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ハワイの伝統芸能「フラ」をより深く楽しむために知っておきたいこと

文/横田京子

ハワイを訪れたら、一度は体験してほしい「フラ」。日本を含め、世界中に多くのファンを持つフラは、ハワイの文化や歴史、そして人々の思いが詰まった伝統芸能の一つだ。

 
ここでは、意外に知らない「フラ」の基礎知識や歴史を紹介。

 
“フラ”の魅力を知れば、きっとハワイがもっと好きになるはずだ。

 

フラとは? フラダンスとは違うの?

hula

ハワイの伝統的な踊りとして日本人に広く知られる「フラダンス」。現地ハワイでは、「フラ」と呼ばれている。

 
「フラ」という言葉は、実は踊りだけでなく、踊りと共に奏でられる楽器の演奏や、詠唱、歌(チャント)も含む、総合的な芸術を示す。

 
その「フラ」は、大きく分けると、現代的な「アウアナ」と、古典的な「カヒコ」の2つに分類される。

 
ウクレレの演奏に合わせて踊るスタイルの、多くの人が思い浮かべるフラは、ここ50年で広がった「アウアナ」。男女、年齢問わず、誰でも自由に楽しむことができる。

 
一方、古典的な「カヒコ」は、もともと神に捧げるために修行を行った男性だけが踊ることを許されていた。

 
今では女性も踊ることができるが、伝統に基づいて、振り付け、衣装、楽器などには厳格な決まりがある。自由で親しみやすい「アウアナ」と比べ、荘厳で、力強い印象だ。

 

フラはどう生まれ、再生したのか

rainbow

 

フラのはじまり

フラは、神々に捧げる神聖な踊りだ。

 
神話によると、初めてフラを踊ったのは、癒やしの女神ラカ説のほか、卵から生まれた女神ヒイアカ説など、さまざま。

 
フラの起源に関わらずハワイの神話に諸説あるのは、伝承で受け継がれてきたものが多いから。人から人へと伝わっていくうちに少しずつ変わってきたのだ。

 
そんなハワイ文化の大切な要素であるフラは、神々に捧げる信仰の表現であるほか、「歴史を伝える」という役割も担っている。

 
当時島や地域ごとに存在していたフラの家系が、振り付けの手の動きに花や風など意味を持たせ、動きで物語を構成し、何世紀にもわたって歴史や出来事を後世に伝承していったのである。

 

消えかけたフラと復活

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1778年、諸国で近代化が始まった頃、多数の部族が暮らしていたハワイ諸島にイギリス人のジェームズ・クック(キャプテン・クック)が訪れた。

 
これをきっかけに首長間の力関係が変化し、カメハメハ1世がハワイ8島を統一、ハワイ王朝が誕生した。

 
19世紀初頭、アメリカの宣教師たちが自然崇拝のフラを「キリスト教の脅威」とみなし、女王カアフマヌ(カメハメハ2世の妻)にフラを禁止するように進言する。

 
これが受け入れられ、1830年にフラの禁止令が発令。大衆のフラは影をひそめるようになる。

 
この禁止令から約50年後、デイヴィッド・カラカウア王がこの禁止令を解き、フラやサーフィンといった文化が一時的に復活する。

 

王国の終焉・文化の再生

しかし1893年、リリウオカラ二女王がアメリカ勢力に圧されて退位することによりハワイ王国は終焉を迎え、1898年ハワイはアメリカの準州となる。

 
これにより、ハワイの人々は自らの出自や文化を隠すようになった。

 
そんななか、一部のハワイの人々によって密かに守られたハワイ文化に、再び陽が当たる出来事が起きた。1950年代からアメリカ本土で起きた公民権運動だ。

 
ハワイでも、地元民が文化や誇りを取り戻そうとする「ハワイアン・ルネッサンス運動」が広まり、ハワイ語の教育や、フラの復興を目指す競技会が各地で行われるようになったのである。

 

フラ界のオリンピック「メリー・モナーク・フェスティバル」

hula

米国のイースターの祝日に合わせてハワイ島のヒロで毎年行われているフラ最大にして最古のイベント「メリー・モナーク・フェスティバル」が初めて開催されたのも、この公民権運動が盛んな1964年のことだ。

 
フラ禁止令を解除したカラカウア王の愛称「メリー・モナーク(陽気な君主)」を冠したこのイベントは、現在はフラのみならずパレードや展示なども行われ、世界中から多くの観光客が集まる一大イベントとなっている。

 
イベントの様子はテレビでも中継され、今ではインターネットのストリーミングでも楽しむことができる。

 
でもやっぱり現地で見たいという方は、スケジュールと公式サイトの注意事項を確認してほしい。

 
2020年4月のイベントは残念ながらコロナで中止となり、2021年は6月に無観客で開催されている。

 
ちなみに日本ではこの「メリー・モナーク・フェスティバル」とハワイ音楽の祭典「ナ・ホク・ハノハノ」の受賞者を招き、「ナ・ヒヴァヒヴァ・ハワイ」というイベントを毎年秋に開催している。

 
日本に居ながらにしてトップレベルの生演奏とフラを味わうことができる貴重な機会だが、こちらも2021年はすでに中止の発表があった。2022年の開催を願うばかりである。

 

フラの見どころを知る

これまでフラの歴史をたどってきたが、ここからはフラを鑑賞するときに、知っているとより深く味わえるポイントを紹介しよう。

 

レイ

ray

ハワイでは植物や貝殻、岩などさまざまなものに精霊や力(マナ)が宿ると考えられている。こうした力を借りたり、魔除けのために、人々はレイ(首飾り)を身につけるようになった。

 

衣装

fashion

フラを踊るときは、ハワイ語で「パウ」と呼ばれるスカートを身につけることが多い。

 
パウは神に捧げるフラを踊るための衣装なので、敬意を表して上から被って着るのが正式な着方とされている。またパウには力(マナ)が宿るとされ、洗わないほうがよいという説もある。

 

振り付け

hula

フラでは下半身がよく使われ、骨盤は8の字を描くように、足の裏は「地球をマッサージするように」ステップを踏むのが基本。

 
重心を落としながら踊るのでなかなかハードなのだが、上半身は高さを一定にして微笑み、観客とアイコンタクトをとりながら舞う。

 
上半身が安定し、腰から下がしなやかに、ときには激しく踊るのが、美しいフラとされている。

 

楽器

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フラの楽器と言えばウクレレを思い浮かべる方が多いだろう。

 
ウクレレが使われるのは、現代的なフラ「アウアナ」。器用とは言えない筆者でも最初のレッスンで曲が弾けるようになったほど取り組みやすいので、ぜひお試しを。

 
伝統的な「カヒコ」では、ひょうたんを使った楽器「イプ」や「パフ」というドラムなどが使われる。

 

アロハ(ALOHA)に込められた想い

プルメリア

フラの歌には「ALOHA(アロハ)」という言葉がよく登場する。これはAkahai(アカハイ)、Lokahi(ロカヒ)、Olu’olu(オルオル)、Ha’a Ha’a(ハアハア)、Ahonui(アホヌイ)の5つの言葉の頭文字をとったもの。

 
ハワイでは日常的な挨拶にも使われるのでご存じの方も多いだろう。こうした気軽な挨拶の中にも、ハワイの人々がつむいできたさまざまな想いが込められているのだ。

 
ちなみにハワイで見られるプルメリアの花には、花びらが5枚あり、それぞれがALOHAの5つの意味を示すと言われている。

 

ALOHAとは?

Akahai(アカハイ):思いやり
Lokahi(ロカヒ):協調性
Olu’olu(オルオル):喜び、わくわく
Ha’a Ha’a(ハアハア):謙虚、素直
Ahonui(アホヌイ):忍耐

 

本場ハワイでフラを見て体験する

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ここまで読んでフラの魅力を少しでも感じたら、ぜひ実際に生のフラを見ていただきたい。本場ハワイのフラダンスと音楽は、やはりひと味違う。

 
踊り子たちの南国ならではのオープンな微笑み、しなやかで軽やかでありながら、どっしりと地に足をつけているような動き、そして美しい音楽の調べ。

 
豊かなハワイの恵みを、フラから感じることができるはずだ。

 
フラの素晴らしさに触れたら、ぜひ「フラを自分で踊ってみる」というアクティビティーにも参加してほしい。音楽に合わせて体を揺らすだけでも、体を動かす喜びが感じられ、次第に心が穏やかになっていくのがわかるだろう。

 
無料のレッスンがオワフ島ワイキキのロイヤル・ハワイアン・センターなどで開催されている。シェラトン・ワイキキなどのホテルでもカルチャークラスを設けているので、興味のある方はぜひ今後の旅のプランに「フラ体験」を加えてみてほしい。

 
英語や振り付けがよくわからなくても、うまく踊れなくても、先生の真似をしてにっこり微笑めば、気持ちは伝わるもの。

 
筆者自身、音楽に身を委ねながら先生や仲間と目があって互いに笑顔を交わすひとときに、なんともいえない幸せを感じる。

 
フラダンスを通じて出会った人と心と心が通じあうような体験は、きっとあなたの忘れがたい思い出になるはずだ。

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