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南魚沼の老舗旅館「龍言」がリニューアルし「ryugon」に

新潟県南魚沼市の山々に囲まれた地域で、2019年に50周年を迎えた老舗旅館「温泉御宿 龍言」が、同年10月「ryugon」としてリニューアルオープンした。

 
ryugon

(c)Satoshi Shigeta

 
東京から上越新幹線で約1時間半、越後湯沢駅前の旅館「越後湯澤 HATAGO井仙」から送迎車に乗って30分ほど走ると「ryugon」に到着する。創業は1969年。約2万坪の敷地に地元六日町の豪農の館や、武家屋敷など8つの古民家を移築して作られ、文化財にも指定されている建物は、古くから著名人や文人に愛され、将棋の竜王戦が開催されるなど、今なお新潟を代表する老舗旅館として多くの客人をもてなしている。

 
その名は、戦国時代の武将上杉景勝の父にあたる長尾政景の菩提寺「龍言寺」の跡地に建てられたことに由来している。リニューアルにあたり、この地に根付く歴史は引き継ぎつつも、新たな設備やプランが用意され、装いを新たに生まれ変わった。

 

登録有形文化財に指定されるレセプション

まずは母屋に中門とよばれる突出部をもつ「中門造」で造られたレセプションへ。豪雪地帯にみられる雪のなかでも出入りしやすい建築様式は、国の登録有形文化財にも指定されており、豪農の館の記憶をそのままに受け継いでいる。

 
レセプション奥には白い囲炉裏があり、秋から春までは囲炉裏の温かなゆらぎが迎えてくれる。本棚には、ryugonがセレクトした雪国文化にちなんださまざまな書籍が置かれ、囲炉裏で温められたぬくもりのなかで、ゆっくりと読書に没頭することもできる。

 
ガーデンラウンジでは、宿の敷地からつながる坂戸山の稜線や、豊かな水に満たされた庭園を眺め、ディナーを予約すれば屋外テラスでアペリティフをいただきながら優雅なひとときを過ごすことができる。

 

雪国らしさを感じられる2つの客室

部屋のカテゴリーは、大きく分けて2種類。一戸建ての豪奢なVILLA SUITEと、古き良き龍言の姿を継承するCLASSICがある。ともに雪国らしさを感じられる空間で、上質なひとときを楽しむことができる。

 
ryugon

(c)Satoshi Shigeta

 
広々としたVILLA SUITEは、まるで我が家のようにのびのびと過ごせるプライベート空間。しつらえられた家具は、“くらしとつながるモノづくり”をコンセプトに、伝統的な木組みの技術にこだわる岡山県西粟倉村の家具店「ようび」が、ryugonのために作ったオリジナルのもの。庭園を見渡す気持ちのよい景色と、そして和の空間に無垢材を削り出して作られた丸みのある家具を合わせることで、和風建築の大きな特徴である“風景とのつながり”を実現している。

 
各室のテラスには露天風呂が設けられ、すべて庭園に面していることも魅力。春は花、夏は星、秋は月、冬は雪を愛でながら温泉につかり、優雅なひとときを過ごすことができる。

 
ryugon

 
CLASSICは、文化文政時代(1804~1829年)の地元の庄屋や豪農の館をそのまま移築している。長年に渡り雪国の暮らしを支えてきた、文化的価値のある建材をふんだんに継承した和室には、高松宮殿下が御宿泊された部屋や寄木細工があしらわれた部屋もあり、細部に匠の技が宿る。

 
お風呂上がりに寝転んで、寛いだり、おしゃべりをしたりリラックスできるのも畳の空間ならでは。無駄を削ぎ落としたシンプルな室内は、照明を落とし、ほのかな灯りで穏やかな時間を過ごせるよう、テレビは設置されていない。

 
コモンスペースから流れるようにつながる各室は、雪国の地域文化を体感するアクティビティーに親しみながら、ラウンジやバーでゆったりとした大人の時間を楽しみたい人におすすめだ。

 

美と安らぎを与えるアルカリ性単純泉

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温泉は、六日町温泉の刺激の少ない柔らかなアルカリ性単純泉。内湯には時間をかけてゆっくりとつかることのできる腰湯を新設している。八海山の雪解け水が源となって醸された日本酒「八海山」から生まれたスキンケアシリーズ「cotte」のシャンプー、トリートメント、ボディソープも用意されている。

 
また、古民家を移築した蔵のなかには、スパ「LA VILLA SPA with TEMAE」を開業。茶道のお迎えの所作であるTEMAE(手前)から考案されたというスパは、茶葉から抽出された成分を使いトリートメントを行う。お茶がもたらす癒やしは、肉体の美だけでなく精神面の美も創造してくれる。

 

伝統料理をベースにした雪国ガストロノミー

ディナーは、地元の食材や雪国ならではの保存食を、料理を通じて提供している。旬の恵みを職人がじっくりと炭火で焼き上げる、和のフルコース。リニューアル前から人気を博していた炭火焼をその場で提供できるように、レストラン中央部には囲炉裏を配置。地元の日本酒やワインも堪能できるなど、上質な和の空間で贅沢な食事をいただくことができる。

 
朝は、精米したばかりで炊きたての魚沼産コシヒカリとともに、夕食同様、地元の食材を贅沢に味わえる朝食御膳が用意される。

 
予約をすれば、ryugonで提供される漬物などの保存食づくりを見学することも可能。今では珍しい釜戸を使い、雪国の伝統的な家庭料理を作って食べる、有料のワークショップも開催している。

 
「旅人の感性と土地の文化を育む宿」を目指し、雪国文化を伝える宿ryugon。都会の喧騒から離れ、ゆっくりとしたときの中で、安らぎのひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。

 

ryugon
電話:025-772-3470
住所:新潟県南魚沼市坂戸1-6
URL:www.ryugon.co.jp/jp/

 
 

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