とっておきの話

空の渋滞とフローコントロール【キャプテンの航空教室】

文/今川英昭 イラスト/高橋潤

本日もJALグループの翼をご利用いただきありがとうございます。今回は、空の渋滞とそれを解消するフローコントロール(航空交通流制御)についてお話ししたいと思います。

 
私たち運航乗務員は、常に安全を最優先にしながら、定時運航ができるよう努めています。しかし、ときには何らかの理由で出発が遅れ、皆さまにご不便をおかけしてしまうこともあります。飛行機の遅れにはさまざまな要因がありますが、天候不良や上空の風の影響、機材の不具合などのほかにも、前便の遅れにより次便が遅れるという悪循環に陥ることも。また、昨今飛行機をご利用になるお客さまが増えたことにより、便数が急増し日本の空が過密化したことも一つの原因です。つまり、空が渋滞しているのです。

 
もしかすると、お客さまのなかには今までのご利用便で、滑走路の手前で離陸の順番をお待ちいただいたり、目的地の空港へ到着する前に上空での待機を経験された方もいらっしゃるかもしれません。その都度皆さまにはご不便をおかけし恐れ入りますが、そんな空の渋滞を少しでも解消すべく、さまざまな取り組みを行っています。

  
例えば、皆さまは空港の搭乗口や機内にてこのようなアナウンスを聞かれたことはありますか?

 
「航空路混雑により、航空交通管制から離陸時間の指定を受けています。そのため出発が遅れる見込みです」

 
飛行機は一度離陸すると着陸するまで止まれません。そのため地上にいるときは、航空路が混雑しないように、航空交通管制が離陸の時間を遅らせる指示を出します。これを「フローコントロール」と呼んでいます。混雑が解消されれば、離陸時間の指定が取り消されて予定通り離陸できることもあります。航空交通管制はほかにも、飛行機が上空にいる場合は、速度をはじめ高度や飛行経路の変更を指示することもあります。

 
航空交通管制からフローコントロールを指示された場合でも、JALグループでは予想される遅れを最小限にとどめるため、原則定刻のご搭乗をお願いしています。これは、いつでも出発できるよう準備しておくことで、指定された離陸時間が早まったり待機が取り消された場合に、少しでも早く対応し遅れを取り戻せるようにするためです。

 
空の渋滞への対策として、今後の新しい航空交通管制システムの導入や、滑走路の増設計画、2020年に向けた羽田空港・成田空港の空域改編など、少しずつではありますが進んでいます。皆さまにとって快適な空の旅になるよう、JALグループ一丸となって、これからも最大限の努力を重ねてまいります。皆さまの安全運航、定時運航へのご理解とご協力に改めて感謝いたします。本日のご搭乗、誠にありがとうございました。今後も快適な空の旅をお楽しみください。

 
mr.imagawa

今川英昭 Hideaki Imagawa
J-AIR
エンブラエル170/190型機 機長
出身地:神奈川県
趣味:旅行、ドライブ
座右の銘:為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり

 

(SKYWARD2019年11月号掲載)
※記載の情報は2019年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
※最新の運航状況はJAL Webサイトをご確認ください。

 
 

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