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お土産に最適な北海道の伝統工芸品と民芸品|アイヌ文化に触れる旅

北海道にはエビやカニといった海の幸、とうもろこしやかぼちゃといった山の幸が豊富。そのため、北海道で食の魅力に触れるのも旅の楽しみだが、北海道にはさまざまな工芸品、民芸品もある。アイヌ民族に古くから伝わる伝統工芸品から新たに注目されはじめた民芸品など、お土産にも最適な物ばかりだ。

 

北海道の伝統工芸品

アットゥㇱ

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アットゥㇱとは、高さ25m、太さ1mに達することもある落葉樹のオヒョウや、シナノキの内皮から作った糸で機織りされた反物だ。樹木から作られ、高い通気性を誇るこの反物は、江戸時代以前から着用されていたアイヌ民族独自の伝統的衣装に用いられ、現在は帯などにも仕立てられている。

 
北海道のなかでも平取町二風谷(びらとりちょう・にぶたに)で現在も作られている二風谷アットゥㇱは、2013年に北海道の工芸品としては初めて経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定された。

 
二風谷アットゥㇱには、新千歳空港から車で約1時間半の沙流郡平取町二風谷にある、「二風谷アイヌ匠の道」で触れることができる。近くにはアイヌ民族が住んでいた家を復元したチセ群のある二風谷コタンもあり、半世紀以上にわたりアットゥㇱ制作に携わっている貝澤雪子さんや北海道アイヌ伝統工芸展北海道知事賞受賞作品を手がけた藤谷るみ子さん、伝統的な文様や技法と新たなアレンジを組み合わせた小物を手掛ける関根真紀さんらによる貴重な作品を手に取り、購入することもできる。

 

二風谷イタ

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二風谷アットゥㇱと同じく、2013年に経済産業大臣から伝統的工芸品に指定されたのが二風谷イタだ。19世紀半ば頃から松前藩により幕府へ献上されていたという記録が残っており、1873年にはウィーン万国博覧会にも出展された。

 
イタとはアイヌ民族の間で用いられていた平たいお盆の形の木工芸品を意味する。丸や半円形など形はさまざまだが、いずれも表面にアイヌ民族独特の文様が描かれており、二風谷イタは、うずまきの形(モレウノカ)のようなアイヌ文様や、うろこの形(ラムラムノカ)といったウロコ彫りが施されているのが特徴だ。お盆と認識されているが、アイヌ伝承の民話では、料理を直接盛る皿の役割を果たしているともいわれている。

 
「二風谷アイヌ匠の道」では、2010年国土緑化推進機構「森の名手・名人」に選ばれた貝澤守さんや、北海道アイヌ伝統工芸展北海道知事賞を受賞している貝澤徹さんらの名工が手がけた二風谷イタに触れることができる。

 

アイヌ文様

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日本文化において青海波、市松といった文様が手ぬぐいや小物に用いられるのと同様に、アイヌ文化においても、渦巻き模様(モレゥ)や、とげ模様(アィウㇱ)といったアイヌ文様が食器や小刀に取り入れられている。親から子へ伝承されるというアイヌ文様は、ただの模様ではなく、アイヌ文化のシンボルのひとつでもある。

 
アイヌ文様は地域、男女どちらが作るかによって異なり、男性が作る文様は「オッカイ カㇻペ」、女性が作る文様は「メノコカㇻペ」と呼ばれる。前者は主に木彫の工芸品に施されており、緻密でなめらかなデザイン。一方、後者は刺繍、編み物に施されており、モザイクのようなデザインが特徴だ。

 
現代において、アイヌ文様は生活用品だけでなく、ポーチ、メモ帳といったさまざまな小物にもあしらわれ、アクセサリーとして用いられることもある。例えば、新千歳空港 国内線ターミナルビル4Fにあるアイヌ工芸品店「アイヌモシリ三光」では、バンダナ(税込 2,700円)やピアス(税込 6,480円)なども販売されている。

 

北海道の民芸品

木彫りの熊

北海道のお土産といえば、「木彫りの熊」を思い浮かべる人も多いだろう。鮭をくわえた熊、作家性の高い「抽象熊」、可愛らしい「熊ボッコ」など、そのバリエーションもいろいろ。

 
この木彫り熊の発祥地の一つといわれているのが、函館から車で2時間ほど北上したあたりの二海郡八雲町だ。八雲町は明治維新後、尾張徳川家の旧藩士らによって開かれた町。19代当主の徳川義親が旅先のスイスで見つけた民芸品を持ち帰り、八雲の人々の副業として木彫りを奨励したことが、木彫り熊がこの町で作られ始めたきっかけだという。

 
八雲の木彫り熊は、「毛彫り」と「面彫り」の二つに大きく分けられる。毛彫りの魅力は、精密画のような繊細な毛並みの表現。つややかな木肌に波打つ細やかな彫りは、写実的でありながらもなんとも美しい。対する面彫りは、現在の「抽象熊」の源流といえるもので、プリミティブで味のある佇まいだ。

 
八雲町には「木彫り熊資料館」があり、北海道第1号の木彫り熊をはじめ、内外の作品300点を展示している。八雲の木彫り熊の成り立ちを紹介するとともに、世界各地の民芸品も展示し、見ごたえ十分。木彫り熊好きならぜひ一度は訪れたい。

小樽オルゴール

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小樽の民芸品として知られているオルゴール。小樽とオルゴールが結びついた由縁に関しては諸説あるが、「街のレトロな雰囲気に合うのではないか」との理由から販売が始まったという。

 
新千歳空港からJR千歳線 快速エアポートで約1時間10分のJR南小樽駅から徒歩5分に本館を構える小樽オルゴール堂は、小樽オルゴールを代表する店舗で、同館は1912年(明治45年)に建てられた米穀商の本社社屋と倉庫をリノベーション。煉瓦造りの外観は異国情緒に溢れ、シャンデリアが当時のきらびやかな雰囲気を思い出させる。

 
小樽オルゴール堂 本館には、国内最大級の約3,400種のオルゴールがあるといわれており、数百円から数百万円するものまで、さまざまなオルゴールを販売。

 
斜向かいには、手作り体験 遊工房があり、「トッピング・フリーコース」や「ムーブメント組立て&トッピング」や、「ムーブメント組立てコース」などの手作り体験が楽しめる。

 
「トッピング・フリーコース」は、曲やガラス小物などを自由に選んでトッピングするだけなので簡単。

 
より本格的に楽しみたい方は、オルゴールムーブメントをパーツから組み立ててトッピングする「ムーブメント組立て&トッピング」や自分で組み立てたムーブメントをケースに組み込んでオルゴールを完成させる「ムーブメント組立てコース」がお勧めだ。

 
その他、ステンドグラスやサンドブラストなどの制作体験も行える。いずれも空席があれば予約無しで体験可能だが、念のため事前に予約を入れると良いだろう。

 

伝統工芸品・民芸品から日本の多様性を知る

北海道には食の幸だけでなく、伝統工芸品や民芸品が数多く存在している。特にアットゥㇱ、二風谷イタといった、アイヌの伝統工芸品に出会うことは、日本の多様性を知る機会にもなるだろう。

 
北海道を訪れたら、食と風光明媚な景色を楽しむだけでなく、伝統工芸品や民芸品に触れてみてほしい。

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