国宝(旧国宝)に指定された姫路城は、老朽化した箇所の抜本的な修理のため、1934年から西の丸解体修理工事がスタート。

 
戦局悪化により修理事業は一時中断されたが、姫路空襲でも奇跡的に損壊を免れ、1956年からは、大天守の解体修理が始まった。いわゆる昭和の大修理である。

 
天守には素屋根がかけられ、基礎部分も補強する、大規模な解体修理が行われた。その際、多くの「銘文」が発見され、天守の築造過程を知ることができたという。

 

 
直近の平成の大修理は、2009年から2015年まで。大天守保存修理工事として、事業費約28億円をかけ、外壁の漆喰の塗りかえや屋根瓦のふき替え、耐震性を高めるための補強を行った。2015年には輝く白さを取り戻し、グランドオープン。多くの観光客が訪れた。

 
一時は存続も危ぶまれた姫路城は、多くの人の思いと努力で、現在のような堂々たる姿を保っているのだ。

 

 

姫路城でやりたいこと7つ

姫路城を訪れたなら、ぜひおすすめしたいこと7つをご紹介しよう。広大な敷地なので、やりたいことをイメージしてから訪れるのがおすすめ。また、季節や時間を変えて訪れることで、何度でも楽しめる!

 

現存最大の天守に登る

 
何はさておき、日本に現存する最大級の天守を目指そう。

 
姫路公園の入り口から見ると、姫路城の天守はかなり遠くにあるように思える。だが近づくに従い、天守はさまざまな表情を見せてくれる。景色の変化も楽しみながら向かってほしい。

 

 
まず「三国堀(さんごくぼり)」前では、石垣の上に天守が並んだ姿が見られる。姫路城の記念撮影のおすすめスポットだ。

 
「はの門」近辺では、春の桜と天守閣が美しい。

 

 
この「はの門」への坂道は、時代劇『暴れん坊将軍』のロケにも度々登場し、「将軍坂」とも呼ばれている。

 

 
「本丸(備前丸)」からは、石垣から大天守の最上階までを見上げることができる。

 

 
少し離れた「西の丸」から天守閣を見るのもおすすめ。四季折々の植物と姫路城を楽しめる。

 
そうして、いよいよ大天守へ!

 

 
大天守の高さは31.5m、築かれた姫山や石垣の高さを合わせると海抜92mにもなる。現存している天守の中で最も高い位置にある。

 
最上階からの眺めは、まるで城主気分。

 
坂道や急な階段も多い道のりだが、たどりついた頂上からの絶景は、疲れも吹き飛ぶはず。

 

 

シルバーガイドやオーディオガイドも充実

見どころや歴史的な遺構の多い姫路城は、知れば知るほどに深く楽しむことができる。

 
じっくりと姫路城を散策したいなら「姫路城シルバー観光ガイド」を利用してはいかがだろう。1時間30分から2時間で、研修を重ねた観光ガイドがお城を案内をしてくれる。お城入場券売り場に隣接したガイド詰所を訪れてみて。

 

姫路城シルバー観光ガイド
URL:http://www.himeji-sjc.or.jp/original/silver.html

 
ほかにも、城散策のお供におすすめしたいのは、オーディオガイド。

 
姫路ゆかりのアーティストが案内する「姫路城プレミアムオーディオガイド」では、第2弾として声優の鳥海浩輔さん、小野友樹さんが登場し、一部ラジオドラマ仕立てでの案内を楽しめる。ヘッドホンからの音声を聞きながら、さらに深く姫路城を知ることができると人気だ。

 

姫路城プレミアムオーディオガイド
URL:https://www.himejicastle.jp/audioguide/
貸出場所:姫路城インフォメーション(改札口横資料室内)
貸出時間:開城時間から閉門の1時間前まで
料金:600円 ※支払いは現金のみ

 

季節/時間ごとの美しさを目の当たりに

 
広大な敷地を持つ姫路城は、季節ごと、時間ごとに、異なる美しさを見せてくれる。

 

春の桜とお祭り

春は淡いピンクの桜と白壁の天守の美しい景観を楽しめる。姫路城には、ソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤマザクラなど約1,000本の桜があり、「日本さくら名所100選」にも選ばれている。

 
プロジェクションマッピングを使用したイベント「姫路城夜桜会 千姫の庭、光の戯れ」では、新しい感覚の夜桜体験が話題に。

 

姫路城夜桜会 千姫の庭、光の戯れ
URL:https://www.city.himeji.lg.jp/shisei/0000020211.html

 
毎年5月には「姫路お城まつり」が開催され、パレードやイベントなどが賑やかに行われる。

 

姫路お城まつり
URL:https://www.city.himeji.lg.jp/oshirofes/

 

夏の緑と和船

 
姫山の緑が濃くなり、天守閣の白さが眩しい季節。

 
そんな夏は、和船にのって涼しげな水辺からお城を楽しむのもおすすめ。

 
和船は例年3月下旬~11月下旬に運航している。やりたいことの6つめで詳述しているので参考にしてほしい。

 

秋の紅葉とライトアップ

 
自然豊かな姫路城周辺では、紅葉も美しい。

 
やりたいことの7つめで詳述している広大な「好古園」からの姫路城の眺めもおすすめだ。紅葉会の時期には期間限定でライトアップも行われる。

 

雪の白鷺城とマラソン

雪の日には、雪化粧でさらに白くなった姫路城を見てほしい。積もることはほとんどないが、もし滞在中にチャンスがあればぜひ。

 
また、冬には「姫路城マラソン」が開催。姫路城をスタートとゴールにし、姫路の名所や自然を満喫するコースで行われている。

 

姫路城マラソン
URL:http://himeji-marathon.jp/

 
さらに、時間帯によっても変化を楽しめる。

 

早朝

 
早朝の澄んだ空気のなかで佇む姫路城は、昼の青空とのコントラストとはまた違う、幻想的な姿を見せる。

 
三の丸広場などのある一般観覧エリアから、姫路城を眺めるのもおすすめ。人が少ないので、撮影もしやすい。

 

夜間

 
夜には、ライトアップされた姿を見てほしい。姫路市街に浮かび上がる姿も印象的。日没から午前0時まで点灯しており、春夏、秋冬で色味が変わる。

 

石垣もお忘れなく

 
姫路城を訪れたなら、ぜひ「石垣」にも注目していただきたい。

 
400年以上の歴史を誇る姫路城には、さまざまな城主が工夫をこらして築いた建造物が残る。さらには戦による損壊がなかったため、石垣や櫓や門などの保存状態がとても良い。さまざまな時代の石垣が共存するさまはマニア必見。そんな石垣に残る秘密をいくつかご紹介しよう。

 

ひっそりと開かれた「るの門」

 
「菱の門」から入り、三国堀の東南側、進行方向から少し視線をずらして、石垣を観察してほしい。そこには、ひっそりと開かれている「るの門」がある。

 
「穴門(あなもん)」と呼ばれる形式で、現在は開口部だけしか残っていないが、かつては内開きの吊り扉があり、城内側より低く掘られているため、いざというときには、石を崩したり土砂で埋められるように工夫されていた。

 
ここは、天守への近道でもあり、今でも通ることができるので、忍びの気分、もしくは城をよく知る武士気分で、近道を使ってみてはいかが。

 

角が欠けた石垣「鬼門除けの隅落とし」

規則的に積まれているように見える石垣だが、もし何か違和感を感じたなら、じっくりと観察してみよう。

 
たとえば「への渡櫓」裏手の石垣。角の部分だけが、まるで切り落とされたようになっている。これは、「鬼門除けの隅落とし」と呼ばれている。

 
当時の日本では、十二支を割り当てた方位を用いており、丑寅(北東)の方角は鬼門とされていた。そこから鬼(邪気)が入ってくるといわれていたため、石垣の角を落とした。姫路城だけでなく、ほかの城の石垣などでも「隅落とし」や同じ意味合いを持つ「隅欠け」を見ることがある。

 

期間限定展示を見逃すな

1912(大正元)年から一般公開されている姫路城。しかし、そのすべてが一般に公開されているわけではない。ほとんどの部分が、国宝であったり、重要文化財指定を受けているため、通常は非公開の場所も多いのだ。

 
けれども期間限定の公開や、特別展示が行われることもあるので、見逃さないでほしい。

 
これまで、大天守の武具庫や乾小天守などが期間限定で公開され、大名行列の衣装や道具、千姫の復元着物の特別展示などが行われたことも。

 
訪れる際には、事前に公式HPをぜひチェックしてほしい。

 

URL:https://www.himejicastle.jp/

 

お堀を和船に乗って探索

 
視点を少し変えて、姫路城を眺めてみよう。

 
3月下旬から11月下旬まで、和船で姫路城の内堀を巡ることができる。

 
内堀南側にある乗り場で受付し、30分ほどの乗船体験。水辺を和船で静かに巡れば、タイムスリップしたような気分になれるかもしれない。

 
お堀の石垣をじっくりと観察したり、姫山樹林帯近くの水辺にはシラサギなどの野鳥がいることも。

 

和船乗船体験
受付:当日9:00より現地での予約のみ
(電話による事前予約はできません)
乗場:姫路城(内堀側)
乗船料:大人1,200円 小人(3歳~小学生)600円
船内で姫路城、石垣の解説があります
開催時間:9:30~16:50 ※運航日により異なります
URL:https://himeji-kanko.jp/event/775/

 

かつての城主の庭園を+50円で訪ねる

 
姫路城を訪れたなら、ぜひ隣接する「好古園」にも足を伸ばしてほしい。かつて姫路城城主であった本多忠政の館跡を整備した、約1万坪の日本庭園だ。9つの異なる庭園からなり、茶室やレストランなどもある。

 
何よりおすすめなのは、日本庭園を借景に眺める姫路城。それは、かつて城主が眺めていた姫路城の姿かもしれない。桜の季節から紅葉まで、美しい日本庭園とのコラボレーションが楽しめる。一息つくのにおすすめだ。

 
また好古園は、歴史的な風情が感じられると、姫路城とともにロケ地としても利用されてきた。ドラマ『暴れん坊将軍』『水戸黄門』などで見覚えのあるスポットもあるかもしれない。

 

 
入園料は通常大人310円だが、姫路城・好古園共通券を利用すると、入城料プラス50円で利用できる。ぜひ訪れてみて。

 

姫路城西御屋敷跡庭園 好古園
住所:兵庫県姫路市本町68
電話:079-289-4120
入園料:大人310円、小人(小・中・高校生)150円
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
休園日:12月29日、30日
※行事開催等により、開・閉園時間を変更することがあります。
URL:https://www.himeji-machishin.jp/ryokka/kokoen/

 

一度は訪れたい姫路城

 
歴史、大きさ、そして残された建造物……知れば知るほど「姫路城」の貴重さを感じられる。これまで400年以上にわたり継承されてきたことが、奇跡のようにも思える。

 
戦いから守るために作り上げられた建造物だが、こんなにも美しいのはなぜだろう。巨大な建造物への憧れ、随所に見られる丁寧な手仕事の数々、知恵比べのような城内の設計。

 
日本が誇る「城」の魅力が詰まった「姫路城」には、関わってきた多くの人々の痕跡が残されている。

 
歴史が好きな方、城が好きな方はもちろん、興味がない方も一度は訪れて、世界の人々を惹きつける姫路城をぜひ体感してほしい!

 

姫路城
開城時間:9:00~17:00(入城は16:00まで)
※夏季(7月23日~8月28日)は9:00~18:00(入城は17:00まで)。
入城料:大人1,000円、小人(小・中・高校生)300円
※姫路城・好古園共通券は、大人は1,050円、小人は360円。
休城日:12月29日、30日
住所:姫路市本町68
電話:079-285-1146(姫路城管理事務所)
URL:https://www.himejicastle.jp/

 
 

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